ソフトウエアが世界を侵食しており、それはメディア業界にもおよんでいます。アドテクの興隆で、おびただしい数の頭字語(略語)や奇妙な新語が生まれました。
DIGIDAYでは、それらのアドテク用語を「一問一答」シリーズで、かみ砕いて説明しています。本シリーズのほかの記事はこちらからどうぞ。
今回は、純広告の買い付けを自動化できる、プログラマティックな保証型の広告バイイング「プログラマティックダイレクト」に焦点を当てます。
ソフトウェアが世界を侵食しており、それはメディア業界にもおよんでいます。アドテクの興隆で、おびただしい数の頭字語(略語)や奇妙な新語が生まれました。
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今回は、純広告の買い付けを自動化できる、プログラマティックな保証型の広告バイイング「プログラマティックダイレクト」に焦点を当てます。
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プログラマティックダイレクトとはいったいなんですか?
プログラマティックダイレクトとは、キャンペーンのための純広告の買い付けを自動化するひとつの方法です。オークション方式とは違い、インプレッションごとのコストは変動しません。CPMが固定されており、固定価格での取引となります。
それはプログラマティックギャランティードと何か違いがあるのですか?
あまり違いはありません。プログラマティックギャランティードは、プログラマティックダイレクトという純広告の売買のなかでさらに分けられる契約のことを指し、保証型(プログラマティックギャランティード)と非保証型(Preferred Deal:プリファードディール)という取引で分けられています。
プログラマティックプレミアムとは違いますか?
どちらも同じものです。誰が使っているかによりますが。
プログラマティックリザーブドとは?
スッキリしませんが、同じものとして捉えられています。
混乱します
そうでしょうね。しかし、それがアドテクなのです。
では、リアルタイムビッディング(RTB)とは違うものですか?
はい。プログラマティックダイレクトの広告バイイングにオークションは含まれまれないため、リアルタイムビッディングとは違います。ウォール街を考えてください。スポット市場ではリアルタイムでの入札がありますが。取引の大部分は保証型の購入です。プログラマティックダイレクトもそれと同じです。
なるほど、RTBは質の低い残り物の広告枠で、プログラマティックダイレクトは質の高い広告枠というわけですね?
少し違います。両者の違いは広告枠の買い付けの方法です。広告バイイング技術のプロバイダーであるネクストマーク(NextMark)のCEO、ジョー・パイク氏にいわせれば「質の良し悪しは見る人次第」です。
そうですか。では、プログラマティックダイレクトは広告バイイングの主流なのですか?
はい。広告バイイングの大部分はRTBのようなオークションで行われているわけではありません。プログラマティックダイレクトの背景にある考え方は、RTBによって普及した自動化の仕組みを、通常の広告枠のバイイングに適用するというものです。
技術は同じなのですか?
同じ技術であるべきだという考えがある一方で、RTBの技術はダイナミクスがまったく異なる市場には適していないという考え方もあります。言うまでもなく、その見解には多くの場合、会社の業務内容が反映されています。
プログラマティックダイレクトのメリットは何ですか?
すべては効率化のためでしょう。広告バイイングは非常に非効率的です。ある推計によると、標準的な広告バイイングには間接費が1万ドル(約113万円)かかるそうです。テクノロジー分野に関しては、その間接費は直接費に比例して増減するわけではありません。
営業に取って代わるものなのですね。
そうかもしれません。あるいは、広告運用の担当者の方がもっと多く取って代わられるかもしれません。デジタル広告のバイイングを担うのは買い手と売り手だけではありません。キャンペーンが実際に実施されるようにする広告運用者がいます。なかなか先に進まない多くの頭の痛い問題(つまり人件費)を取り除くことで効率化が進むのは明らかです。
巨大なものなのでしょうね。
いいえ。プログラマティックダイレクトはプログラマティック市場のほんの一部で、そのプログラマティック市場もまたデジタル広告市場のごく一部で、そのデジタル広告市場も……おわかりですよね。それでも、たくさんの人が可能性を見いだしています。
実施することになるのはメディアエージェンシーですか? それともトレーディングデスクですか?
どちらかになるでしょう。
プライベートエクスチェンジとは違うものなのですか?
違います。プライベートマーケットプレイス(PMP)の方が、広告バイヤー側が広告を欲しいかどうかを選択する権限が強くなります。
製品というよりは機能みたいですね。
その通りです。まあ、そう言い切ってしまうのは公平ではありませんが、結局そうなるかもしれません。ウェザー・カンパニー(The Weather Company)のプログラマティック担当バイスプレジデントであるジェレミー・フラバーチコバ氏の見方はこうです。「多くのアドテクのインフラを考え直す必要がある。自動取引を活用することが多い場合は、アドサービング(広告をWebサイトに配信するサービスや技術のこと)を考え直す必要がある」。
そのようなサービスはどこが推進しているのですか?
アイソケット(iSocket)、ネクストマーク、シャイニーアズ(Shiny Ads)、アドスロット(Adslot)などが専門ベンダーです。Googleにもオプションがあります。ルビコン(Rubicon)など、既存の収益管理プラットフォームでも提供されています。
大手パブリッシャーは採用していますか?
しています。米ヤフー(Yahoo!)はこの方法によって広告インベントリー(在庫)を提供すると発表しました。ほかの大手も手を出しつつあります。
遅れの原因はなんですか?
奇妙な話ですが、プログラマティックダイレクトでは売り手側が買い手側より先を行っています。プログラマティックギャランティードのプロバイダーシステムに発注できる購入システムがあまりに少ないのです。加えて、自動化の到来によってメディアバイイングのシステムが各方面で紛糾しています。たとえば、メディアエージェンシーとトレーディングディスクは、プログラマティックダイレクトの予算を巡って争う構えを見せています。パブリッシャーは、プログラマティックダイレクトによる自動化を採用するには、販売チームのトレーニングが不可欠ですし、おそらく広告運用チームの再編成も必要になります。Googleなどの主要プラットフォームにも、それぞれの検討課題があります。
さらに詳しく知るには何がありますか?
インタラクティブ広告協議会(IAB)がまとめたプログラマティックの概要をご覧ください。この概要ではプログラマティックダイレクトに「オートメーテッドギャランティード(automated guaranteed:自動取引による保証型)という用語が使われています。
また新しい用語ですか……。
はい。それがアドテクです。
Brian Morrissey(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Thinkstock / Getty Images