ソーシャルメディアにおいて、ブランド企業を窮地に陥れるのは異常なツイートだけではない。小売業では、不用意に選んだTシャツのスローガン、不意打ちのようなプリント広告など、オフラインでの誤った行動が、ユーザーによってソーシャルメディアで投稿されると、一気に危機的状況に陥ってしまう。
以下が、誤った選択をしてしまったがゆえに、Twitterで攻撃の的となった小売企業5社だ。賃金も低いソーシャルメディアの担当者がすべての責任を負わされるのはかわいそうなケースもいくつかある。
ソーシャルメディアにおいて、ブランド企業を窮地に陥れるのは異常なツイートだけではない。小売業では、不用意に選んだTシャツのスローガン、不意打ちのようなプリント広告など、オフラインでの誤った行動が、ユーザーによってソーシャルメディアで投稿されると、一気に危機的状況に陥ってしまう。
以下が、誤った選択をしてしまったがゆえに、Twitterで攻撃の的となった小売企業5社だ。賃金も低いソーシャルメディアの担当者がすべての責任を負わされるのはかわいそうなケースもいくつかある。
デパート大手が性犯罪を「推奨」
ブルーミングデールズ(Bloomingdales)は日本のルミネのような衣料品中心のデパート。ホリデーシーズンになるとギフト用商品の宣伝をTwitter、Snapchat、InstagramやPinterestなどで行い、とても忙しくなる。
Advertisement
しかし、ブルーミングデールズを窮地に陥れたのは不適切なプリント広告であった。この広告はカタログ内に掲載していて、何かに気を取られている女性に、男性が「不穏な視線」を突き刺している。そして、その2人の間には「親友が見ていないすきに彼らのエッグノッグ(クリスマスや新年などに飲まれる牛乳と卵がベースの甘い飲み物)に何かを混ぜよう」とのコピーが書かれていた。
ブルーミングデールズよ、これは恐ろしいアドバイスだ。この広告は、良くても「不気味」。最悪の場合はデートレイプ(親しい関係の男女間で起こる、薬剤などを使った、合意が伴わない性交渉)を推奨していると受け取られる。以下がTwitter利用者による反応だ。
This is a 2015 @Bloomingdales holiday ad.Printed to sell stuff.I didn't realise they sold rape at their stores. pic.twitter.com/x7csf6dZWT
— Hayley AngelDarlins (@9021ohmygod) 2015, 11月 28
Hayley AngelDarlins @9021ohmygod
これが @Bloomingdales の2015年のホリデー用広告です。物を売るための広告なのに、お店でレイプを販売しているとは気づきませんでした。
Just seen this BAD Christmas ad from Bloomingdale's, don't they have editorial staff? https://t.co/b5Sd762JS5
— Peter Masters (@marketingm8) 2015, 12月 8
Peter Masters @marketingm8
いま、この最悪のクリスマス広告を見た。ブルーミングデールズには編集スタッフはいないの?
Date rape drugging is actually a terrible problem & bloomingdale's tries to make a joke out of it? I'm furious. pic.twitter.com/N7KxTUF80S
— Maria Sletté (@maria_helen13) 2015, 11月 18
Maria Sletté @maria_helen13
デートレイプは実際に大変大きな問題です。ブルーミングデールズはこの問題を冗談にしようとしているのでしょうか? 怒りに震えています。
このような反応に対し、ブルーミングデールズは次の謝罪文を発表している。
「この騒動で頂戴しましたフォードバックを鑑みた結果、私たちがカタログに使用した広告は不適切であり、悪趣味でありました。誤った判断をしてしまい、心から謝罪申し上げます」。
確かに不適切で、悪趣味だ。
Amazonが地下鉄をナチスカラーに
「高い城の男(原題:man in the high castle)」という新番組を宣伝するために、Amazonがやりすぎてしまった。この新たな番組は、SF小説の巨人フィリップ・K・ディックの作品をもとに、もしナチス・ドイツと日本が第二次世界大戦で勝利を収めていたらどうなっていたのかという、パラレルワールドをコンセプトとしている。
そこで、Amazonはその世界観を出すための広告作りを行ったのだ。結果、ナチスのシンボルと大日本帝国の旗が地下鉄の車両を包み、利用者に不快な思いをさせることとなった。
#Ads with Nazi-inspired imagery used on #NYC subway as #promotion for #Amazon https://t.co/KcVdUOZvqh pic.twitter.com/cx5WUeP6u6
— SEO USA (@iseousa) 2015, 12月 15
SEO USA @iseousa
Amazonによる宣伝の一環として、ナチスの象徴がニューヨーク市の地下鉄に使われている……。
Amazon Kindly Decides to Spare NYC Commuters an Immersive, Nazi-Inspired Subway Experience https://t.co/zl9Boi1lsR
— Keva Prentise (@KevaPrentise) 2015, 12月 5
Keva Prentise @KevaPrentise
Amazonの好意により、ニューヨーク市の地下鉄でナチス的な経験をすることができます。
I know Amazon are trying to sell things but I'd quite appreciate a festive season without Nazi posters, actually.
