アドバタイジング・ウィーク・ヨーロッパ(Advertising Week Europe)が3月にロンドンで開催された。その参加者との雑談からうかがえたのは、インフルエンサーマーケティングがついに成長期に入り、メディアバイを代表する存在に近づきつつあるということだった。
アドバタイジング・ウィーク・ヨーロッパ(Advertising Week Europe)が3月18日から21日まで、ロンドンで開催された。そこに参加した広告主やパブリッシャー、エージェンシー、インフルエンサーの雑談からうかがえたのは、インフルエンサーマーケティングがついに成長期に入り、メディアバイを代表する存在に近づきつつあるということだった。
この変化については以前から話題にのぼっていた。だが、不正と懐疑論が影を落とす、このマーケティング形態の効果に対する懸念の高まりに後押しされる形で、より多くの関係者がインフルエンサーマーケティングの確立に向けて動きつつある。
クライアントの意識変化
「インフルエンサーを評価する際には、いいね!やフォロワー数、コメントのみを見ないようにすることのほうが、はるかに重要だ。そんなものはいくらでも捏造できるからだ」と、マーケティングコンサルタント会社のインフルエンサー(Influencer)でCEOを務めるベン・ジェフリーズ氏は語った。「インフルエンサーの実際のパフォーマンスを把握するためにも、広告主は誰が投稿にいいね!したり、コメントしたりしているのかというデータの裏側に目を向ける必要がある」。
Advertisement
ユニリーバ(Unilever)は、同社が買うリーチのプロキシとしてフェイクのフォロワーにフォーカスするのではなく、各自のパフォーマンスに基づいてインフルエンサーに報酬を支払いたいと思っていると、同社でシニアグローバルブランドマネージャーを務めるターカー・ビルジン氏は今回のイベント内のあるセッションで語った。つまり、フォロワーがひとつの投稿にどのぐらいの時間を費やしているのか、インフルエンサーにメッセージを直接送っているかどうかといった側面にもっと注意を払うということであり、それにはそのデータにアクセスできる関係をインフルエンサーとのあいだに築くことが必要になる。これを実行することで、従来型のブランドパートナーシップを結ぶときと同じようなやり方で、インフルエンサーとの取引もまとめられるようになってきたと、ビルジン氏は述べた。
「私はインフルエンサーを独立したブランドと考えている」と、同氏は語る。「ユニリーバはブランド2社間のコラボレーションとしてインフルエンサーとの取引にアプローチしている。ユニリーバは、インフルエンサーのオーディエンス規模以上に、彼らのブランドと我々のブランドのフィット感に目を向けているのだ。彼らが何を支持し、何を代弁しているのかといったことに」。
先日発足したニュースUK(News UK)のインフルエンサーマーケティング部門は、インフルエンサーマーケティングがメディアプランにフォーカスしつつあることのさらなる証拠となっている。スタッフ8人からなる同マーケティングエージェンシーは、年次会合を利用して、広告主が口コミによるマーケティングと従来型メディアのあいだにあるギャップを埋められる手段として売り込まれているオファーへの関心を集めようとしている。
インフルエンサーも慎重に
インフルエンサーもまた、自身が製品・サービスの宣伝を手がける企業に対する選別力を高めはじめている。長期契約の提案はますますインフルエンサーを特定の広告主へと向かわせる誘因となっていると、インフルエンサーたちは口を揃えて語った。彼らはバニティメトリクス(虚栄の指標)を追いかけている企業との協働に対する警戒心を強めている。
「いくらお金を積まれても、宣伝を頼まれているゲームや製品、サービスが私とつながらないのなら、私のオーディエンスともつながらない」と、Twitch(ツイッチ)インフルエンサーのクリストファー・“サクリエル”・ボール氏はいう。同氏は2017年からこれまでに、100以上のブランドと仕事をしている。これまでにオファーされた取引のおよそ40%がこれに該当すると、ボール氏は述べた。
「なかにはずっと一緒に仕事してきたスポンサーもいる。彼らは私をオフィスに招いては、近々発売される新製品について教えてくれ、フィードバックを求めてくる」と、ボール氏は語った。「こうしたブランドの担当者やマネージャーとは親しい間柄で、スポンサー2社の関係者には私の結婚式にも出席してもらった」
Digiday editors (原文 / 訳:ガリレオ)