DMP(データ管理プラットフォーム)は、ブランド(マーケター)とパブリッシャー、それぞれのビジネスにどのようなメリットをもたらすのか? 本記事では、DMPを提供する、エクスチェンジワイヤー・リサーチとオラクルによる初めての共同調査から、特に興味深い図表をいくつか紹介。両社はこの調査で、メディアの買い手と売り手がDMPをどのように利用し、なぜDMPに投資しているのか、また、DMPに今後どんなことを求めているのかを探っている。
アンケート調査の結果、パブリッシャー(Media sellers)の半分強(53%)が、DMPを導入していると回答した。これは、ブランド(Media buyers)に占める割合(43%)をやや上回る。また、DMPを導入しているブランドの多くは、DMPの活用歴は1年未満だという。
デジタル広告業界において、しばしば取り上げられる話題のひとつに、DMP(データ管理プラットフォーム)は、ブランド(マーケター)とパブリッシャー、それぞれのビジネスにどのようなメリットをもたらすのか? という問いがある。
まだ、比較的新しいツールであるDMPを駆使すれば、何が可能で、どんなメリットが得られるのかを理解しているマーケターやパブリッシャーは、少ないかもしれない。だが、多くのものがそうであるように、DMPはただ保有しているだけでは意味がなく、それを使ってどんな顧客に何を伝えたいのかを明確にして、はじめて有効に活用できるツールだ。
シニアマーケターとパブリッシャー幹部、約180人を調査
本記事では、DMPを提供する、エクスチェンジワイヤー・リサーチとオラクルによる初めての共同調査から、特に興味深い図表をいくつか紹介しよう。両社はこの調査で、メディアの買い手と売り手がDMPをどのように利用し、なぜDMPに投資しているのか、また、DMPに今後どんなことを求めているのかを探っている。
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この調査が対象にしたのは、世界各国のエージェンシーやブランドで働くシニアマーケターと、パブリッシャーの幹部、合わせて約180人。調査結果は集計され、匿名扱いになっているが、英国では、BTグループやSpotify、ガーディアン、コカ・コーラ、テレグラフメディアグループ、Zoopla、TSB、マークス&スペンサー、TUI、Maxus、iProspect、VivaKiなどが協力企業として名を連ねている。
ブランド、パブリッシャーともに約半数近くが導入済み
アンケート調査の結果、パブリッシャー(Media sellers)の半分強(53%)が、DMPを導入していると回答した。これは、ブランド(Media buyers)に占める割合(43%)をやや上回る。また、DMPを導入しているブランドの多くは、DMPの活用歴は1年未満だという。たとえば、すべてのデバイスにわたって月10億回のインプレッションをプログラマティック取引している不動産情報サイトのZooplaは、2015年の夏にDMPを実装した。
DMPを導入しているブランドのうち4分の1は、導入の主な動機として「マーケティングおよび広告活動の投資対効果(ROI)向上」を挙げる。そのほかには、「マーケティングや広告ターゲティングに関する膨大なデータセットの理解」や「メディアバイイングにおける無駄の削減」なども、主な動機として目立った。
DMP導入理由のトップ5は以下の通りだ。
パブリッシャーに同じ質問をしたところ、半数超の55%が「ファーストパーティー(自社データ)の統合のため」と回答し、それとほぼ同じ割合で52%が「データ管理のため」と回答した。そうすることで、自社のインベントリに独自価格を設定し、収益を維持しようと考えているのだ。さらに、「サードパーティーとの連携」も、動機として挙げられていた。
それでも、ブランドのうち4分の3強の76%は、社内で独自システムを開発するよりもサードパーティー製の利用を選んでいた。パブリッシャーも、63%がサードパーティー製DMPを選んでいる。とは言っても、買い手側と売り手側ではその動機が異なる。
大半のブランドは、社内での開発を選ばなかった主な理由として、「稼働までのスピード」や、「社内での技術開発に要する費用」を挙げた。一方、パブリッシャーでは、37%が自社開発を選んでいるわけだが、その理由は「ローカルデータを統合」したり、「他の自社製品とリンクさせる」というものだった。
なお、欧州、中東およびアフリカ地域では、回答者の大多数(81%)が、自社開発ではなくサードパーティー製のDMPを選んだと答えている。アジア太平洋および南米地域でもそれは同じだった。
ブランドのほぼ半数の46%は、DMP導入時における最大の障害は「技術不足、種類の異なるデータセットの混在、縦割りのチーム」だったと答えた。ほぼ40%は「社風」が障害だとし、37%は「経営幹部の理解不足」が問題だったと回答した。「法的問題」が障害だったという回答は22%にとどまった。
DMPをまだ導入していないブランドのうち、46%は「コスト」が主な障害だと回答した。その一方、パブリッシャーの場合、コストを障害として挙げた企業は、24%に留まる。それよりもやや多い29%が、最大の障害は「技術不足」と答えた。ブランド回答者の3分の1は、「ROIを判断できない」ので、まだその気にならないと述べた。さらに、メディアの売り手と買い手ともに、4分の1は、「企業トップが支持してくれない」ことが障害だと回答した。
ブランドのうち4分の3(76%)は、DMPを通じて、ディスプレイ広告のリターゲティングを活性化していると回答した。71%は、ディスプレイ広告のプロスペクティングにもDMPを利用している。
動画(48%)、モバイル(38%)、メール(38%)を、DMPを通じて活性化するという回答者は半分を下回り、有料検索や有料SNSを活性化している回答者は3分の1にとどまった。以下のグラフは、ブランドとパブリッシャーがこの先DMPに求めることの内訳を示している。
このレポートには、「Oracle Marketing Cloud」の協力を得た。
Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)
photo by Thinkstock / Getty Images