世界最大級のマーケティング・コミュニケーションのイベント「Advertising Week 2020:Asia(アドバタイジング・ウィーク2020アジア)」が明日14日から2日間に渡って開催される。日本のカウンシルメンバーである音部大輔氏、荻野英希氏、長崎亘宏氏が注目している3つのセッションを教えてもらった。
LL・クール・Jにロバート・キャンベル教授、そしてガンダムと、いままで以上に多様性に富んだ内容になりそうだ。
世界最大級のマーケティング・コミュニケーションのプレミアムイベント「Advertising Week 2020:Asia(アドバタイジング・ウィーク2020アジア)」が明日14日から2日間に渡って開催される。今回で5回目となる同イベントは、昨今の事情を鑑みて、やはりオンラインでの実施となるという。半月ほど先行して実施されたニューヨーク・ロンドンの「Advertising Week 2020」から選りすぐりのプログラムと、Asiaオリジナルのコンテンツを盛り込んだ、ハイブリッドなプログラムで展開される。
「『海外のウェビナーも観たいけど英語だとわからない』』『どのウェビナーが良いのか自分で選べない』という方。ご安心ください。AW2020Asiaは、日本のカウンシルメンバーが選んだロンドンNYのベストセッションが日本語字幕で観れます」と、Advertising Week 2020:Asiaのエグゼクティブ・プロデューサーを務める笠松良彦氏は語る。「もちろん日本からもマーケティング・コミュニケーション業界のトップランナーが本質を語るセッションが多数ランナップ。海外に行かずとも世界の知見が学べるのはAW2020Asiaだけ」。
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DIGIDAY[日本版]では、さらに日本のカウンシルメンバーであるクー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏、FICCの荻野英希氏、講談社の長崎亘宏氏の御三方から、今回特に注目している3つのセッションと、その理由について教えてもらった。
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音部大輔氏が注目する3つセッション
音部大輔 クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役/P&G、ダノン、ユニリーバ、資生堂などでマーケティング担当副社長やCMOとしてビジネスの回復や成長を指揮。2018年より現職。国内外のクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー、日経BtoBデジタルマーケティングアワード審査員。『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
Great Minds Keynote: Why doing good is good for business – advertising in the Cover landscape and beyond
Wed Oct 14, 10:00 AM – 10:30 AM
Advertising Week 2020:Asia、一発目のキーノートです。歴史上、最悪に近い経済の減速に直面しつつも、EC売り上げは4カ月で4年分を達成しているという話もあります。デジタルが計測可能性に加えて非接触性というベネフィットを顕現させたり、あるいはデジタルによるニーズとベネフィットのマッチング能力によってD2Cが隆盛してきているように、多くの変化が同時多発的に進んでいます。広告とマーケティング界隈の歴史の証言者ともいえるAdvertising Weekのグローバル事務局イチオシのセッションで、なにがどのように語られるか、刮目して見ましょう。
Afternoon Yoga
Wed Oct 14, 12:00 PM – 1:00 PM
カンファレンスのど真ん中で20分のヨガです。リアルカンファレンスだとせいぜい「背伸びしてみましょう」程度のことですが、全面オンラインカンファレンスならではの趣向と言えるでしょう。1時間の休憩のうちの20分なので、ランチをとる時間もちゃんとあります。リラックスしつつ、コンフォートゾーンから出られる稀有な体験が得られます。ヨガマットの上で、体と心の声に耳をすませましょう。
私たちのガンダムから学ぶブランド論
Wed Oct 14, 2:00 PM – 2:30 PM
インフォバーン(Infobahn)のCOOを務める田中準也さんと一緒に、ガンダム・ブランドのジェネラル・プロデューサーである小形尚弘さんに、どのようにこの強力なブランドが形成されたのか伺いました。数多の作品群のなかでも稀有な成功と長命を誇る私たちのガンダムは、偶然の産物か、それとも必然の連鎖によるものか。現状と仮説を、歴史的経緯とブランド論を通して紐解くことで、「長く愛されるブランド」の成り立ちに新しい示唆があるかもしれません。
荻野英希氏が注目する3つセッション
荻野英希 FICC 会長/2004年に株式会社エフアイシーシーを設立。現在は株式会社エフアイシーシーの会長として、日本のリーディングブランドにマーケティングマネジメントの指導や、データドリブンマーケティングのコンサルティングを提供。
Great Minds in Conversation: Gary Vaynerchuk on the Shifts in Consumer Behavior During the Covid Era
Thu Oct 15, 10:00 AM – 10:30 AM
コロナ禍で誰もが空気を読みすぎて、挑発的な発言を一切しないなかで、彼だけはタブーを恐れずに本質を突いたプレゼンをしてくれるはず。このセッションでは、ヴェイナーメディア(Vaynermedia)のギャリー・ヴェイナーチャック氏が、パンデミックで大きく変化した消費者行動を、マーケターが「機会として利用する方法」を説明してくれる。この表現が不謹慎であると感じる人もいるかもしれないが、もちろんそれは承知のうえだ。彼は人のアテンションを捉える達人であり、そのプレゼンテーション手法だけからでも多くの学びが得られるはずだ。彼のステージを見たことがない人は、是非この機会を逃さないで欲しい。
