スーパーボウル中に流れるCM枠には馬鹿馬鹿しいほどの高額が払われる。今年はスポットひとつにつき、500万ドル(約5.5億円)から530万ドル(約5.8億円)という値段で販売された。この巨額の値段を理解するために、500万ドルという値段でどのような広告キャンペーンが購入できるかを解説していきたい。
1年に1度、アメリカン・フットボールの頂点を決めるスーパーボウルをアメリカ全土で何百万人が視聴する。
スーパーボウル中に流れるCM枠には馬鹿馬鹿しいほどの高額が払われる。今年はスポットひとつにつき、500万ドル(約5.5億円)から530万ドル(約5.8億円)という値段で販売された。これほどの高額の広告支出、果たして価値があるかどうかを見極めるのも難しい。
この巨額の値段を理解するために、500万ドルという値段でどんな広告キャンペーンが購入できるかを解説していきたい。これまでの比較を読みたい人は過去の記事も参照してほしい。
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Amazonにおけるスポンサード広告でのペイド・クリック630万回
スーパーボウルが放送される日曜日、テレビにずっとかじりつく人ばかりではない。なかにはネットを閲覧し、応援しているチームのユニフォームを購入する人もいるかもしれない。Amazonにおけるスポンサード広告では、CPCは0.8ドル(約87円)から3ドル(約330円)のあいだ、と広告バイヤーたちのあいだでは知られている。500万ドルあれば、Amazon上で630万から160万クリックのあいだの数で、クリックが得られるだろう。
Amazon検索広告における250万ペイド・クリック
Amazonの検索広告ではCPCは2ドル(約220円)程度だ。500万ドルがあれば、250万回のペイド・クリックが獲得できる。
インスタグラム、もしくはFacebookにおける17億インプレッション
Facebookとインスタグラム(Instagram)では、広告バイヤーたちが目にするフィード内広告やストーリーズ広告のCPMは、3ドルから5ドル(550円)。つまり、500万ドルもの予算があれば、10億から17億のインプレッションが、どちらかのプラットフォームで獲得できることになる。
Snapchat上での25億インプレッション
Snapchat(スナップチャット)上でのCPMは、広告バイヤーたちによると、2ドルから3ドル程度だ。500万ドルを費やすことができれば、Snapchat上で17億から25億のインプレッションを得ることができる。
Shopifyでの店舗アカウント17万2414件
Shopify(ショッピファイ)のアカウントは月額29ドル(約3200円)からあり、このパッケージにはウェブサイト、ブログ、セラーサポート、そしてAmazon、インスタグラム、Facebookなどのチャンネルで販売する機能が与えられる。500万ドルがあれば、1カ月間に17万2414件のビジネスをローンチすることができる。1年間の運営であればこれは1万4367件だ。オンライン上の存在感としてはかなりの規模になるだろう。
TEDラジオ・アワーでの広告195件
ポッドキャスト番組TEDラジオ・アワー(TED Radio Hour)では60秒の長さでホストが広告文を読んでくれる。TEDラジオ・アワーは1エピソードごとの広告コストは2万5650ドル(約282万円)であり、エージェンシーオックスフォード・ロード(Oxford Road)のダン・グランジャー氏によると、このポッドキャストは140万インプレッションを毎回出すと言う。500万ドルをこれに投下するとなると、195回、この人気ポッドキャストに広告を流すことができ、その結果生まれるインプレッションは2億6330万だ。
中レベルのコストのポッドキャストでは、ベスト・バーストゥール・ラジオ(Best of Barstool Radio)がある。同様の内容の広告が1エピソードにつき3500ドル(約38万円)で購入でき、グランジャー氏によるとインプレッション数は15万ほどとなっている。スーパーボウルCMの500万ドルの予算をこれに費やせば、1429回広告を購入でき、合計で2億1430万回のインプレッションが生まれる。
Pinterestにおける17億回のインプレッション
Pinterest(ピンタレスト)におけるプロモーテッド・ピンのCPMは3ドルから4ドル(約440円)と、広告バイヤーたちは理解している。500万ドルの予算があれば12億5000万から17億のインプレッションがピンタレストで獲得できる。
LinkedInにおける6億2500万回のインプレッション
LinkedIn(リンクトイン)でのCPMは、ほかのプラットフォームよりも高い。それでも500万ドルがあればかなりのインプレッションが稼げることは間違いない。広告バイヤーたちが目にするCPMはだいたい8ドルから12ドルほど。500万ドルだと4億1700万から6億2500万のインプレッションを得られることになる。
レディットにおける17億インプレッション
広告バイヤーたちによると、レディット(Reddit)のCPMは3ドルから5ドルの間となっている。500万ドルがあれば、10億から17億ほどのインプレッションが得られる。これはピンタレスト、Facebook、インスタグラムと似ている数値だ。
100のTwitchキャンペーン
昨年9月にTwitch(ツイッチ)は、広告主にとってもフレンドリーさを増している。このプラットフォームでは、プログラマティック動画キャンペーンのためには少なくとも5万ドル(約550万円)を広告主たちに要求している。500万ドルがあれば、Twitchで100回はキャンペーンをローンチできることになる。
コネクテッドTVにおける5億インプレッション
従来型のTV(リニアTV)よりもコネクテッドTVを好む層にとっては、高価なスーパーボウルCMは価格の違いを表す完璧な例となっている。単純に比較するとすれば、それぞれのフォーマットにおけるCPMを見てみれば良い。
メディアバイイング起業のタタリ(Tatari)のCEO兼共同ファウンダーであるフィリップ・インゲルブレヒト氏によると、スーパーボウルCMはひとつで1億1000万インプレッションを生む。同氏によると、500万ドルのコストということはCPMは50ドル(約5500円)となる。コネクテッドTVのCM枠はこの5分の1ほどのコスト、CPM10ドル(約1100円)ほどで購入することができる。つまり500万ドルをコネクテッドTVで費やせば、5億ほどのインプレッションが獲得できるわけだ。
もちろん、コネクテッドTVのインプレッションを5億獲得するのは難しいだろうと、インゲルブレヒト氏は言う。「十分な在庫を見つけて、すべて配信するのには長い時間、数週間かかるかもしれない」とのことだ。
ケンダル・ジェナーによるインスタグラム・ポスト20回分
先日配信開始された、2本のファイヤーフェスティバル(Fyre Festival)ドキュメンタリーによると、ケンダル・ジェナーはファイヤー・フェスティバルを宣伝するインスタグラム投稿ひとつに25万ドル(約2750万円)を受け取ったとのことだ。500万ドルの予算があれば、ジェナーに20回投稿してもらうことができる。彼女がインスタグラムで抱えるフォロワー数は1億300万人だ。
Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)