ニキビケア市場において十代がコアカスタマーというのは、いまにはじまったことではない。だが、いまや米国で彼らにリーチする最適な手段はテレビCMではなく、TikTokのインフルエンサーとなっている。
ニキビケア市場において十代がコアカスタマーというのは、いまにはじまったことではない。だが、いまや米国で彼らにリーチする最適な手段はテレビCMではなく、TikTokのインフルエンサーとなっている。
創業34年のダーマロジカ(Dermalogica)は4月20日、同社の新ブランド「クリアスタート(Clear Start)」のアンバサダーにTikTokの人気インフルエンサー、ディクシー・ダメリオ氏を起用すると発表した。この提携はスキンケアキャンペーン「キャンディッド・カンバセーションズ(Candid Conversations)」から開始するという。同キャンペーンでダメリオ氏は、クリアスタートが4月20日に発売した新製品フラッシュフォリアント(FlashFoliant)を使ったスキンケアについて自分自身の体験を投稿する。
TikTokで2120万人のフォロワーを抱えるダメリオ氏は、同5050万人のフォロワーを有する姉妹のチャーリー・ダメリオ氏とともにTikTokでもっとも人気のインフルエンサーだ。新旧双方のブランドにとって、TikTokでのエンゲージメントと認知度向上においてインフルエンサーは、いまや王道とも呼べる手段となっている。
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クリアスタートの事業を率いるカーリー・ロジャース氏は「TikTokでブランドの知名度を高めるもっとも有効な手段は、自分たちのオーディエンスと彼らに訴える手段を知っているスキンケア関連のクリエイターと提携することだ」と語る。
ニキビに関するあるがままを
インフルエンサーは、スキンケアへの注目を主導してきた存在でもある。メッセージ・エンビー(Massage Envy)は3月中旬にTikTokで#myskinandmeというキャンペーンを開始した。同キャンペーンは、インフルエンサーにニキビに関するあるがままの動画を投稿してもらう取り組みだ。このハッシュタグがついた投稿の合計閲覧数は57億回にも達した。一方、チャーリー・ダメリオ氏は、インフルエンサーグループのハイプハウス(Hype House)のメンバーで19歳のアディソン・レイ氏とともに、スターフェイス(Starface)の知名度向上にひと役買っている。スターフェイスはTikTokを中心にメッセージを発信している2019年創業のスタートアップで、Z世代向けニキビ製品を提供している。共同創業者のジュリー・ショット氏は、「オンラインを極めて重視するスターフェイスのマーケティング戦略のなかでTikTokのインフルエンサーは重要な位置を占めている」と語る。
同ブランドはTikTokのインフルエンサーによって極めて大きな注目を集めた。チャーリー・ダメリオ氏は同ブランドの明るい黄色のニキビ製品を使用する動画を5本投稿しており、1900万から3400万という閲覧数を叩き出している。4月第3週にレイ氏も同製品を使用する動画を投稿し、閲覧数1450万を達成している。スターフェイスによれば、試供品を提供しただけで金銭的な報酬はなかったという。
「当社は金銭報酬でインフルエンサーと提携したことがなく、オーガニックでこれほどの露出を得られたことに感謝している」とショット氏は語る。同ブランドは初期からTikTokのインフルエンサーを活用しており、たとえば「クリエイターキックバック」というコンテンツ作成イベントを開催し、ブライス・ハビエル氏やマホガニー・ロックス氏、女性グループ「ピンク・レモネード(Pynk Lemonade)」のシドニー氏やジャッキー氏、タティ・マッケイ氏、ウィルキング・シスターズなどを集めてきた。
SNSでの完璧さは必要なくなった
ロジャース氏は、ダーマロジカのキャンペーンの狙いは「ニキビへの羞恥心を減らし、カスタマーの教育を行う」ことだと語り、次のように述べた。
「当社のメインとなる顧客層は16歳から24歳だ。当社はインスタグラムでも重点的に活動しているが、TikTokのアーリーアダプターでもある。Z世代は本当の肌を晒すことに対する抵抗が少なくなっている。彼らは編集しない自撮り写真を投稿したり、肌荒れについて話したりしている。数年前までSNSでは完璧さを演出することがトレンドだったかもしれないが、彼らはそういった必要性を感じていないようだ」。
LIZ FLORA(原文 / 訳:SI Japan)