AbemaTV 山田陸氏に訊く、前年比売上「300%成長」の背景 :「広告もテレビ品質へ。ブランドセーフティ対策を徹底」

動画市場はいまや、多くのメディアがひしめき合う激戦区だ。特にいまは、YouTubeやNetflix、そしてAmazonなど、海外ブランドの勢いが目立っている。

そんななか、ドメスティックブランドとして、ユニークな立ち位置を確立しているのが、AbemaTV(アベマティーヴィー)だ。オンデマンドが主流となっている動画サービスにおいて、AbemaTVが選択したのは、テレビ感覚に時間を共有できる「リニア配信」(それに加えオンデマンド機能「Abemaビデオ」も実装)。さらに、テレビ朝日とのパートナーシップにより生み出される動画は、100%プロコンテンツで、まさにテレビクオリティとなっている。

2016年4月に、サービスを開始したAbemaTVは、開局以来、新しい地図の3人(香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎)が出演した『72時間ホンネテレビ』など、話題性のあるコンテンツを発信し、ファンを増やしてきた。現在アプリの総ダウンロード数は3700万超。2018年末には918万WAU(ウィークリー・アクティブ・ユーザー)を記録し、「マスメディアになるための基準」として同社が当時掲げていた「1000万WAU」まで、残りわずかまで迫っている。

「現在では、広告媒体としての認知も高まっている」と、株式会社AbemaTVの広告本部 本部長及び、サイバーエージェントの取締役を務める山田陸氏は語る。開局当初から現在まで、AbemaTVに出稿する広告主の数は急増し続けているという。「このように支持を受けるのは、テレビCMではリーチできない若年ユーザーを多く抱えること、高いビューアビリティ、そしてブランドセーフティが担保されている点にある」。

山田氏にAbemaTVが好調の理由、そして今後のプランについて聞いた。

◆ ◆ ◆

——まずは2018年、非常に売り上げ好調だったようですね

ありがとうございます。昨年の売り上げは、前年比約300%成長という結果を残すことができました。非常に良い1年だったと感じています。

おかげさまで、ナショナルクライアントを中心に、多くの広告主の皆様にご活用いただいております。ですが、一般的なテレビ事業者への出稿ブランド数にはまだまだ及ばないため、ナショナルクライアントだけでも大きなポテンシャルがあると思っています。

ちなみに、AbemaTVの抱えるユーザーの半数以上は、18〜34歳の若者。2018年も恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない♡』などを中心に、若者をターゲットにしたコンテンツが大きくヒットしました。テレビではリーチしきれない若年層に対してアプローチしたいという企業は多いので、これは300%成長の大きな要因のひとつでもあります。

——なるほど、ほかにはどんな成長要因が?

いくつかあります。そのなかでも、AbemaTVのヒット番組を広告商品化するための仕組み作りを、より強固にできたことは大きいですね。

これまで弊社は、話題性のあるオリジナル番組をいくつも放送してきました。しかしなかには、公開ギリギリまで作りこんでしまい、広告枠として販売するのが間に合わないコンテンツも少なくなかったんです。

なので2018年は、制作チームともより連携を強化し、人気の番組や話題性の高い特番に、きちんと広告を入れる仕組みを構築しました。これもまた、いい結果をもたらした要因のひとつだと思います。

——現在のAbemaTVの広告商品のラインナップを教えてください

AbemaTVの広告商品は、大きく分けて2種類あります。ひとつは、テレビと同じように番組の合間にCMを配信するもの。もうひとつはAbemaTVで広告主様のオリジナル番組やオジナル長尺CMを制作したり、番組内でのタイアップを実施する企画案件です。

——昨年は、CMのデモグラフィック配信も実装してましたよね?

CMのデモグラフィック配信は、昨年の7月に実装しました。現在は、年齢や性別、たとえばM1(男性20-34歳)ごと、F1(女性20-34歳)ごとといった区分で広告を配信することができます。これにより全体のCPMも130〜140%くらい上がりました。デモグラフィック配信ができるようになったことにより、広告主の皆様のターゲット層により正確にリーチできるようになったため、高評価をいただいています。

また、その他にも、番組指定配信や1チャンネル×1時間単位でのカスタマイズ配信などの商品があり、広告主様の目的に応じて配信方法をご提案しています。

   

「ヒット番組を商品化する仕組みを構築できたことが、大きな成長要因」と山田氏

「ヒット番組を商品化する仕組みを構築できたことが、大きな成長要因」と山田氏

——同時視聴だけでなく、オンデマンド視聴も伸びました

AbemaTVのユーザーは、テレビのように完全編成型で番組が配信されるリニア視聴と、一度放送した番組をいつでも何度でも見ることができるオンデマンド視聴の両方を楽しむことができます。このオンデマンド視聴機能である「Abemaビデオ」は、2017年4月にリリースしました。

2018年は、このAbemaビデオの認知が拡大し、オンデマンド視聴ユーザーが想像以上に増加しました。そして2018年の11月からは、リニア配信に加えてAbemaビデオでの広告配信も開始し、広告在庫を拡大しています。

Abemaビデオのユーザーは、リニアよりも「この番組を見たい」という目的意識を持ってサービスを利用する傾向があり、ユーザーの視聴態度が異なります。なので正直、ビデオではリニアに比較すると視聴完了率が落ちるのではないか、という懸念もありました。しかし、実際に配信をしてみると、視聴完了率はリニアとほぼ変わらず80%以上と、高い数値をマークする結果となりました。

——それは驚きですね、何か工夫をされたのでしょうか?

