2020年は「女性用」ストリートウェア躍進の年になる:ジェンダー融合の深化が後押し

ストリートウェアは常に男性が支配するカテゴリーで、メンズスニーカー、男子スポーツ、ヒップホップを中心とする男性アーティストが脚光を浴びてきた。しかし、ストリートウェアが完全にメインストリーム化したいま、2020年はストリートウェアブランドが女性ファッションを「おまけ扱い」するのをやめる年になるかもしれない。

公平を期して言うと、ストリートウェアをサブカルチャーからファッションの一大勢力へと変貌させるにあたっては、たくさんの女性たちが中心的な役割を果たしてきた。しかし、2019年にインフルエンサーのアレリー・メイ氏がナイキ(Nike)とコラボレーションを実現したものの、ジョーダン(Jordan)ブランドが女性著名人と提携するのは彼女でようやく2人目だ(ジョーダンは2019年だけですでにバージル・アブロー氏やトラビス・スコット氏とコラボレーションを行っている)。ストリートウェア業界には明らかに、まだまだ改善の余地がある。

一部では、2020年は業界が女性軽視を改める大きな変化の年になると目されている。最近、人気のストリートウェアブランドであるキス(Kith)とコラボレーションを果たした女性ファッションブランド、PH5の創業者たちが良い例だ。

「これまではストリートウェアの大半をメンズウェアが占めていた。しかし、2020年はウィメンズウェアが風穴を開ける年になるはずだ」と、PH5の共同創業者、ウェイ・リン氏はいう。「女性に特化したストリートウェアブランドが登場しているだけでなく、一般的な女性ファッションブランドも、ストリートウェアにおける特徴的なスタイルをコレクションに取り入れている。2019年にはストリートウェアとビジネスカジュアルの融合が進んだ。この傾向はますます広がるはずだ」。

「ナイキはよくやっている」

アパレル以外で、ストリートウェアが大いに力を入れるのがスニーカーだ。ブランドがスニーカーをデザインするときには、ただ男性用プロダクトを「小さくピンクに」して、女性用として売り出す傾向がある。あるいは、女性たちは単にサイズの小さい男性用スニーカーを買うしかなく、しょっちゅう在庫切れになったり、品質に劣るキッズサイズを買ったりしていた。

そんななか、ストリートウェアに入れ込むひと握りの女性たちのために、ヒップでクールなスニーカーを送り出す努力をもっとも示してきたブランドがナイキだ。

「率直に言って、ナイキは一番よくやっている」と、キャリーコープ(Carry Corp)の創業者でブランドストラテジスト、ステフ・ブラウンロー氏はいう。「彼らは女性用プロダクトを真剣に考えている。トロントにはナイキとノードストローム(Nordstrom)が提携したポップアップストアがあり、たくさんの注目すべき女性用スニーカーが並んでいる。エアマックス720(Air Max720)の女性用の新製品は8色展開だ。女性のことを真剣に考えた商品開発が行われているのがわかる」。

ニューヨーク市のミートパッキング・ディストリクトにあるスニーカーズエンスタッフ(Sneakersnstuff)でゼネラルマネージャーを務め、日々主要ブランドのスニーカーを扱うローレン・カーデナス氏も同意見だ。

「ナイキはいちばん正解に近いところにいる」と、同氏はいう。「だが、まだまだ成長の余地は大きい。彼らの女性用シューズには素晴らしい商品もあるが、ピンクとパープルの2色しか選べないものもある。ナイキは女性とのコラボレーションを増やし、まっとうに対話をしている。彼らが業界を牽引しているのは確かだが、やるべきことはまだまだある」。

女性用プロダクトの躍進の予兆

女性用ストリートウェアの勢いを後押しするのが、ジェンダーニュートラルファッションの息の長いトレンドだ。グッチ(Gucci)やサンローラン(Saint Laurent)は男女混成のファッションショーを開催し、ユニセックスのアパレル商品を展開している。業界内部には、男女のファッションの融合の深化を、2020年の女性用ストリートウェアの躍進の予兆と見る向きもあるようだ。

「ストリートウェアにおいて、男女のアパレルの境界線は明瞭だった。これはストリートウェアが男性のライフスタイルから誕生したためだ」と、PH5のクリエイティブディレクターを務めるミージャ・ザン氏はいう。「インスピレーションの源泉が機能性にあることが多く、これは男性ファッションでは常にきわめて重要なポイントだったが、女性ファッションでは必ずしもそうではなかった。近年、ファッションのジェンダー境界の融合が劇的に進み、このことが女性ファッションの世界にストリートウェアが取り入れられるきっかけになった。とはいえ、女性のライフスタイルがストリートウェアに本格的に取り入れられるのはこれからで、そうした流れにより、2020年は女性用プロダクトの増加がみられるだろう」と、同氏は述べた。

DANNY PARISI(原文 / 訳:ガリレオ)