中国最大の買い物の日「独身の日」が今年も終わった。アリババ(阿里巴巴)グループの売上は、昨年の253億ドル(約2兆8500億円)から増えて308億ドル(約3兆4700億円)。伸び悩みを危ぶむ声がある一方で、アリババがこの日を別の広告製品の採用拡大に活用している様子がうかがえる。アリババは次の点を押し出している。【※本記事は、一般読者の方にもnoteにて個別販売中(480円)です!】
中国最大の買い物の日「独身の日」が今年も終わった。
アリババ(阿里巴巴)グループの売上は、昨年の253億ドル(約2兆8500億円)から増えて308億ドル(約3兆4700億円)。伸び悩んでいるのではと危ぶむ声がある一方で、アリババがこの日を別の広告製品の採用拡大に活用している様子がうかがえる。
アリババは次の点を押し出している:
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- アリババは単なる中国の巨大企業ではなく、グローバルなブランド、そしてグローバルな顧客を集めるだけの力をつけている。2018年は、シンガポールを拠点とするアリババのeコマース企業ラザダ(Lazada)が独身の日のイベントをはじめて開催し、独身の日を東南アジアの6つの市場に拡大した。買い物客の40%以上がAppleやネスレ(Nestle)など中国以外のブランドから買い物をして、1日の売上が1億人民元(約16億2300万円)を超えたブランドは約240に上った。
- アリババはTモール(Tmall)を通じて小売りテクノロジーをかなり所有している。具体的にはスマートストア、ポップアップストア、スマート託児室、駐車サービスなど。独身の日にはこうしたテクノロジーを20万店で展開し、人々が店舗内で「購入」して配送してもらえるようにした。
- アリペイ(Alipay:支付宝)と非中国業者のアリペイ採用。アリペイは毎日約7億人の中国人が利用している。この「親密さ」がコンバージョン率の向上に役立っていると、同社で米国のセールス責任者を務めるエディ・デービス氏は語る。次のステップは、非中国業者によるアリペイ対応の推進で、これにより独身の日がさらに大幅に便利になる可能性がある。
- 「業者がアリペイのリーチの恩恵をあますところなく受けられるように、そして顧客の行動を把握できるように、中国対応、アリペイ対応に協力していくのが一番の課題だ」と、デービス氏。独身の日は取引の90%以上がモバイルを通して行われており、また、非中国ブランドへの注目は高まっている。中国のある広告幹部はメールで、「独身の日は単なる売上にとどまるものではない」、「うま味のある部分がほかにたっぷりある」と語った。
中国経済の成長鈍化への懸念や、独身の日の誇大宣伝に対して疲弊が見られるという文化方面からの声など、独身の日の成長への逆風がこれらの背景にある。ライバルの猛追も顕著で、JD.comは2018年の独身の日の取引額を230億ドル(約2兆5900億円)だとしている。
数字で見る独身の日
10年前の最初の独身の日に参加した販売業者の数:27
2018年の独身の日に参加したブランドの数:18万
使われた配送車両の数:20万
展開した「スマートストア」の数:20万
総流通額(GMV)100億ドル(約1.1兆円)達成にかかった時間:1時間47秒
配送数の推計:19億件
関係者の声
(アリペイとWeChat[微信]の実装に)マイナスは見当たらない。どちらのプラットフォームも(銀行口座へのアクセスを通じて)顧客にほとんどダイレクトにアクセスできるようになる。(マイナスがあるとすれば)新しいものへの抵抗感くらいだろう。――米・フェンディ(Fendi)、ファイナンスディレクター、アンドレア・トネッロ氏
Written by Shareen Pathak and Suman Bhattacharyya (原文 / 訳:ガリレオ)