Mental Resilience: A Leadership Playbook on Investing in Human Capital
Wed Oct 14, 5:00 PM – 5:30 PM
マーケティングの仕事には、密接かつ対立的な人間関係が多く存在する。強いメンタルがなければ、プレッシャーの多い環境で成果を出し続けることはできない。特にコロナによって私たちの多くは自覚している以上に不安やストレスを感じ、些細なことで圧倒されるようになっている。このセッションではハフィントンポストの創設者のアリアナ・ハフィントン氏と、ZoomのCEO、エリック・ヤン氏などがビジネスのパフォーマンスと成果を最大化するための「メンタルの強化」について話し合う。
ロバート キャンベル教授に学ぶ「生活者の視点の変え方」
Wed Oct 14, 11:30 AM – 12:00 PM
私がAWAのカウンシルメンバーとして今年5月のイベント企画をサポートしていた際に、広告業界に務める若者(U30)に「お金を支払ってでも話を聞きたい人」についてアンケートを行った結果、ロバート・キャンベル教授の名前が挙がった。若者の学びになるために、コメンテーターとしてさまざまな社会問題を解説するキャンベル教授に「生活者の視点の変え方」についてお話し頂けないかとお願いをしたところ、ご快諾頂けた。その後、5月のイベントは自粛されたが、今回リモートでご参加頂けることになった。若者でなくても重要な学びが得られるはずなので、是非視聴して欲しい。
長崎亘宏氏が注目する3つセッション
長崎亘宏 株式会社 講談社 ライツ・メディアビジネス局 局次長 兼 IT戦略企画室 室次長/デルフィス、マッキャンエリクソンでのメディアプランニング職を経て、2006年講談社に入社。2010年より、雑誌広告効果測定調査「M-VALUE」設立・運営に従事。2014年より、JIAAネイティブ広告部会座長として、ガイドラインや広告効果指標を整備。2017年より、日本ABC協会雑誌ブランド指標ワーキンググループのリーダーとしてメディアデータの再編に従事。第3回Webグランプリ「Web 人 of the year」受賞。
How Brands and Advertisers Can Authentically Connect With the Arbiters of Culture — The Hip Hop and Black Community
Wed Oct 14, 5:30 PM – 6:00 PM
今年のAW最大のビッグマッチかもしれない。LL・クール・J氏はアメリカを代表するヒップポップアーティスト、俳優であり、自身の本名を冠したアパレルブランド「ジェームス・トッド・スミス(James Todd Smith)」を立ち上げたファッションプロデューサーでもある。それに対するのは、ボゾマ・セントジョン氏。2014年にアメリカ広告業界で殿堂入りを果たした実力派マーケター。彼女は広告代理店からキャリアをスタートし、ペプシ(PEPSI)、Apple、ウーバー(Uber)でそれぞれ重責を担い、現在はNetflixのCMOを務める。BLMによる火種がいまだ残るなかで、トレンドセッターとしてのブラックカルチャーと広告ビジネスとの関わりに切り込む、このふたりから目が離せない。
新型コロナウイルスによる世界各国と日本の生活者へのインパクトと意識の変化
Wed Oct 14, 3:00 PM – 3:30 PM
いまだ終息を見せていないコロナ禍において、数々のライフシフトや破壊的イノベーションが生まれている。しかしながら、それらの根幹となるインサイトは何か? しかも、時間軸やエリアをまたいでの違いはあるのか? という本質的な疑問を解き明かしてくれるセッションがこちら。マッキャン・ワールドグループ(McCann Worldgroup)のグローバルチームと日本チームがコラボした、新型コロナウイルス感染症に関する意識調査「Truth About Culture and COVID-19(文化と新型コロナウイルスについての真実)」(世界18カ国、約1万2000人を対象)の最新の結果が、同社ストラテジストの松浦良高氏によってお披露目される。実に興味深い。
私たちのガンダムから学ぶブランド論
Wed Oct 14, 2:00 PM – 2:30 PM
西暦2020年。「劇場型ビジネスモデル」の崩壊。旧来型テレビ編成から解放されたい視聴者がNetflixなど定額制動画配信サービスへシフトし、その利用率は4割に迫った。イベントビジネスもリアルから配信へと収益構造が変化。まさにオンデマンドな世の中の到来。いわば戦国時代に。そのなかでいかにブランドの本質的価値を維持して生き残るのか? このセッションでは、時代を超えたマスターピース「機動戦士ガンダム」のチーフプロデューサーである小形尚弘氏を中心に、百戦錬磨のマーケティング戦士である、音部大輔氏、田中準也氏が加わって、文字通りのトークバトルを繰り広げる。果たして「秘密兵器」や「ニュータイプ」は見つかるのか? まさに胸アツなプログラム。
なお、今回のAdvertising Week 2020:Asiaでは、JAA(日本アドバタイザーズ協会)主催の第1回JAAチャレンジアワードの候補者によるプレゼンテーション、同賞の発表も行われる。広告主企業(団体)に所属する人であれば、JAA会員社以外でも応募できたこちらは、取り組み事例の規模や成否にとらわれずに、マーケティング課題や社会課題の解決につながるクリエイティブなアイデアを出した応募者を表彰するアワードとなっている。
※DIGIDAY[日本版]は、「Advertising Week 2020:Asia」のメディアパートナーです。
Written by DIGIDAY[日本版]編集部
Image from Twitter @Advertising Week Asia