家具小売のアシュレイ(Ashley)は6月、サンタモニカピアでココナッツドリンクを配り、DJベラ・フォックスのライブ演奏を流し、最新のアウトドア家具を紹介していた。
このような実験的なイベントは、アシュレイ(旧アシュレイ・ホームストア)が買い物客の注目を集め、店舗に入らずとも商品を見てもらうことを目的としている。これらのイベントでは、ワークショップ、無料サンプリング、歌手のジョン・レジェンドやピットブルなどさまざまなアーティストによる生演奏が行われる。これらのイベントはそのキャパシティに応じて40人から2000人程度を動員することもあるが、冒頭のサンタモニカピアのイベントは、この地域の自然なトラフィックから、3万人の動員を予想していた。
ブランドがイベントを主催するのは新しいことではないが、ブランド構築とマーケティングの重要な要素であり続けている。特に、買い物客の自由裁量の予算が減少し、多くのブランドがその予算を奪い合っている現在は、その重要性が増している。アシュレイは、こうしたイベントを5年前に開始し、それ以来、消費者がブランドへの関心を高め、若い層のオーディエンスと関わるためのャネルとなっている。これらのイベントは、昨年開始した同社のリブランディングを伝える上でも重要な役割を果たしている。
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6月、家具小売のアシュレイ(Ashley)はサンタモニカピアで、ココナッツドリンクを配り、DJベラ・フォックスのライブ演奏を流し、最新のアウトドア家具を紹介していた。
このような実験的なイベントは、アシュレイ(旧アシュレイ・ホームストア)が買い物客の注目を集め、店舗に入らずとも商品を見てもらうことを目的としている。これらのイベントでは、ワークショップ、無料サンプリング、歌手のジョン・レジェンドやピットブルなどさまざまなアーティストによる生演奏が行われる。これらのイベントはそのキャパシティに応じて40人から2000人程度を動員することもあるが、冒頭のサンタモニカピアのイベントは、この地域の自然なトラフィックから、3万人の動員を予想していた。
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ブランドがイベントを主催するのは新しいことではないが、ブランド構築とマーケティングの重要な要素であり続けている。特に、買い物客の自由裁量の予算が減少し、多くのブランドがその予算を奪い合っている現在は、その重要性が増している。アシュレイは、こうしたイベントを5年前に開始し、それ以来、消費者がブランドへの関心を高め、若い層のオーディエンスと関わるためのャネルとなっている。これらのイベントは、昨年開始した同社のリブランディングを伝える上でも重要な役割を果たしている。
認知度向上のための実験的イベント
アシュレイのマーケティング戦略担当バイスプレジデントを務めるケリー・デイビス氏は、「アシュレイは、その認知度に比べて、ブランドを検討してもらう機会がやや低いということがわかった。我々の目標は、カテゴリー内でもっとも検討されるブランドにすることであり、そのために実験的なイベントを開催することになった」と語る。社内調査の結果によると、買い物客は、アシュレイをブランドとしては知っているが、買い求めるブランドとして考えていないことがあることが判明したと同氏は述べた。同社はこれを戦略的な背景として、より多くの人が商品に興味を持ち、将来的には商品の購入を検討してくれるようになることを望んでいる。
こうしたイベントの成功は、特にインフルエンサーが招待した場合のソーシャルインプレッションで測られると同氏は述べた。小規模なイベントでは、同社のインスタグラムアカウントに新しいフォロワーが2000人増え、平均的なイベントでは10万件の新しいリードを生み出すことができる。同社が昨年、音楽プラットフォームのパンドラ(Pandora)とのコラボレーションによって開催したイベント「ホームオンツアー(Home on Tour)」では、ピットブルや、ジョン・レジェンド、コール・スウィンデルといったアーティストがさまざまな都市で演奏を行い、300万から500万のソーシャルインプレッションを獲得した。
「新生アシュレイ」発信の場に
1945年からの歴史があるアシュレイは、オンラインと店舗で4万8500以上のSKU(在庫管理単位)を保有しており、「北米で最大の家具小売業者にして、世界最大の家具製造業者」だとデイビス氏は語る。同社は48の州に店舗を持ち、全世界で1100以上の拠点がある。同社は収益の正確な数値を公開していないが、2013年の卸売売上高は40億ドル(約5600億円)に迫り、現在は年間3000万点の家具を納入しているという。
同社は昨年6月、リブランディングの一部として社名をアシュレイ・ホームストアからアシュレイに変更した。また、実店舗をリモデルし、スタイルを一新しようとしている。リブランディングの目的のひとつは、お金をかけずに高級感を求める若い中間層の買い物客を引きつけることだ。
アシュレイは、リブランディングをこれらのイベントに反映したいと考えている。ナッシュビル、L.A.、ダラスで開催したホームオンツアーイベントでは、参加者がアシュレイのトレンド家具に変わった形で関わることができる。たとえば、反転した寝室や、分解されたダイニングルームのテーブルのディスプレイなどだ。同社は昨年、6つのイベントを開催し、無料で一般公開した。デイビス氏によると、今年は、大規模な全国規模のイベントを少なくとも2~3回実施する予定だという。
小規模のイベントは店舗でも開催しているが、大規模イベントを開催する際は、人通りの多い場所に目を向ける。「我々はいつも、インフルエンサーパートナーをより多く呼ぶことができるロケーションを探す。しかし、もっとも重要なのは、ロケーションを検討するときに、その地域の人の往来をしっかりと活用することだ。そのため、可能な限り多くの消費者にリーチできる大都市で常に開催するようにしている」とデイビス氏は述べる。
店頭イベントの影響
規模は小さいものの、店頭イベントも集客と売上の向上を後押ししている。フロリダのセブリングで最近開催した店頭イベントでは、来客で予算を163%、売上で予算を116%それぞれ上回った。
ベラルディ・ウォンでデジタル戦略および統合マーケティング担当のバイスプレジデントを務めるカーラ・マーフィー氏は、地域コミュニティと繋がり、ブランドの認知を広めるため、イベントは効果的な方法になり得ると語る。家庭用品ブランドのパラシュート(Parachute)や、調理器具ブランドのアワープレイス(Our Place)は、集客と売上を増やすために店頭でのイベント開催を選んだ。
しかし、同氏は、イベントが企業全体の運営に与える影響を追跡するのは難しい場合があるという。「FacebookやGoogleのように、完全な1対1のパフォーマンスマーケティングチャネルではない。パフォーマンスマーケティングほど測定可能なものではないのは明らかだが、だからといって価値が低いとは限らない」と同氏は述べた。
[原文:After a rebrand, furniture retailer Ashley is leaning on live events]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
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