— Ardy (@ardyforshort) 2015, 12月 5
Ardy @ardyforshort
Amazonが物を売ろうとしているのはわかっているけど、ナチスのポスターがないホリデーシーズンの方が嬉しいな。
枢軸国が支配する世界観は、地下鉄利用者よりもテレビの中だけの方が良いと気づき、Amazonはこの広告の廃止を決めた。
大手スーパーがSW新作でしくじる
映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開時は、何でもかんでも、それこそフルーツの缶にさえスター・ウォーズのロゴが付いてくるほどだった。
しかし、そもそも女性キャラクターが少ないのにもかかわらず、大手スーパーチェーンであるターゲットはレイア姫について、しっかりとした商品を作っていなかった。ターゲットで販売されているレイア姫のおもちゃは、彼女が「奴隷レイア」として鎖に繋がれている様子を表したフィギュアのみだった。
「女性蔑視」とこれに怒った親たちがターゲットに苦情を出した。その数カ月後、ターゲットは苦情に配慮し、原作にも描かれているダース・ベイダーとレイア姫の有名なシーンのTシャツデザインを変更し、レイア姫とルーク・スカイウォーカーを入れ替えた。
Aww man, Target has swapped out Leia for Luke in classic #starwars scene: http://t.co/h8YCdpylcb (via @TheMarySue) pic.twitter.com/mYfJ6SHjTm
— Patrick Wood (@Pat_Wood) 2015, 10月 15
Patrick Wood @Pat_Wood
あ〜、何てことだ。ターゲットがスター・ウォーズの有名シーンを変えて、レイア姫とルークを入れ替えてしまった。
このTシャツは男児用のTシャツとして販売され、「私はダークサイドを持ってきた。お前は何を持ってきた?」と書かれている。そして、ダース・ベイダーが原作通りのレイア姫ではなくルーク・スカイウォーカーを指差しているのだ。
しかし、寄せられたのは、またしても全米のスター・ウォーズファンからの「性差別主義者」という大量の苦情だった。ターゲットはこの商品を2015年10月より販売を停止している。
@AskTarget You did not put Luke in Leia's place on a Star Wars scene on a "boys" t-shirt. That royally sucks! How sexist can you be,Target?
— KHub (@krishub) 2015, 10月 16
KHub @krishub
なぜ「男の子用」のTシャツにレイアとルークを入れ替えたんだ。最悪じゃないか!! ターゲットはどこまで性差別者なんだ?
Get your sexism out of my Star Wars, @Target! http://t.co/GYpXH6i9Fk
— Michael Timpe (@Gigatoreador) 2015, 10月 16
Michael Timpe @Gigatoreador
ターゲット、俺の大好きなスター・ウォーズからお前の性差別をなくせ!!
BuzzFeedへ宛てた声明によると、ターゲットの広報担当者は「スター・ウォーズファンからの答えが出た。我々の取扱商品から問題のTシャツは取り除く」と話し、ターゲットはTシャツのデザインをしていないことも付け加えた。
Zara、元顧問弁護士が内部告発
スペインのファストファッションブランドであるZara(ザラ)は、過去にナチス・ドイツの国章であるハーケンクロイツ(かぎ十字)に似たマークが印刷されているハンドバッグ、強制収容所を思わせるデザインの子供用Tシャツや、黒人の頭を描写したようなパーツで作られているネックレスなどを販売し、問題になったことがある。しかし、これは商品の話だ。今回の炎上は、さらに根の深いものを感じさせる。
2015年の初め、Zaraでアメリカを担当していた元同社顧問弁護士のイアン・ザック・ミラー氏がZaraを相手に4000万ドル(約47億円)の賠償を求め、差別訴訟を起こした。ミラー氏によると、彼がZaraに勤めていた時、ユダヤ系アメリカ人であることと、同性愛者であることを理由に差別を受けたという。
また、2008年から2015年までの間、Zaraの役員たちがミラー氏に同性愛を否定するようなメールを送り、反ユダヤ主義的な発言を行い、彼よりもスペイン人社員を優遇したと主張している。そして、ミラー氏が法律の専門家に相談すると、解雇されてしまったという。
ミラー氏の訴訟により明るみに出たこともいくつかある。その内のひとつが、Zaraの役員たちが送り合う、アメリカの大統領であるオバマ氏をバカにしたメールだ。
ミラー氏の申し立てによると、「ミシェル・オバマ夫人がフライドチキンを振る舞う(黒人はフライドチキンが好きだという人種差別)様子が描写されたメール、オバマ大統領がクー・クラックス・クラン(KKK、白人至上主義を唱える秘密結社)の衣装を着ている様子やオバマ大統領とレベル・フラッグ(人種差別と白人至上主義の象徴とみなされている)を描写したメール。ほかにも『Cream of Wheat(小麦クリーム)』の箱や、ホットケーキやシロップを扱う『Aunt Jemima(ジェミナ伯母さん)』の商品の箱(両方とも外箱に黒人のイラストが描かれている)に乗っているオバマ大統領、靴磨きをするオバマ大統領の描写もあった」と、話している。
当然だが、Twitterの利用者はこのことに対して良く思っていない。また、最悪なことに、パリ同時多発テロ事件の後、フランスにあるZaraの店舗がヒジャブ(イスラム圏の女性が頭を覆う布)を着用していた女性の入店を拒否したのだ。「#BoycottZara(Zaraをボイコットしよう)」というタグをつけるTwitterユーザーもいる。
Hey ladies and gents don't support racism and stop shopping at Zara!!!! They're really mean and discriminate against Muslims!!!! Thanks!!!!
