Facebookが先日、ニュースフィードのアルゴリズム変更を明らかにした。企業よりも友人や家族のコンテンツを優遇するというものだ。これについて、パブリッシャーはパニックになっているが、メディアバイヤーはというと、アルゴリズム変更によるブランドの痛手は比較的小さいと考えている。
Facebookが先日、ニュースフィードのアルゴリズムの過去最大の変更を明らかにした。企業よりも友人や家族からのコンテンツを優遇するというものだ。Facebookからの参照トラフィックを失うことに、パブリッシャーはパニックになっているが、メディアバイヤーはというと、アルゴリズム変更によるブランドの痛手は比較的小さいと考えている。
そもそも、ブランドはFacebookを以前から有料プラットフォームとして扱っており、Facebookによれば、新しいアルゴリズムはFacebookのペイド投稿には影響しない(エージェンシー幹部らによると、Facebook広告のCPMは結果的に上がることになる)。ただ、Facebookの新しいアルゴリズムではクリックベイト式のプロモーション(「このイヌがかわいいと思うならうちの製品をいいね!しよう」といったもの)は排除されると考えられており、長期的にはブランドはより有意義なコンテンツを作る方向に動くだろう。
広告主のチャンス
Facebookにお金を払っていないコンテンツの露出がほとんどないことはブランドもすでにわかっていると、デジタルエージェンシーのアイプロスペクト(iProspect)でソーシャルメディアの責任者を務めるブリタニー・リクター氏はいう。Facebookにおける、ほとんどのブランデッドコンテンツは企業ページに必ずしも表示されず、広告フィルターを通じて掲載される投稿が大半だ。そのため、新しいアルゴリズムでは、広告ランキングの変化はない。
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Facebookのオーガニックコンテンツはペイド投稿ほど機能しないが、ファンとのコミュニケーションのために多くのブランドにまだ使われていると、RPAのデジタル戦略担当VPのマイク・ドセット氏は考えている。「ここがなくなることは、ブランドがコンテンツ戦略全般において、広告ではないオーガニックなコンテンツへの投資を続けるかどうかに影響する可能性がある」と、同氏は語る。
デジタルマーケティングエージェンシーのリシフト・メディア(Reshift Media)の共同設立者でCEOのスティーブ・ブオアズ氏は、Facebookの新アルゴリズムによって、ブランドは会社としての見解を考えることが減り、オーディエンスが何が好きなのかにもっと目を向けるようになると考えている。それが広告主にチャンスを生み出すからだ。
質の高いコンテンツ
「Facebookは質の高い適切なコンテンツ作りを強いているのだ」と、ブオアズ氏はいう。「ソーシャルは1対1のコミュニケーションの手段だったが、時間の経過とともに、人は怠惰になっていった。これらの変更は、質の高いコンテンツを購入しているブランドには影響しないだろうが、ミームのような拡散する投稿を追求しているところは直撃されるだろう」と、同氏は語った。
オフラインで驚かせたり喜ばせたりして――たとえばピザ屋が消費者にソーダを無料で提供する――その体験をオンラインにシェアしてもらう方法もブランドにはあると、ブオアズ氏は考えている。あるいは、「うちの製品に追加する必要があると思う機能は?」とFacebook投稿で質問し、やり取りや議論を生み出すことも可能だと同氏。
この新アルゴリズムでFacebookライブ動画の優先順位が下がるのかははっきりしていない。下がらないとすれば、ブランドはこれを活用してニュースフィードに入り込めると、ブオアズ氏とリクター氏は声をそろえる(記事公開時点ではFacebookのコメントは得られなかった)。
まだ判断するのは早い
エージェンシー幹部のあいだには、Facebookのアルゴリズム変更がペイドメディアに与える影響を判断するのはまだ早すぎるという声がある。しかし、ソサエティ(Society)でソーシャルメディアのSVP兼エグゼクティブディレクターを務めるジェイムズ・ダグラス氏は、パブリッシャーが打撃を受ければおそらくインベントリー(在庫)が減少するため、Facebookの広告のCPMとCPCは上昇するだろうと語った。FacebookのCPMは広告フォーマットとターゲティングパラメーターによって異なるが、ダグラス氏によると1~15ドルの範囲だという。
「クライアントの(Facebookの)広告予算を動かすことが必要になれば、うちはインスタグラムに注目する。ほかにSnapchatなどにも目を向けるだろう」と、ダグラス氏は語った。
Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)