1988年にアメリカで商用インターネットが開始されてから、おおよそ30年。その間、デジタルメディアもずいぶん進化してきたはずだが、まだまだ改善の余地は残されているようだ。
2016年3月、マーケティングツールベンダー企業でもあるアドビは、ホワイトペーパー「消費者行動調査2016:デジタルメディア時代の消費者行動を読み解く」をリリース。「企業からの情報に関心を持たない、8割以上の消費者をどう攻略するか?」というテーマで、一連のリサーチ結果を提供している。
その内容を読み解くと、究極のユーザー体験にはほど遠い、デジタルメディアの現状が見えてくる。
1988年にアメリカで商用インターネットが開始されてから、おおよそ30年。その間、デジタルメディアもずいぶん進化してきたはずだが、まだまだ改善の余地は残されているようだ。
2016年3月、マーケティングツールベンダー企業でもあるアドビは、ホワイトペーパー「消費者行動調査2016:デジタルメディア時代の消費者行動を読み解く」をリリース。「企業からの情報に関心を持たない、8割以上の消費者をどう攻略するか?」というテーマで、一連のリサーチ結果を提供している。
国内在住の消費者1000名を対象とした本調査。男女ともに全年齢偏りなく実施され、サンプリング調査ながらも、かなり正確に日本人の消費行動を反映したものになっている。
調査結果によれば、「ニュース/ポータルサイト」「企業のWebサイト」「ソーシャルメディア」「企業のメルマガ」などのデジタルメディアは、その影響力を大きく拡大した。しかし、インターネットユーザーが増えるほど、それらに対する不満も露見してくる。どんなデジタルメディアが消費者に嫌われているのか? 同調査結果を引用しながら紐解いていこう。
いま、デジタルマーケターに注目してもらいたい調査結果は、以下の5つだ。
62%が消費行動を中断
「問題のあるWebサイトが消費者に与えた影響」という調査では、62.6%が「商品購入または情報収集のいずれかを中断」したことがあると回答。これは、そのままコンバージョン機会を損失した数字と見ても過言ではないだろう。
インフラが整備され、さまざまな機能も実装されている、現代のデジタルメディア。かつてのWeb体験に比べたら、雲泥の差といえる快適さを実現しているはずだが、消費者からすると、究極のユーザー体験にはほど遠いのだ。
86%が「情報を探しにくい」
こちらは「問題があるWebサイトの経験状況」という調査で、用意された選択項目は、どれもサイト訪問者をイライラさせるもの。デジタルメディアに潜む、消費者の不満のタネを浮き彫りにする内容だ。
どの回答もほぼ一律に票を集めるなか、一番上の「探している情報を見つけにくい」だけが、ひとつ突出している。「よくある」「たまにある」をまとめると、86.2%もの消費者が覚えありとしているのだ。
筆者が想像するだけでも、グローバルナビゲーションやサイト内検索窓がない、サイト内検索できても検索結果がいまいちしっくりこない、クチコミやCMを見てWeb検索してもその商品情報がなかなか見つからないなど、「情報を見つけにくい」と感じる理由はいくらでも挙げられる。感じていることは皆同じなのだ。
82%がWeb情報に違和感
さらに「Webサイトからの情報は関心から遠いと感じるか」という調査では、82.9%が「よくある」「たまにある」と回答。オウンドメディアやソーシャル投稿、企業メルマガなど、ブランド主導で提供される情報には、本当に欲しい情報が含まれていないようだ。
「BuzzFeed」の活躍のおかげで、ユーザーのいるところに情報を投下するという分散型の手法は、一般企業にも広まってきた。しかし、それがユーザーの求める情報になっていないのは、いかにも皮肉なことといえるだろう。
70%が「ならでは」の機能に魅力
しかし、希望もある。「Webサイトが備えていると魅力的に感じる機能」という調査では、「履歴を基にしたオススメ」や「購入者の意見や評価を閲覧・投稿」という項目が、消費者の票を集めたのだ。
これらは、レコメンド機能やレビュー機能など、「Webならでは」の機能を意味する。自動でユーザー理解を深めたり、集合知が形成されたり、プッシュオンリーだったレガシーメディアでは解決しにくかった課題が、Webでは解決できていると認知されているのだろう。
60%がWebで情報を補完
最後に「店頭で気になった商品があった場合の行動」という調査だ。こちらでは、60.2%の消費者が、Webによる情報参照をその消費行動に組み込んでいる。
加えて注目すべきは、表の右端にある「前回の調査」との対比だ。1年前に発表された前回と比較して、スマートフォンの比率が10%も伸びている。この傾向は、しばらく続くはずで、いままで以上にモバイルサイトの充実が求められるということだろう。
デジタル、しかもモバイルが主戦場
小売店で商品を確認して、そのあとにネット経由で購入する「ショウルーミング」。その逆に、事前にネットで比較参照して、小売店で最終決定を行う「ウェブルーミング」。これらの現象は、各リテーラーのオムニチャネル化を加速させているが、いずれにしてもWeb内の情報がカギになっているのは変わらない。しかも、その主戦場はPCからモバイルへ、急速に移行しつつあるのだ。
今回の「消費者行動調査2016:デジタルメディア時代の消費者行動を読み解く」では、Webサイトへの不満を浮き彫りにすると同時に、改善点や新たに取り組むべきことも見えてきた。この業界の事情は、たった数カ月でドラスティックに入れ替わる。デジタルマーケターは、今回の調査をベースに、業界の動向を先読みしながら、将来のプランを練る必要があるだろう。
なお、アドビでは先日、デジタル時代のマーケティング変革リーダーに向けたオウンドメディア「UNITE」をローンチした。今回ご紹介したホワイトペーパーとともに「UNITE」を参照すれば、デジタルマーケティングの未来をさらに深く見通せるはずだ。
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Image via Thinkstock / Getty Images