デジタル広告の支出額をめぐる競争では、パブリッシャーがFacebookやGoogleの広告ターゲティング力を相手にするのは容易ではない。だが、アドテクノロジー企業のスキムリンクス(Skimlinks)には、そこを対等に渡り合えるようにする方法があるという。
2006年に創設され、ロンドンを拠点とするスキムリンクス。タイムやゴーカーメディア、デイリーメールなどの媒体社に、アフィリエイト広告のネットワークを提供する企業だ。メディアに掲出された広告を通じて消費者が商品を購入した場合、パブリッシャーは売り上げの一部(平均5%)を得られる仕組みとなっている。
同社はさらに踏み込んで、サードパーティデータの販売にも乗り出した。それは、150万のパートナーサイトを利用して収集された、ユーザーが目を通して購入する商品に関する膨大なデータ(正確に言えば、1日あたりユーザー13億人の、15億個のデータポイント)だ。これによって、将来の購買行動を予測できるので、広告主にとって貴重なデータとなる、と同社は見解を述べている。
デジタル広告の支出額をめぐる競争では、パブリッシャーがFacebookやGoogleの広告ターゲティング力を相手にするのは容易ではない。だが、アドテクノロジー企業のスキムリンクス(Skimlinks)には、そこを対等に渡り合えるようにする方法があるという。
2006年に創設され、ロンドンを拠点とするスキムリンクス。タイムやゴーカーメディア、デイリーメールなどの媒体社に、アフィリエイト広告のネットワークを提供する企業だ。メディアに掲出された広告を通じて消費者が商品を購入した場合、パブリッシャーは売り上げの一部(平均5%)を得られる仕組みとなっている。
同社はさらに踏み込んで、サードパーティデータの販売にも乗り出した。それは、150万のパートナーサイトを利用して収集された、ユーザーが目を通して購入する商品に関する膨大なデータ(正確に言えば、1日あたりユーザー13億人の、15億個のデータポイント)だ。これによって、将来の購買行動を予測できるので、広告主にとって貴重なデータとなる、と同社は見解を述べている。
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各媒体のデータ統合により、規模で対抗
スキムリンクスが2015年11月5日に発表した、新サービス「Audiences(オーディエンス)」。メディアマス(Mediamath)やアップネクサス(Appnexus)のようなプログラマティックバイイング・プラットフォームを通じて、広告主にそうしたデータを販売する。そして、データをプールするパブリッシャーは、収益の一部を手に入れるというものだ。商取引にひときわ力を注いでいるパブリッシャーにとって、収益の分配は大きくなるという。
スキムリンクスのアリシア・ナヴァロ共同創設者兼最高経営責任者(CEO)によると、各パブリッシャーのデータを集計することにより、媒体社が独自に行うよりもうまくデータを利用できる。同社顧客のなかで商取引にもっとも力を注いでいるパブリッシャーの多くは、データプールの一部となることを選んだ、と同CEOは述べた。
「FacebookやApple、Googleのような大規模なプラットフォームが好まれるのは、規模が非常に大きいので、データが豊富であり、多くの予測を行って、広告主に多額の請求をできるからだ。スキムリンクスの『Audiences』がパブリッシャーに提供しようとしているのは、対等な競争条件である。1年後には、パブリッシャーにとって大きな収益源になっていると思う」と、ナヴァロCEOは語る。
より精緻なターゲティングを実現
スキムリンクスが提供しているようなデータに対しては、市場のニーズがある。買い手の間でよく口にされる不満は、オープンアドエクスチェンジを利用した場合に得られるサードパーティーの消費者データは、「購入しそうな消費者」と「気軽なウィンドウ・ショッピングをしている消費者」を区別しない、というものだ。「データマネジメントプラットフォーム(DMP)は、そうしたすべてを一括りにすることによって、手っ取り早く数多くの仕事をこなす」。プロハスカ・コンサルティングのマット・プロハスカCEO兼会長は、そう指摘する。
スキムリンクスが新興経済メディア「ビジネス・インサイダー」のようなパブリッシャーにとって魅力的なのは、その点だ。「ビジネス・インサイダー」のプログラマティックおよびデータ戦略担当バイスプレジデントであるジャナ・メロン氏によれば、同社は以前、広告主が特定の買い物顧客層をターゲットにできるように、高額な費用の割には効果の検証が難しいサードパーティーのデータを利用する必要があった。「だがいまは、『ビジネスインサイダー』での閲覧行動と購買行動によって立証された信頼できるソースから、自社サイトで高級品を購入したり、購入することに関心がある読者を判別できる」。
懸念されるのはオフラインの購買データ
だが、スキムリンクスの売り込み口上には課題がある。まず、同社のデータ販売サービスが、広告主にあまり知られていないこと。そして、パブリッシャーが、プログラマティックなチャネルに対してより多くの購買を誘導すれば、利益がもっと多い直販にダメージがあるのではないかと神経質になっていることだ。どのパブリッシャーについてもデータプールに提供できるデータ量を制限する、という予防措置をスキムリンクスがとっていても、それは変わらない。
さらに、データに対するもっと一般的な制限がある。買い手は常に、Webサーファーがショッピングをする準備ができていることを示す、もっと強いシグナルを探している。だが、すべてのオンラインデータが揃っていても、デジタルな手がかりをまったく残していないオフラインの買い物客に、広告主がリーチする助けにはならない。プログラマティック・トレーディングデスクであるヴァリック・メディア・マネジメントの製品および顧客戦略担当シニアバイスプレジデント、ジム・カルーソー氏は、そう指摘する。
そして、どんなデータがあっても、コストに見合うだけの価値があるかどうかという問題が、スキムリンクスにはつきまとう。「こういったデータの課題は、どれくらい増加していくデータなのか、実際に人々に購入を促せるのかという点だ」と、カルーソー氏は指摘した。
Lucia Moses (原文 / 訳:矢倉美登里[ガリレオ])
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