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パーパス・ドリブン・マーケティング で、差をつけろ!:AWA 2021 Leadership Forum のハイライト

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本記事は、2022年1月6日までオンライン視聴可能な「Advertising Week Asia 2021 Leadership Forum」のExecutive Producerを務める笠松良彦氏による寄稿です。

こんにちは、Advertising Week Asia, Executive Producerの笠松良彦です。

先日12/7からオンラインにて視聴可能となっている、Advertising Week Asia 2021 Leadership Forum。皆さんはもう御覧になりましたか?まだの方は2022年の1/6まで視聴可能ですので、お正月のテレビ番組に飽きたら、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか?2022年のキックスタートにきっと役立つはずですよ。

今回は、特にイベントのメインテーマとなっている「メイキング・アン・インパクト・ウィズ・パーパス・ドリブン・マーケティング(Making an impact with purpose driven marketing)」にふさわしい5つのセッションを参考に、我々が皆さんと共有したいと思っているパーパスについて、具体的なセッションの内容も引用しながら、簡単に触れていきたいと思います。今回は、ピクニック(Picnic)創業者兼最高戦略責任者のアレックス・パイエテ氏と、コカ・コーラカンパニー(Coca-Cola Company)のヨーロッパ・アクティブ・ハイドレーション部門ブランド・ディレクターのスサナ・ガルシア氏のセッションを中心に引用しながらお話ししたいと思います。

パーパスとは何か?

パーパスとは目的です。企業やブランドが存在する目的・理由。つまり存在理由のことです。私たちは、資本主義の経済圏の中で、仕事=お金を得る手段=生活する手段、というバイアスを持っています。それは決して悪いことではありません。しかし、企業やブランドが、「お金を稼ぐこと」だけを存在理由や目的としていたとしたら、それはもう長くは続かないでしょう。それは、商品サービスの機能的な価値よりも、企業ブランドの理念や存在理由によって購買行動が左右され始めているからです。そしてそのことに気付いている世界中のブランドや企業が具体的に行動を始めています。

ブランドのパーパスを言語化・可視化する

その時に最初に取り組むコトが、企業/ブランドのパーパスの言語化/可視化です。それは決して耳障わりの良い、綺麗な言葉を並べることではありません。そのブランドが心の底から、存在したいと願っている理由・目的です。そして、それが正しく言語化/可視化出来ている企業やブランドはまだまだ一部だということです。

コカ・コーラのセッションで紹介されたのは、135年ものあいだ継続されているパーパス「リフレッシュ・ザ・ワールド。メイク・ア・ディファレンス。(Refresh the world. Make a difference.)」でした。 ポイントはどうやって人々の生活や身体を具体的にリフレッシュ出来るのか? どうやったら実現できるか? です。スペインのアクエリアス(Aquarius)・ブランドの事例では、自社のパーパスから導きだした「自由に飲もう」というブランドメッセージで10年間は成長(売上)が出来たものの、鈍化して行き詰った事例が紹介されました。

パーパスには顧客のインサイトとの接点が不可欠

アクエリアスの成長の鈍化の原因は何か? それを探るためにピクニックと一緒に議論を始めたそうです。消費者のインサイトとブランドの目的の再定義が必要だったのです。顧客の本当の欲求は何か? 心の奥の本音は何か? そのインサイトを探る旅を始めたのです。そして発見した顧客のインサイトは「進歩への欲求」と「チャレンジ」、その人たちを「エブリバディ・アントゥレプレナーリアル(Everyday entrepreneurial)」と名付けたそうです。そしてアクエリアスは、顧客が毎日何かを行動することを支える存在になると決めました。キーワードは「リチャージ」です。この思想で創ったCMは人々に大きな共感を産みました。それは人間が毎日新たに行動できる生き物であるというメッセージです。セッションではその動画も見れますので是非是非ご覧になってください。私はグッときました。きっとあなたも共感する何かがあるはずです。

出典:「理念と利益 デザインエッグ社 笠松良彦著

 

理念と利益は相関する

ここでもうひとつ大事なことは、企業やブランドのパーパス、つまり理念と、ビジネスとしての利益は相関するという事実です。正確に言えば、正しいパーパスを定義し、それを顧客との接点の隅々まで行きわたらせた企業やブランドは、高い確率で利益も上がっているということです。先のアクエリアスの事例では、売上高は18%伸び、ブランド好感度も上がりました。また私の著書である「理念と利益」でも日本の企業や、米国での調査結果もご紹介していますので、ご興味があれば是非参考になさってください。

すべては「より良い顧客体験」のために

今までも、ホワイ(Why)から始めよとか、ビジョン(Vision)、ミッション(Mission)など、パーパスに係るさまざまなワードがありました。どれも本質的には同じ「目的」のために重要だと語られてきたワードです。それは、「より良い顧客体験をデザインすること」です。ブランドの存在理由を言語化し、顧客のインサイトを発掘して、顧客が真に欲しているものをブランドからのメッセージとして、あらゆる顧客接点で語っていく。顧客と一緒にストーリーを紡いでいく。最近ではナラティブなコミュニケーションが大切だとも言いますね。カタカナ言葉が多くて迷ってしまいそうになりますが、すべての目的は同じです。どうやって「より良い顧客体験をデザインできるか?」この1点です。そして、すべての活動の出発点となるのが、企業/ブランドのパーパスです。

以上、とっても簡単ではありますが、イベントのセッション情報を引用しながら、パーパスとは何か? について触れてまいりました。下記に「Advertising Week Asia 2021 Leadership Forum」から。ほかのおすすめセッションの情報を載せておきますので、ぜひご覧いただければと思います。必ず皆さんのビジネスに役立つ情報をインプット出来ると思います。

① Rediscovering together the power of Purpose.

ピクニック創業者兼最高戦略責任者のアレックス・パイエテ氏と、コカ・コーラカンパニー ヨーロッパ・アクティブ・ハイドレーション部門ブランド・ディレクターのスサナ・ガルシア氏が、アクエリアスの「目的」を再発見した経験について紹介します。

②「パーパス経営と広告コミュニケーション」

川崎重工業の鳥居氏による同社のブランドコミュニケーション戦略の紹介があります。

③ パーパスとビジネスは直結するのか? 「ドン・キホーテ」の取組みからみえる「ブランドと生活者の関係性」のこれから

ブランドの存在意義をつくりなおし、構想にとどまらず、多様な顧客接点で様々なアクションをおこない、結果をだしている「ドン・キホーテ」の取組みや背景にある意図を掘り下げています。

④ 対談:Twitter X 日産自動車 〜自動車業界変革期を勝ち抜くための新規ビジネス領域とTwitter活用方法〜

Twitter Japan代表の笹本氏と日産自動車株式会社CMO星野氏から「開かれた会話を提供すること」というパーパスを掲げてきたオープンな場、Twitterをどのように活用して日産自動車がそのブランド力強化に取り組んできたか、キャンペーン具体例とともに紹介されています。

⑤ 宇宙、人、夢をつなぐ 〜EARTHSHOTの挑戦〜

2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号にミッションスペシャリストとして搭乗した宇宙飛行士・山崎直子さんを迎え、宇宙を考えることにより、私たちの住む地球についても客観的な広い視点での理解を深め、私たち自身への理解も深まる素敵なセッションです

Written by 笠松良彦
Photo from Shutterstock