インスタグラムは1月より、このストーリー上で広告ユニットを導入。これによりブランドは、自分たちのフォロワー以外にもリーチできるようになった。現在、この広告が可能なのは、30の広告主だけだ。しかし、すぐにほかのブランドにもオープンになるだろう。参加ブランドたちのこれまでの取り組みを見ていきたい。
インスタグラムのストーリー上で、もっともビュー数を稼いでいるコンテンツの1/3は、ブランドのコンテンツだ。
このサービスは、Snapchat(スナップチャット)の機能をそのままコピーしたようなもの。24時間で消えてしまう短尺動画や写真のモンタージュで構成される。インスタグラムは1月より、このストーリー上で広告ユニットを導入。これによりブランドは、自分たちのフォロワー以外にもリーチできるようになった。
エージェンシー・シンクジャム(ThinkJam)のクリエイティブオペレーション責任者であるロリー・ホーラム氏は、ストーリー機能上の広告は、まだ初期段階であると認めながらも、Snapchatの影響を受け、音有りのタテ型ビデオを試してみたくて、ウズウズしていると語る。
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「ブランドにとっては、(アプリ内での)ネイティブな体験として自社のプロダクトを表現する、素晴らしいチャンスだ。ターゲット化が高度に設定されていて、簡単にスキップできるため、消費者が不快に感じることもないだろう」と、ホーラム氏は言う。そしてほかのコンテンツを邪魔するのではなく、あいだに挟まる形になるため、広告はユーザーのアプリ体験を損ねるわけでもないと、彼は付け加えた。
現在、ストーリー上での広告が可能なのは、30の広告主だけだ。しかし、このフォーマットは、すぐにほかのブランドにもオープンになるだろう。参加ブランドたちのこれまでの取り組みを見ていきたい。
Airbnb
旅行をサポートするAirbnb(エアビーアンドビー)は、インスタグラムのカルーセル広告に参加した、最初の広告主の1社だ。その際は、家族、文化、旅行といったトピックに興味を示すユーザーをターゲットに「地元民のように滞在する」ことを呼びかけ、プラットフォーム経由でバケーション予約ができる広告を出した。
同様に、ストーリー広告にもAirbnbは、最初から参加している。今回は「Airbnbエクスペリエンス(Airbnb Experiences)」という、地域のアクティビティをキュレーションしてくれる「ホリデーメーカー」とつながることができるプロダクトの広告だった。
現在公開されているのは、15秒のスポットがふたつ。サンフランシスコの自然を旅行者が満喫している様子と、日本での料理教室に人々が参加しているものだ。
第一人称視点でのアカウントというわけではないが、広告はストーリーというフォーマットを模している形になっている。短いビデオで、物語風なビデオを演出しているのだ。外国人観光客が味噌汁の作り方を学ぶ様子に音楽が流れる、そんな仕上がりだ。
ソーシャル・マーケティング・アンド・コンテンツ(Social Marketing and Content)のグローバルヘッドであるエリック・トダ氏は、これを「体験主導のストーリー」と呼び、Airbnbの広告は理にかなっているという。
ASOS
EC企業のASOS(エイソス)は、ミレニアル世代に向けたブランドの知名度を上げるためのストーリー広告を出している。
ASOSはインスタグラム上では、くだけた、カジュアルなスタイルが目立つブランドだが、ストーリー上ではプロダクトや舞台裏コンテンツにフォーカスしながらも(それはトップショップやミスガイデッドといった競合他社も同様だ)ハイクラスな印象を演出している。ストーリー上では、TVスポットのようなスタイルのハイクラスなエディトリアル写真を作っている。
メイベリンニューヨーク
商品の箱を開いてプロダクトをはじめて使う様子をビデオで公開する「アンボックス」は、さまざまなプラットフォームで人気となった。メイベリンニューヨーク(Maybelline New York)は、ストーリー広告でアンボックス形式を活用し、新しいマスカラ製品「コロッサル・ビッグ・ショット」を宣伝している。これはYouTubeスポットの応用だ。YouTubeビデオは先月公開され、すでに320万回も再生された。
ブランドはこのスポットで、インスタグラムのストーリー上のセレブふたりを起用している。メイクアップアーティストのマニー・グティエレズ氏(通称「MannyMUA」)とシェイラ・ミッチェル(通称「MakeupShayla」)だ。
メイベリンニューヨークのシニアバイスプレジデント、アン・マリー・ネルソンーボーグル氏は「ソーシャルメディア上のスターである彼らは、1日に何回もインスタグラムでフォロワーたちとつながっている。(彼らを起用することで)強力な存在感を打ち出すことができると分かっていた」と語る。
バカルディ
バカルディ(Bacardi)のストーリー広告は音楽をキャンペーンに織り交ぜたもので、21歳以上のユーザーを対象にしている。これにはYouTube上で公開された長いスポットの一部が再利用されている。
品質の高いスポットはまるでTVのスポットのようである。インスタグラムのストーリーは、ラフで即興的なスタイルになっているものの、こういったプロダクトはインスタグラム自体の高品質かつキュレーションされたコンテンツ文化に合っているようだ。
ルイ・ヴィトン・フランス
このフランス発のブランドは、ストーリー広告を通して、ふたつの狙いを抱えている。ひとつは2017年春夏コレクションの宣伝、もうひとつは売上の牽引だ。
ほかの広告は、横長の写真が縦長のフォーマットに編集されたものだったが、こちらは違ってキャンペーン全体が縦長のビデオで撮影されている。
Grace Caffyn(原文 / 訳:塚本 紺)