Glossyのファッションメタバースシリーズの3カ月目。今回は、メタバース分野に参入したブランド、その動向が重要な理由、ブランドがもたらすものについて考察する。ここでは、メタバースを、インターネットの将来であり、ユーザーが永続的に存在することができる共有の3D仮想世界として定義する。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
Glossyのファッションメタバースシリーズの3カ月目。今回は、メタバース分野に参入したブランド、その動向が重要な理由、ブランドがもたらすものについて考察する。ここでは、メタバースを、インターネットの将来であり、ユーザーが永続的に存在することができる共有の3D仮想世界として定義する。
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2021年はまさしくデジタルファッションとNFTの1年だった。そして、ファッション分野における関連活動については12月も例外ではなかった。Glossyの記事でNFTについて復習して、ナイキ(Nike)のNFTへの進出や、実店舗にNFTを取り入れる小売業者の動きを知り、ブランドの対NFT戦略を詳しく探ることができる。
この記事では、思い切ってデジタルドアを通り抜けメタバースに足を踏み入れた3つのブランドを取り上げる。2021年12月、ストリートウェアブランドらは最大のNFT獲得をめぐって競い合い、ファストファッションブランドらはNFTとデジタル世界の可能性に門戸を開いた。
01.アディダス:ボアード・エイプ・ヨットクラブとのコラボでコミュニティに関与
スポーツウェアブランドのアディダス(Adidas)は、12月半ば、ボアード・エイプ(Bored Ape)のクリエーターであるユガラボ(Yuga Labs)らとのコラボによって、ライフスタイルレーベルのアディダスオリジナルス(Adidas Originals)を通して「イントゥ・ザ・メタバース(Into the Metaverse)」コレクションをローンチすると発表した。12月17日、3万点のNFTが1点0.2イーサリアム(約800ドル、約9.2万円)で販売されたが、数分で売り切れて、午後のあいだに同社は2200万ドル(約25億円)以上を売り上げた。NFT所有者のためのデジタルと実物のウエアアラブルは2022年に入手可能になる予定だ。
また、アディダスはボアード・エイプ・ヨットクラブ(Bored Ape Yacht Club)のNFTの1点である#8774を購入し、それを将来のプロジェクトで使用する予定のメタバースキャラクターであるインディゴヘルツ(Indigo Herz)に変換した。NFTマーケットプレイスのオープンシー(OpenSea)によるイーサリアムブロックチェーンの公開データによると、このNFTは9月に46イーサリアム(当時は15.6万ドル強、約1785万円)で購入されたということである。(NFT)コミュニティにすでに存在するものを購入して手を加えるというアイデアは、メタバース内でコミュニティを構築するための主要な方法のひとつである。
<重要な理由>
ナイキとアディダスはどちらもメタバースに深く関わっており、ナイキは12月初めにデジタルファッション会社、アーティファクト(RTFKT)を買収している。現時点で、デジタルコミュニティ内での拡張を考慮すると、アディダスはこの分野により注力しているようである。アディダスは、暗号通貨ウォレットへの第一歩として、11月に仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)との提携を発表した。また、メタバースゲームのザ・サンドボックス(The Sandbox)の仮想土地の一区画も購入している。その間ナイキは一時的な措置を取っただけであった。ただ、アディダスのローンチには少々障害があったため、慎重に進めることが賢明だろう。
02.ブーフーマン:NFTに進出したファストファッション
ブーフーマン(BoohooMAN)は、未来的な3DのTシャツ、トラックスーツ、アウターウェア、パーカーの8点の作品から成るNFTコレクションコンテストをローンチした。作品は、同ブランドのサイトを通じて暗号通貨ウォレットを所有する応募者にランダムに配布されることになる。ファストファッションブランドによるNFTへの進出の第一弾として、これは、メタバースにさらに注力するブランドによるほかの形式のデジタルファッションの出現につながるかもしれない。CEOのサミーア・カマニ氏は、将来のNFTコレクションやコラボレーション、デジタルファッション作品やゲームについて同社は大きな野望を持っていると述べている。
<重要な理由>
興味深いのは、このNFTコレクションは同社がこれまで手がけたなかでもっとも持続可能性が高いものかもしれないという点である。ファストファッションの製造基準から離れて、持続可能性のあるブロックチェーンプラットフォームであるポリゴン(Polygon)を通じて制作された同NFTコレクションは、製造中や輸送中に廃棄物を出したり炭素を排出することがないのである。
03.フォーエバー21:ロブロックスでデジタルワールドを構築するファストファッション
フォーエバー21(Forever 21)も今月メタバースに参入したファストファッションブランドだ。同ブランドのショップシティ(Shop City)のエクスペリエンスをロブロックス(Roblox)でローンチしている。フォーエバー21がロブロックス上で構築した世界では、ユーザーはゲーム内の場所をどこでも選んだり交換したりすることができ、また、在庫のストックや顧客対応などのショップのタスクに参加することができる。また、店舗で販売されている実際の商品と一致するデジタル商品を入手することも可能だ。
<重要な理由>
グッチ(Gucci)からナイキまで数多くのファッションブランドが、ロブロックスでストアやミニワールドをローンチしている。現時点では、デジタル世界においてファストファッションブランドらはゲーミフィケーションをエクスペリエンスにしっかりと組み込んでいる。しかし、フォーエバー21とロブロックスのデジタルコラボは、デジタルファッションの商品が衝動的な買い物行動に対応できるようにデザインされている。物理的な服をデジタルの服とつなげるというアイデアは、最終的にはユーザーがデジタル製品だけを購入するように促すかもしれない。
[原文:3 fashion brands that entered the metaverse in December]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)