アパレルの「徹底的透明性」、いまやメインストリームに: エバーレーン 立ち上げから10年

徹底的な透明性が新たな標準になっている。

D2Cアパレルブランドのエバーレーン(Everlane)が「徹底的透明性(radical transparency)」というモットーを打ち出して、若い買い物客の熱心なコミュニティを確立してから10年が過ぎた。大衆向けから高級品まで、いまや多くのファッション企業は、パートナーや取り組みをオープンにしている。このやり方は主に、Z世代の買い物客に訴求する。

ノードストロームの事例

ノードストローム(Nordstrom)は2020年3月5日、米DIGIDAYの姉妹メディアであるグロッシー(Glossy)の独占取材に応じ、2025年に向けての人権目標を発表すると明らかにした。その目標は、ポジティブな労働行為の推進、透明性の創造、世界のサプライチェーンで働く女性のエンパワーメントを焦点にしている。

ノードストロームは自社のプライベートレーベル製品で、工場労働者に生活賃金を支払っているサプライヤーのみを使い、女性のエンパワーメントに投資している工場でプライベートレーベル製品の90%を製造するという。同社は、こうした目標を今後5年で達成するとしている。さらに顧客は、プライベートレーベル製品の90%について、それらが製造された工場にまで遡って追跡できるようになるという。

ノードストロームのプライベートレーベル製品は、店舗でもオンラインでも強い存在感を示している。だが、広報担当者によると、ノードストロームはブランドごとに在庫を分類していないという。

新基準を満たす製品の多くは、ノードストロームのオンラインショップの「サステナブル・スタイル(Sustainable Style)」カテゴリーでフィーチャーされ、2020年8月にローンチされる。現在は、責任を持って製造され、持続可能な原材料を使っている、あるいはチャリティーによる構成要素を含む1500~2500個のスタイルを特集しており、パタゴニア(Patagonia)やリフォーメーション(Reformation)、ヴェジャ(Veja)など、100のブランドの製品がフィーチャーされている。

2011年11月のブランド立ち上げ以来、エバーレーンは進化し続け、製品の価格に関する透明性を厳密に提供することから、それらが作られた工場についての詳細を提供するところにまで至っている。これは、もとをただすと工場名の共有を拒否したことへの反動を受けての対応だ。原材料の出所から製造工場まで、1枚の服がたどってきた道を公開するという行為に、いまようやく業界全体が追いつこうとしている。

カトラの事例

モーダ・オペランディ(Moda Operandi)の共同創業者、アスラウグ・マグヌスドッティル氏は2020年1月28日、サステナビリティとデータドリブンなデザインを中心とした、新たなファッション企業カトラ(Katla)を立ち上げた。カトラはサプライチェーンの透明性を提供し、顧客が(購入した衣類と紐付けされている)追跡番号をブランドのウェブサイトの入力フォームに入力できるようにしている。そうすることで顧客は、使われた生地やそのサプライヤーを知ることができ、それがどこで作られたかがわかり、製品が社会や環境に及ぼす影響を調べられるのだ。

マグヌスドッティル氏は、カトラでは将来、追跡機能に関連して教育やエディトリアルを構築するつもりだと話す。

カトラは、選りすぐりの生地サプライヤーと3つの工場からなるシンプルなサプライチェーンでスタートした。3つの工場はすべて米国内にあり、アラバマ州にあるファストファッションを専門にするオンデマンドの工場、南カリフォルニアのニット製品工場、そして少量の製品を作るロサンゼルスの工場となっている。

マグヌスドッティル氏は次のように述べる。「我々は、工場や生地サプライヤーのストーリーにスポットライトを当て、顧客に対し、そうした生地が良い理由を教えたいと本気で考えている。良い行いをしているところにスポットライトを当てることで、業界にいる生地のサプライヤーや工場が徐々に、よりサステナブルな仕事をするようになっていくことを奨励できると期待している」。