やはり最優先したのは、ユーザビリティの担保です。まず、AbemaTVで配信されるコンテンツは100%プロコンテンツなので、ユーザーにとって、メディアへの信頼性だけでなく、広告として配信される情報への信頼性も高いという調査結果が出ています。

また、完全編成型であるため、唐突に広告が出てユーザーがストレスを感じないよう広告配信のタイミングについても徹底的に検証を重ねて設計しています。リニア、オンデマンドどちらも、高品質なコンテンツ展開に加えて最適な広告配信タイミングを実現できているのが、広告の視聴完了率の高さやブランドセーフティの担保にも繋がっているのだと思います。

その他にも、リニアでは番組中のCMチャンス1回あたり1〜2分くらいの時間を設けている一方、ビデオではCMチャンス1回に設定しているのは15秒とかなり短くしています。それが効果の高さのひとつの要因だと思っていますが、今後はPDCAを回しながら少しずつCMの掲出時間を伸ばしていく予定です。もちろん、ユーザービリティが下がったというスコアが出た場合は、すぐに調整しようと思っています。

——昨年は電通、博報堂との資本業務提携も話題になりました

弊社は昨年の10月に、広告拡販やコンテンツ調達の強化を目的に、電通と博報堂DYメディアパートナーズの2社と資本業務提携を実施しました。そもそも両社は、これまでもAbemaTVのパートナー企業として深いお付き合いがあり、広告販売はもちろんのこと、AbemaTVで放送するスポーツ番組など海外からの有力なコンテンツ調達にご協力いただいたり、いろいろな面で連携しています。今後はそのパートナーシップをより強固にして一緒に大きなビジネスを展開したいという思いが、今回の出資の背景にはあります。

また、3月5日に発表した、配信先をプレミアムな動画メディアに限定したインストリーム運用型広告サービスである、電通の「Premium Viewインストリーム動画広告」と、博報堂DYメディアパートナーズの「Brand View Instream Ad」との連携はその取り組みの一環で、AbemaTVでは初めてとなる、純広告以外の広告配信を開始しました。今後も、AbemaTVでは、電通、博報堂と連携を強め、商品開発などさまざまな取り組みを展開していく予定です。

——5Gも2020年、いよいよ市場に投入されそうです

5Gに関しては非常に期待をしています。ですが、おそらく世の中で広く実用化されるのはもう少し先かなと思っています。とはいえ、5Gが普及すれば、世の中のあらゆるものが静止画から動画になっていくことが予想されます。

そうなったときに期待しているのは、いまAbemaTVで扱っているコンテンツが、このプラットフォーム以外でも目にする機会が増えるのではないかという点です。実際、デジタルサイネージが注目されてきているように、屋外や交通広告のデジタル化は急速に進んでいますし、大きな可能性を感じますね。

——2019年は、どんな1年にしたいですか?

いまの動画広告市場では、YouTubeなどのCGM型メディアが大きなシェアを占めています。AbemaTVがそれらと根本的に異なるのは、100%プロコンテンツを提供している点であり、そこが大きな強みだと思っています。また、NetflixやAmazonに関しては、テレビと同じリニア配信が中心となるAbemaTVと視聴態度が異なるので、AbemaTV独自のポジションを生かして、広告商品の開発はもちろん、メディア自体を成長させていきたいですね。

加えて力を入れていきたいのは、動画広告の指標作りと共通化です。DR(ダイレクトレスレスポンス)など、顧客獲得のために動画広告を利用している企業は、CPAやCPI、ROASなど、どのメディアに出稿する場合もこうした共通指標を管理しています。しかし、ブランディング目的の場合、KPIが企業やメディアによって異なる場合が多い。つまり、いまの動画広告市場は、メディアに対する理想の配分ポートフォリオが見え辛い状況にあるのです

こうした状況を打破すべく、2019年は業種や目的ごとに、動画広告をいかに評価していけばいいかを我々なりに提唱していきたいと思っています。もちろん、ひとりよがりではなく、ほかのメディアのみなさんとも協力して、テレビも含めた動画広告の共通指標を作っていきたいですね。

   

Abema-fin

▼山田陸
株式会社AbemaTV 広告本部 本部長
株式会社サイバーエージェント 取締役

2011年株式会社サイバーエージェントに入社。2015年に当社アメーバ事業本部(現メディア統括本部)メディアディベロップメントディビジョン 統括、株式会社サイバーエージェント 執行役員に就任。2017年10月より株式会社AbemaTV 広告本部 本部長、2018年12月より株式会社サイバーエージェント 取締役に就任。

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Written by 広告制作チーム
Photo by 渡部幸和