インスタ・ストーリーズに傾倒する、アプリDL狙いの広告主

一部の広告主たちにとっては、インスタグラム(Instagram)のストーリーズ(Stories)に出稿する自社アプリの広告が、最大の収益源のひとつとなっている。

航空券予約アプリを提供するホッパー(Hopper)は、新規ユーザー獲得の方法としてソーシャルネットワークのタテ型動画を使用している数多い広告主の1社だ。この広告主は、モバイルアプリのインストール数を増やすためにストーリーズを利用できるようになった昨年5月以来、これまで以上にメディア予算をストーリーズに割り当てるようになった。現在では、この広告主がストーリーズに出稿しているのは、タテ型動画だけだ。

同社ユーザー獲得部門の統括者であるサイモン・ルジューン氏は、ストーリーズのフォーマットがスワイプアップによってトラフィックを増加させるうえでカギとなるという。同氏によると、この広告主がメディアに投じる総支出の半分をストーリーズが占めていると述べた。

ホッパーがインスタグラムのストーリーズから得られるアプリのインストール数は、Facebookのニュースフィードの広告で得られる数に比べて67%も多いとルジューン氏は言う。コンバージョンについてもストーリーズ広告の方がフィード広告よりも3倍以上になることが多かったという。ストーリーズにおけるホッパーの広告のポストビューコンバージョンも、インフィード広告から得られるポストビューコンバージョンよりも「高く」なっており、そのことからも「フィードにおいてもストーリーズは読み飛ばされないため、ストーリーズで閲覧された広告は記憶に残っている」ことがわかると、ルジューン氏は説明する。

広告は激しい競争にさらされているにも関わらず、それらの広告にかかるコストは比較的低い。たとえば、8月にホッパーは、アプリのインストールを促す広告を5.53ドルのCPMで購入した。対して、同一の広告は1月の時点では4.62ドルであった。ルジューン氏は、ホッパーは投資利益率に基づいて入札するという。そのため、ホッパーが支払うCPMは、前もって準備ができることになる。

効率のよさが魅力

ソーシャルラーニングアプリのブスウ(Busuu)は、アプリのインストールを促す広告をフィードプレイスメントと比べて、40%低いインプレッション当たりのコスト(CPI)で購入できるようになった。それに比例して、ストーリーズからのビュースルーインストール数は、ほかのプレイスメントからのそれよりも3倍高くなっている。とはいっても、プレイスメントが動画に集中していることを考慮すれば、特に驚くべきことでもないと、同アプリの有料ソーシャルサイトマネージャを務めるジョン・ビーズリ氏は言う。

「当社の経験から、ストーリーズはビュースルーコンバージョンに過度に頼る必要はない」と、ビーズリ氏は言う。「ビュースルーに適したクリエイティブ動画を主に配信していても、フィードプレイスメントよりも低いCPIで済む。クリックスルーコンバージョンだけを考慮した場合でさえ、同様だ」。

M&Cサーチパフォーマンス(M&C Saatchi Performance)も同じことを経験している。クライアントは、Instagramのフィードに出した広告からのインストール数よりも、ストーリーズに出した広告から平均して3倍高いインストール数を得ており、CPIは概して20%低いことになると入札メディアのエージェンシーマネージャ、フェイ・ナッシュ氏は言う。さらに、ストーリーズの広告は、インストール後のコンバージョンに対するCPAの効率を高めているようだとナッシュ氏は言う。

成熟するフォーマット

ストーリーズを使用して認知度を上げる以上の成果を得ているホッパーやブスウをはじめとする広告主が増えていることからも、このフォーマットが急速に成熟してきていることがわかる。スマノフ(Smirnoff)やステラ・アートイス(Stella Artois)をはじめとする企業は、このフォーマットでアプリをインストールしてもらう、あるいはWebサイトを訪問してもらうなどの具体的な目標を達成できるかどうか確信を持てないため、今年はストーリーズ内の広告を購入するのではなく、無料の試験投稿を実施することにした。現在、スマノフは、より高いパフォーマンスを実現する目標を達成するためにどの程度インフルエンサーを利用できるか検討している。

「アプリの広告主にとって、Instagramのストーリーズは直接的に収益を増加させるものとなった」と、広告自動化プラットフォームであるスマートリードットアイオー(Smartly.io)のクリエイティブスタジオチームで戦略担当者を務め、ホッパーとブスウの両社がInstagramのストーリーズでアプリのダウンロード数を増やす手助けをしてきたクリスティーン・グース氏は言う。「アプリを持っていない広告主は、主にストーリーズの広告を購入し、顧客にファネルの上層に入ってもらう目標を定めている。それらの広告に対して支払う資金を追加予算とはしない代わりに、広告主は有料ソーシャルサービスに対する予算を再配分し、ストーリーズにより多くの資金を投入できるようにしている」。

Instagramのストーリーズは突如出現したとされる。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、このフォーマットが顧客によるアプリを介した情報共有方法としてフィードの投稿数に追い付くことを予想している。ストーリーズは今年、フィードと比べて15倍の速さで成長したとザッカーバーグ氏は語った。データによると、Facebook上やInstagram上のフィードコンテンツよりもInstagramのストーリーズを好むユーザーがすでに多くなっていることが判明している。そのため、広告主たちがこのフォーマットのほうが行動のきっかけになると見ていることは不思議ではない。

試行錯誤は必要

しかし、ハイライト動画として保存されない限り、投稿は24時間後には消去されることを特徴とするInstagramのストーリーズの短命さは、特にこのフォーマットを使用して顧客に自社のアプリをダウンロードしてもらおうとしているホッパーやブスウをはじめとするパフォーマンス重視の広告主にとっては、このフォーマットの抱えるもっとも大きな課題だといえる。

たとえば、ブスウがはじめてこのフォーマットを試したとき、適切な制作物を制作するために幾度かの試行錯誤を要したと、ビーズリ氏は言う。このアプリに関してすぐにわかったことは、最初の数秒でユーザーの心をつかめるかどうかは、概して、制作物やプレイスメントがうまくできているかどうかが大きな要因となっているということだ。そのため、ブスウは、今年のはじめにフィードに出していた広告とは、大きく異なる広告を制作するようになった。その制作物は、これまでよりずっと展開の速い、お洒落な動画となった。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac