BNPL(後払い)プロバイダの アファーム (Affirm)の決済サービスはeコマースとの提携がその成長を支えている。第2四半期の決算発表で、新規加盟店および収益の増加は、この数年のあいだにAmazonやShopifyといったeコマース大手とのあいだに締結された提携が大きく寄与していると明らかにした。
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BNPL(後払い)プロバイダであるアファーム(Affirm)の決済サービスは、eコマースとの提携がその成長を支えている。
同社は2月10日に行われた第2四半期の決算発表で、新規加盟店および収益の増加は、この数年のあいだにAmazonやShopify(ショッピファイ)といったeコマース大手とのあいだに締結された提携が大きく寄与していることを明らかにした。Amazonは11月から、後払いサービス導入のためアファームを使いはじめた。またアファームは2020年7月、Shopifyの決済サービスであるショップペイ(Shop Pay)アプリで提供される、分割支払いサービスの独占プロバイダであることが発表された。
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前四半期において、アファームの販売総額(GMV)は前年比115%増の45億ドル(約5220億円)に達した。同社はこれが、最近のeコマース統合によるものとしている。アファームは2021年1月に株式を公開したとき、収益の28%はたったひとつの小売業者によるものだと明らかにした。ペロトン(Peloton)である。現在ではAmazonやShopifyとの新しいパートナーシップにより、加盟店ベースを多様化し、数百万人もの新しい買い物客にアクセスできるようになった。
同社の収益は77%増加して3億6100万ドル(約419億円)に達し、アナリストたちが予測した3億2880万ドル(約381億円)を上回った。同社のアクティブユーザー数も前年比で150%増加し、1120万人に達した。
しかし、この成長には大きな損失がともなった。同社は、営業損失が昨年同期の2680万ドル(約31億1000万円)から1億9620万ドル(約228億円)に増加したことを公表している。この数値には、2021年1月のIPOによる8200万ドル(約95億円)の株式ベース補償の増加も含まれている。
Amazonからの支援
アファームは、Amazonとの新たなパートナーシップが同社の成長に含まれていると発表した。このパートナーシップは昨年11月、ブラックフライデー(Black Friday)ショッピングの時期に公表されたものだ。
同社の創設者でCEOを務めるマックス・レブチン氏は、決算発表において次のように述べた。「我々は、アファームが今年、ブラックフライデーとサイバーマンデーの期間において、米国の全アウトライン取引量のうち1.6%を処理したと推定している。これも昨年と比べて3ケタの成長を見せた」。
Amazonは急速に、アファームのBNPLサービスにおいて、顧客獲得とリピート客の主要な供給源になりつつある。みずほフィンテック(Mizuho fintech)のアナリストを務めるダン・ドレブ氏は、昨年末までに、Amazonがペロトンの座を奪い、アファームの収益源としてトップに躍り出た可能性が高いと指摘する。提携後の最初の四半期において、Amazonによるアファームの成長は「非常に力強いものだった」と、ドレブ氏は決算発表の注釈で述べた。
ドレブ氏は、Amazonによる成長を別にしても、アファームの販売総額は前の四半期の倍に増加したと言及している。さらに、そのほかの大手小売業者の決済ページにアファームが表示されていることが、同社の成長の鍵を握っているようだと、同氏は述べている。「Amazonとの提携や、そのほかの場所でも大きな成功を収めていることは、アファームがクレジットに代わる有力な選択肢であることを再認識させた」とドレブ氏は語っている。
しかし、一部のアナリストはアファームによるAmazonの取引の取得率が予想より低いことを懸念し、その結果、アファームの株価は2月10日午後に下落した。
2012年の設立から数年のあいだ、同社はペロトンバイク(Peloton bike)など高額商品を購入する資金の調達に役立ってきた。しかし2020年に同社は、利用者が最低50ドル(約5800円)の買い物から融資できるようにすることで、少額の注文を行う顧客を獲得しようとした。それ以降、同社はサービスの多様化を図り、加盟店の基盤がより拡大するようアピールを行っている。
Shopifyマーチャントの成長
アファームが小売業者から大きな支持を得ている理由のひとつは、eコマース加盟店とのバックエンドでの統合が進んでいることだ。
ショップペイのBNPLサービスにアファームの技術を搭載するというShopifyとのパートナーシップは、引き続き実を結んでいる。この提携は2020年7月にはじまったもので、アファームが数千もの中小規模のマーチャント(加盟店)を顧客として加えるのに役立っている。2月10日の決算発表によると、「アクティブなマーチャントの数が8000から16万8000に増加した」。またShopifyは2021年1月、アファームがIPOを発行したとき、20億ドル(約2320億円)相当の出資を行った。
この成長は、主にShopifyのプラットフォームでマーチャントがShop Payの分割払い(Shop Pay Installments)を採用したことが要因であるという。アファームのCFOを務めるマイケル・リンフォード氏は決算発表において、「直近の12カ月間で算出したアクティブなマーチャントの数は、9月末までの四半期から64%増加した」と述べている。
カーニー(Kearney)で金融サービス実践のアソシエイトパートナーを務めているヒーマル・ナガーシェス氏は、BNPLの選択肢は加盟店にとって重要性を増してきていると語る。たとえばShopifyの決済では、アファームを使用する同社独自のショップペイに加え、複数の分割払いオプションを顧客に提供している。
ナガーシェス氏は、中小企業から少額の買い物をする顧客にとって、BNPLが重要性を増しつつあるとも述べている。実際、アファームとショップペイとの提携が示すように、ペロトンバイクよりはるかに少額の買い物に対して分割払いを認めることで、より少額の注文にも対応していることが示されている。
「BNPLは、消費者の利便性を高め、選択肢を増やし、消費者が自らの財務を管理できるようになり、小売業者と消費者とのあいだの信頼を高めるものだ」と同氏は述べている。
[原文:Affirm’s revenue growth is being driven by Amazon and Shopify]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Affirm