ソーシャルネットワーク「Snapchat(スナップチャット)」は先日、英国においてニールセンと提携した。掘り下げたオーディエンス指標を提供するためだ。これを受け、エージェンシー各社は、Snapchatに広告主の資金が流れ込むと予想している。
Snapchatはこれまで、広告主に対して、デイリーユーザー1億3000万人の行動に関するインサイトをほとんど提供してこなかった。今回、ニールセンのモバイルデジタル広告視聴率(mDAR)が加わったことで、ブランドやエージェンシーは、Snapchatの「ライブ(Live)」や「ディスカバー(Discover)」に表示される「3V(vertical video views)」動画広告を測定し、リーチやフリークエンシー、デモグラフィック(属性)構成といった測定値を利用できるようになる。
ソーシャルネットワーク「Snapchat(スナップチャット)」は先日、英国においてニールセンと提携した。掘り下げたオーディエンス指標を提供するためだ。これを受け、エージェンシー各社は、Snapchatに広告主の資金が流れ込むと予想している。
Snapchatはこれまで、広告主に対して、デイリーユーザー1億3000万人の行動に関するインサイトをほとんど提供してこなかった。今回、ニールセンのモバイルデジタル広告視聴率(mDAR)が加わったことで、ブランドやエージェンシーは、Snapchatの「ライブ(Live)」や「ディスカバー(Discover)」に表示される「3V(vertical video views)」動画広告を測定し、リーチやフリークエンシー、デモグラフィック(属性)構成といった測定値を利用できるようになる。
米DIGIDAYが取材した複数のエージェンシーによると、Snapchatは現在、メディア支出のごく一部しか占めていないが(ある会社は1%という数字を示した)、各社とも今回の発表を受けて、その割合が拡大すると見込んでいる。
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成熟に向かう「象徴的な一歩」
Snapchatは2月、ニールセンのデジタル広告視聴率を米国で採用し、それ以来Snapchatへの支出は増加している。米国においてSnapchatはほかにも、広告効果測定企業のイノビッド(Innovid)やサイズミック(Sizmek)と提携している。
電通グループのデジタルエージェンシーであるカラ(Carat)でグローバルデジタルパートナーを務めるジェリー・デイキン氏は、米DIGIDAYの取材に応え、英国でサードパーティーの広告データを提供する動きは、Snapchatが成熟に向かう「象徴的な一歩」だが、Facebookなどのライバルに追いつくのは、まだ遠い先のことだと述べた。
「Snapchatは成り上がり的存在と見なされやすいが、今後は従来のメディア指標を提供しつつ、強気の価格設定で強力なリーチを提供できることを示すことになる」と、デイキン氏は話す。同氏はまた、マーケターは現在、Snapchatプラットフォームで第2、第3のキャンペーンを実施しているが、これは、ほかではリーチできないオーディエンスへのアクセスをSnapchatが提供できるからだと付け加えた。
テレビと同等の存在に
ニールセンによる今回の視聴率はシンプルなものだが、Snapchatはこれによりテレビネットワークと同等の存在になる。とはいえ、自社の数字を独立した調査会社に委ねるのは、Snapchatにとって大きな跳躍だ。
メディアエージェンシーのメディアコム(Mediacom)でグローバル・ペイドソーシャル責任者を務めるルネ・メロウ氏は、このニュースは「宿題を自己採点する」あり方から広告主を解放する重要な一歩だと話す。「我々はクライアントのために、高い基準のビューアビリティ(可視性)を得ようと鋭意努力している。サードパーティーによって検証されるのは重要なことだ」と、メロウ氏は付け加えた。
メロウ氏は、ネットオークションのイーベイ(eBay)や石油元売のシェル(Shell)などからなるクライアント各社の英国におけるSnapchatキャンペーンを統括してきたが、広告ユニットのリーチを証明できる客観的な証拠が必要だと思ってきた。さらに、利用時間の指標という問題もある。広告主は、Facebookなどほかのプラットフォームでは「ユーザーが動画コンテンツに費やしている総時間」を確認できるが、いままでのSnapchatではできなかった。
「データが多いほど強力になる」
ニールセンの視聴率は、Snapchatのすべての広告主に適用されるわけではなく、「3V」ユニットの試験プログラムにかなりの額を出している一部ブランド(主に消費財)に限られている。デジタルエージェンシーのロスト・ボーイズ(Lost Boys)でソーシャル業務を統括するダニエル・プライス氏によると、Snapchat上でのターゲティング広告「ジオフィルター」(Geofilter)が、わずか5ポンド(約785円)から実施できる一方で、「ディスカバー」セクションへの優先掲載にはブランドが75万ドル(約8173万円)ほど払うこともあるという。
プライス氏は、今回の動きは正しい方向への一歩であるものの、Snapchatが競争力を高めてマーケターの投資を呼び込むには、分析プラットフォームをより洗練させる必要があると話す。ちょうど、Facebookのようにだ。
「ブランドにとって便利なのは、エンゲージメントの計画と管理ができるフートスイート(Hootsuite)のようなバックエンドプラットフォームだ」と、プライス氏は語る。同氏はまた、Snapchatのスクリーンショット機能についても、ユーザーがブランデッドコンテンツをどのように再利用し、それぞれの人脈に拡散しているのかを計測したいと考えている。
「私の勘ではブランディングに有効なのだが、何かほかに我々のためになっているだろうか? Snapchatは正しい方向に進んでいるが、私はもっと知りたい。プラットフォームは、ユーザーに関するデータが多いほど強力になるのだから」と、プライス氏は付け加えた。
「ROIは満足のいくものだ」
今回の動きに対するほかの見方としては、エージェンシーがSnapchatに関してすでに把握しているデータを確認する手段だというものもある。菓子メーカーのキャドバリー(Cadbury)でブランドマネージャーを務めるバーボラ・ハーリチョバ氏は現在、Snapchat上で一連の「スポンサード・レンズ」を使って、チョコバー「クランチー(Crunchie)」のキャンペーンを実施している。データがあればキャドバリー・チームがやっていることを最適化できるかもしれないが、ビュー数だけでも成功の指標として価値があると、同氏は話す。
「ダークソーシャルのプラットフォームでは、見込める数字を把握するのが難しい。我々の場合、ROI(投資利益率)は満足のいくものだ。これまでのところキャンペーンが期待以上の結果を出しており、最初のレンズのビュー数が900万に到達したからだ」と、ハーリチョバ氏は語った。
ソーシャルマーケティングを提供するウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)の研究イノベーション担当シニアディレクター、 ポール・グリーンウッド氏によると、ニールセンの視聴率はまた、エージェンシーとブランドがソーシャルの支持を拡大する後押しになるという。「これは、ブランドに対するソーシャルの価値を証明する重要な前進になる――これらの指標を上司たちの前に並べて、インパクトがあることを提示できる」と、同氏は語る。
「何を向上させているのか? 売り上げか? ブランド認知か? それらのことは重要だがわかっていない。Snapchatがそれを証明できるなら、予算はさらに増えるはずだ」と、グリーンウッド氏は付け加えた。
Grace Caffyn (原文 / 訳:ガリレオ)
Image via AdamPrzezdziek