「動画マーケティングといっても、動画はひとつではない」:米DIGIDAYの動画マーケティングサミットで拾った声

ケーブルテレビは下り坂、ストリーミングサービスが上り調子で、エージェンシーとブランドはOTT(オーバーザトップ)の世界に直面している。

もちろん、動画マーケティングはテレビのコマーシャルだけではない。YouTubeのプレロール広告、FacebookのCM、それにSnapchatやインスタグラムの「ストーリー(Stories)」もある。テネシー州ナッシュビルで米DIGIDAYが開催した動画マーケティングサミット(Video Marketing Summit)で、マーケターたちがいちばんの課題を語ってくれた。

その一部を紹介する。

内部でどこがOTTを握っているのかエージェンシーはわかっていない

「誰から買うのかを巡っては、内部で駆け引きが多い。多くのエージェンシーは、社内に動画チームがあると話しているが、実際に取り組んでみると、動画といってもひとつではない。デジタルとテレビがある」

「OTTの広告購入は、テレビ広告の延長線上というのが我々のアプローチだ。いまは、ニッチ製品に使うことが多い。本当に欲しいのはテレビ番組なので、プレロールはできるだけ除外している」

エージェンシーのどこが動画を握るべきなのか

「メディアがあり、クリエイティブがあるが、このふたつのあいだのどこが動画を握るべきなのか。あるクライアントにこんな話を聞いた。『90秒の美しいスポット広告があるが、自社のロビーで流している。この見事なクリエイティブをメディアは受け入れきれないからだ』。一方で、我々のクリエイティブエージェンシーが制作できないフォーマットを100通り勧めてくるメディアプランがある。真理はこの中間のどこかにあるはずだ」

「クリエイティブとクリエイティブの配信が結びついているケースが一度もなかったというクライアントたちと、いま仕事をしている。アップフロントで買ってはいるのだろうが、クリエイティブショップはそうした判断から切り離されている」

「中間管理職との会議に行くと、お金の分配に関する判断を担当していながら、公式のようなものがない」

ベンダーが多すぎる

「やってくる人皆が『わが社ほどいいインベントリソースはない』と語るので、我々は『大丈夫?』となる。通常のRFP(提案依頼書)の場合と比べると、誰が直接のソースで、誰に話をしていくべきなのかが難しい」

「いちばんいいソース? それで不安になる。人に会うたびに、どこにフィットするのか整理している。正しい判断をしたいが、その努力は推測が頼りだ」

「そのようにやってくるところはどこも、簡単にノーと言える独自の差別化要因がない」

どの指標に注目すべきかブランドはよくわかってない

「結局のところ、広告主は何に関心があるのか? オーディエンスではない。クリエイティブブリーフを持っていくといつも、インプレッション単価が高すぎるといった態度だ。わかった、大事なのは値段なのだ」

「(我々のブランドの)購入の仕事ぶりが上がるなんて思わないが、意識の達成に努めていることは認める」

6秒広告の効果を問う

「とにかくバンパー広告が欲しいというクライントがいるが、本当に何も見えていない。小売りのオファーを見せることはできないのだから」

「クリエイティブ企業は、かつては6秒広告を嫌ったものだ。人々を泣かせるような2分間の映像を好むのだ。パフォーマンスの指標にしか関心がないクライアントだと、困ったことになる。ただ、何か語っていれば(ストーリーは)可能だ」

「6秒広告にはリターゲティング戦術としてアプローチしている。15秒や30秒の広告にエンゲージメントがあった人に、リマインダーとして6秒広告でリターゲティングする。これはチャネル次第。 Pinterest(ピンタレスト)は実際にうまくいく一例かもしれない」

Facebookの3秒広告も効くことがある

「Facebookの広告が見られていないなら、こんなにリフト効果があるはずがない」

「とにかくFacebookに動画資産を使い回してはならない。Facebookの動画は3秒しかなく、多くの場合、敬遠しているのはビューアビリティ(可視性)をあてにできないからだ。15秒から30秒とは違う」

「内容次第では、3秒というのは必ずしも悪くはない。単にブランド認知を求めているのなら、たとえ価格が同じでも、Facebookの一定の長さはほかとは比べものにならない。広告フォーマットの比較を価格からはじめるべきではない」

「(Facebookのプレロール広告は)いちばん迷惑な困った広告商品だと思う。消費者を困らせている広告商品を実施しても恩恵はない」

YouTubeは顧客サービスが改善したが、Facebookは相変わらず

「とてもムラがあると思う。非常にクリエイティブな人もいるが、完全な役立たずもいる」

「各プラットフォームのアカウントチームは会社全体を反映している。Facebookは巨大で、『我々は我々のやり方でやる』と、いつも言っている。Twitterは、チャレンジ精神が強いからか、より協力的かもしれない。Snapchatなどは、この分野でまだ新しい分、広告主に従わなければならないというプレッシャー強い。Facebookも最初のころはそんなだった」

「YouTubeでうちの看板アカウントが3つ消えた。大きなアカウントではあったが、(YouTubeが)実施した顧客サービスの取り組みはすばらしい、究極のダメージコントロールだった。Facebookなどがこうした機会を活かさないのは大失敗だ」

インフルエンサーマーケティングは活気があるが活用が難しい

「インフルエンサーのありのままの活動は無料だ。お金を賢く確実に投じるべき場所、そしてもちろん測定について、理解を深めている」

「まだ萌芽期だ。セルフサービスから根付き、それからホワイトリストになった。難しいのは、インフルエンサーがコンテンツと配信を同時に意味するところだ」

「保守的なブランドがある。そこでは、誰かがとんでもないことをするリスクは輝きを失うかもしれない。そんなブランドも、インフルエンサーはやってみたい。ではどこまでやるのか」

「フォロワー数については不正が多い。調査するサードパーティと協力している」

「パートナーとしてはひどいインフルエンサーもいる。歌姫で、法外な値段で、フォロワー数はフェイクなんてのもいる。しかし、適切なパートナーが見つかって大きな付加価値がもたらされる場合もある。両面がある。それが両極端なのだ」

Kerry Flynn (原文 / 訳:ガリレオ)