カトラは、サステナブルでクルエルティフリー(動物実験等がない)生地と、倫理的に認められる原材料や製造方法の使用に専心していると、マグヌスドッティル氏はいう。カトラのスタイルは時代にとらわれないデザインになっており、1~2週間という短いリードタイムでできるオーダーメイドだ。あるいは、需要についてのデータを基に少量だけ生産される。カトラは顧客へのインセンティブも用意しており、購入品がもう不要になった時に返品し、それを再販またはリサイクルできるようにすると、次回以降の購入で20%の割引が受けられる。

マグヌスドッティル氏がファッション業界で働きはじめたのは2004年のことで、まずはギルト(Gilt)で働き、その後モーダ・オペランディやティンカー・テイラー(Tinker Tailor)を共同創業した。マグヌスドッティル氏はカトラについて、過去のベンチャーから学んだことを組み入れたと話す。たとえばモーダ・オペランディでは、デザイナーとエンドユーザーをつなぐコンセプトとして、サステナビリティが需要と供給をより良くマッチングさせるのに役立つと学んだという。

サステナビリティの世界での信頼をさらに確立するために、マグヌスドッティル氏は、この分野での経験を持つアドバイザーグループを組織した。そこには、サステナビリティ関連や健康関連ブランドに投資しているペガサス・キャピタル・アドバイザーズ(Pegasus Capital Advisors)の最高経営責任者(CEO)であるクレイグ・コグト氏や、生地ライブラリーを管理しニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)で教鞭をとるタラ・セント・ジェームズ氏などが参加している。

マグヌスドッティル氏は、Facebookに広告を出したり、ニューヨーク市やベイエリアで小規模な展示販売会(トランクショー)を開催したりして、情報発信をしている。インフルエンサー・アンバサダープログラムの準備も進めている。

マグヌスドッティル氏は、Facebookアナリティクス(Facebook Analytics)を基に、女性の買い物客が若いほど、ランウェイでのサステナブルファッションの価値が高まるという。マグヌスドッティル氏はそれを踏まえて、入手しやすく現在に見合う価格帯にこだわることにした。スタイルの最低価格は90ドル(約9500円)だ。

フォーデイズの事例

フォーデイズ(For Days)の創業者、クリスティ・ケイラー氏は、顧客の7割は34歳以下だと話す。フォーデイズは2018年5月に、クローズド・ループかつゼロ・ウェイストのサブスクリプション型ファッションブランドとして誕生した。それ以来、モデルを進化させ、現在は相当の値引きで品物の交換サービスを提供している。返品された品は毎回アップサイクルされ、新しい材料になる。

フォーデイズのウェブサイトは2019年11月にリニューアルされたばかりだが、ケイラー氏は、同社のサステナブルな取り組みの詳細をより多く追加することで、教育することができると確信した。

「我々に足りなかったのは、この点にまったく触れてこなかったことだ。できる限りサステナブルであるためのシステムを作り出すために、我々はたくさんのことを試みてきた。そのことについてもっと共有しようとしている。製品のために我々が選ぶ材料や製品輸送のすべてで我々がはじめたカーボンオフセットプログラムから、アップサイクルの能力やリサイクル可能率を保証しつつ、アップサイクルされた材料をできるだけ多く使うという我々の目標まで、すべてを共有する」。

同時に、フォーデイズのサイトではインパクトポイントシステムが開始された。既存顧客がログインすると、同ブランドの製品を購入することで水やエネルギー、埋め立て地の節約に自分が与えたプラスの影響を見ることができる。獲得したポイントはフォーデイズ製品購入時に使用することが可能だ。

「透明性は今後の標準になる」

透明性を約束しようとするブランドには、高級なサステナブルファッション企業ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)がある。ガブリエラ・ハーストのサイトには、それぞれの製品ページに「ガーメント・ジャーニー(Garment Journey)」のリンクがあり、製品がどこで作られたか、原材料がどこから来ているかの詳細情報が見られる。

「(ノードストロームのような)超巨大企業にとって、トレーサビリティの確保は必ずしも容易ではない」と、ケイラー氏はいう。「だが、トレーサビリティは今後の標準になるだろう。我々は、我々の製品がどこから来ているか、我々が人々や地球に与えている影響を知っているべきであり、トレーサビリティや透明性は、その大きな第一歩だ」。

Jill Manoff(原文 / 訳:ガリレオ)