「トランプ支持者を社会病質者だと、人々は決めつける」:広告エージェンシーに勤めるトランプ支持者の告白

さまざまな価値観やバックグランドの人材を取り込んでいる、と宣伝するエージェンシーは多い。

しかし、エージェンシーは得てして筋金入りのリベラルや、ハードコアな民主党支持者が集まっている。トランプ大統領を支持してる、とは言いにくい環境なのは確かだろう。

匿名を条件に業界について赤裸々に語ってもらう「告白」シリーズ。本稿では広告エージェンシーに務めるコピーライターに登場してもらう。オフィスではトランプ支持者であるとは言えない、彼の職場環境について語ってもらった。

――左寄りの業界において、保守的な政治信条を持っているというのはどんな感覚か?

リベラルの山に潜む1本の針みたいな存在だ。難しい。孤立しているように感じる。

――孤立していると感じるのはどんなときか?

もっとも強く感じた最近の例では、ブレット・カバノー最高裁判事候補の公聴会の日だ。オフィスでは皆がコンピュータで公聴会を見ていて、生中継をチェックしながら同時におおっぴらにオフィスで会話していた。私も見ていたが、私の意見はオフィスの他の人間たちとは異なるので発言はしていなかった。

私の職場では、(公聴会について)非常に熱心になっている女性スタッフがたくさんいる。彼らは皆、カバノーや共和党員について侮辱的なことを言っていた。嘘つきだ、と。私はその横に座って、「(共和党支持者がここにいると)知っていたら、どうなるだろうか」と思っていた。

――あなたはトランプに投票した。けれどもそのことはオープンにはしていない。その理由は?

トランプに投票した人々について回る連想がある。外国人嫌い、女性の権利に反対している、銃が大好き、白人至上主義者といったレッテルが貼られる。彼が大統領になって2年が経ち、人々が必死に頑固に反対をし続けてきた彼の行為をすべて見てきて、いまでもトランプを支持しているなんて、人間の感情を持っていないか、何が正しくて間違っているかの区別もつかない社会病質者に違いない、と人々は思う。

彼らにとってそれは、意見というよりもモラルの問題になっている。私のオフィスではその信念はすごく強くて、業界全体でもそうだ。そんななかで、私が持っているひとつの意見によって、これまで築き上げてきた信頼を失うつもりはない。私は人付き合いも良いし、自分の周りの人間には心地良くいて欲しいと思うのだ。

――あなたのような境遇にある人は、エージェンシー業界にたくさんいると思うか?

そう思う。自分自身は孤立しているけれども、自分しか存在していないわけではない。ただオープンには語られないことなのだ。この国の半分は本当に、違った意見を持っている。大学でも同じ境遇だった。芸術学校に行ったので、そこは非常に左寄りな生徒の集まりが存在した。自分の信念は内側に隠さないといけないと気付いたのだ。

――なぜトランプに投票したのか?

私は財務的な観点から行って非常に保守的だからトランプに投票した。トランプは、経済、国家安全、そして国境にフォーカスを据えている。私はこれらの政治問題に非常に関心がある。彼はまさに経済が必要としている存在で、政治家を職業としていない点も気に入っている。正直に自分の考えを口にすることを恐れない。それは自分にも通じるところがある。

――いまでもトランプを指示するのか?

もしかしたら以前よりも強く指示しているかもしれない。貿易に関する取引について、ちゃんと達成してくれると分かったし、経済も非常に強い状態だ。

――あなたの考えについて、人々が理解してくれたら、と思うことはあるか?

イデオロギー面で意見をともにしないからといって、仲良く慣れなかったり、生産的に仕事を一緒にできないわけはない、ということだ。ドナルド・トランプに投票したからといって、メキシコ人を全員送り返したいと思っていて、あらゆる人物に災難が起きることを祈っているような極悪人ではないということ。それが理解して欲しいことのメインだ。

実態はそんなものではないんだ。普通の、理性的な人々もドナルド・トランプに投票したんだ。私はそのひとりであって、皆と毎日普通に仕事をしている。仕事と、その成果についてフォーカスすべきだ。全員と政治的に同意しようとはすべきではない。誰だって意見を持つ権利がある。

――政治的なことに関する会話を、エージェンシーは禁止すべきか?

もちろん、そんなことはするべきではない。誰だって話したいことは話せば良いと思う。正直にオープンであることで、近密なコミュニティを作れるから。問題は政治的なトピックかどうかじゃない。ある事柄に関して、誰かが少数派の意見を持っているときに返ってくるリアクションだ。それぞれの従業員が特定の状況や意見にどう反応するか、エージェンシーにはコントロールすることができない。

従業員それぞれが、仕事、そして個人的な関係性に影響を与えることなしにオープンに正直になれる、と決意しないといけないんだ。この国の分断は悪い状況だ。けれど政治的な会話を禁止することが答えだとは私は思わない。議員たちに話し合うことなしに妥協案を作ってくれ、と議会に頼むようなものだ。会話はもっとあるべきだ、けれどお互いに対する敵意や辛辣さは減らすべきだ。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)