— Klara Schaibly (@klarashybleee) 2015, 11月 27
Klara Schaibly @klarashybleee
紳士淑女の皆さん! 人種差別を支援しないよう、Zaraで買い物をするのを辞めましょう!! 彼らは本当に意地が悪く、イスラムに対して差別的です!! ありがと!!
Disgusting islamophobic Racism by @ZARA denying a scarved women entry into one of their stores https://t.co/oglkALaPcd #ParisAttacks
— Ben Balkans (@BenBalkans) 2015, 11月 19
Ben Balkans @BenBalkans
Zaraはイスラム差別者で人種差別者だ。ヒジャブをかぶった女性の入店を拒否するなんて。
Boycott Zara store for the inscrutable racism.
#BoycottZARA
— الحجاجي (@hajeji1985) 2015, 11月 19
الحجاجي @hajeji1985
意味不明な人種差別をするZaraをボイコットしよう。
しかし、このような大惨事が起きても、Zaraの創設者であるアマニコ・オルテガ氏はビル・ゲイツ氏を抜き、世界で一番の大金持ちになっている。
バドライトが「なんでもあり」と扇動?
アメリカ最大手ビール企業バドワイザーの発泡酒ブランド「バドライト」の「#UpForWhatever(なんでもできる)」キャンペーンの一環として、ビール缶のコピーライターが送ったメッセージが、これまでの「ダメなものはダメ」キャンペーンの苦労が水の泡となってしまった。
そのコピーライターが送ったメッセージはこう書かれていた。「今夜あなたの辞書から『ダメ』という言葉をなくさせる最適なビール」。
この困惑してしまうスローガンは、どうやら私たちに抑制心をなくしてほしいようだ(もちろん、責任ある飲み方をしながらだが)。しかし、「ダメ」という言葉が必要な時は、女性が男性から無理やり性交渉を求められている時だということを忘れているのではないかとも思える。ビール缶に新たな注意書きが必要かもしれない(米国では日本に比べレイプ被害が深刻で、レイプを助長する言動に、センシティブになる必要がある)。
@budlight Maybe you can apologise with a new anti-rape message on your beer labelling?
Are you #UpForWhatever? pic.twitter.com/u486HWFzQo
— Justice Therapy (@Katealt) 2015, 4月 30
Bud Light ✔ @budlight
ダメなものはダメ。不適切であったことを謝罪します。もうこのラベルの製造は中止しています。
Justice Therapy @Katealt
アンチ・レイプのメッセージを新しく作って、それで謝罪したら?
缶の印字:「今夜あなたの辞書から『ダメ』という言葉をなくさせる最適なビール」
Bud light, I'm letting you off easy, you already dug your grave. Can't wait for that rape victim to say they are "up for whatever"
— Daniel Shea (@dshea42) 2015, 6月 28
Daniel Shea @dshea42
すでに自らの墓を掘ったようだし、今回は大目に見てやろう。レイプ被害者たちが「なんでもできる」という日が待ち遠しい。
I opened up a can of Bud Light and it smelled just like shattered dreams and date rape.
— Justin Grundfast (@jgrundfast) 2015, 6月 5
Justin Grundfast @jgrundfast
バドライトを開けたら粉々になった夢と、デートレイプの匂いがしたよ。
袋叩きにあった後、バドワイザーを製造するアンハイザー・ブッシュは、商品を回収した。
Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)