オンからオフへ:ワービーパーカーの原点はなんとシアーズ

直販(DTC)ブランドの代名詞的存在、アイウェア・ブランド、ワービー・パーカー(Warby Parker)の実店舗戦略はどこからインスピレーションを得たのか。ケリー・ラッドフォード氏は、デパートメントストアであるシアーズ(Sears)という予想もしていなかった回答を出してきた。

いまでこそデパートとして知られているシアーズだが、最初は郵便でのオーダーのみのビジネスとして開始されたのだ。最初の実店舗がオープンされたのはビジネス開始から30年後である。顧客がオプションを眺めてから選び、商品を配送してもらうというモデルから、実店舗を訪ねて商品を実際に見るというモデルへの移行は、まさにワービーパーカーが過去数年間にたどってきた道だ。当初はオンラインのみのショップであったワービーパーカーだが、現在ではアメリカとカナダで70店舗以上を抱えている。

もちろん、異なる部分に注目すれば、この2つのブランドはまったく異なっている。ワービーパーカーはオンラインでのスタートアップが実店舗リテールへと移行した成功例として称賛されている一方で、シアーズは最近の収支報告によると破産寸前となっている(※原文記事公開は9月20日)。

顧客体験で差別化

ニューヨーク発祥のブランドだが、ワービーパーカーの店舗はいまやアメリカ全土に展開されている。つい先週にもクリーブランドのマディソン通り、そしてニュージーランドにも新店舗がオープンされると発表されたばかりだ。前述のラッドフォード氏はワービーパーカーの不動産・開発部門バイスプレジデントだ。彼女はオンラインからオフラインへの移行について、多くの時間を費やして熟考を尽くしてきた。この移行によって、顧客とブランドの関係がどう影響を受けたか、そしていかにブランドとして均質性と効率性を保つのかという点がキーとなっている。彼女が持っている解答は、「実験」だ。

「私たちがリテールを開始したとき、ショールームをたくさん行った。自分たちがリテール空間を所有することに意味があるのかを見極めようとした。学校送迎のバスを使っていろんな都市に行き、そこでメガネを売るということも試した。いまではそれは行っていない。ショールームも行わなくなった。恒常的な実店舗を維持することが我々でも可能だと理解したからだ」と、先日行われたレコード(Recode)によるコード・コマースイベントのパネルディスカッションで彼女は語った

こういった種々の実験に加えて、ワービーパーカーの実店舗リテール戦略の駆動となっているのは「体験」だ。オンラインでの体験がすでにハイクオリティである場合、実店舗にわざわざ来てもらうためには何か別のクオリティを提供できなくてはいけない。それがイノベーティブな技術と組み合わさったスタッフによる人的サービスだ。

戦略策定にデータ

「顧客が何を欲しいのか、それをちゃんと知ることは私たちのフォーカスのひとつだ」と、ラッドフォード氏は語る。「テクノロジーを使ってリテール体験を支援する方法を見つけないといけない。実際の顧客体験にも大きな注目を注いでいる。人間との実際のふれあいが存在していることは非常に重要だ。顧客がオンラインであれソーシャルメディアであれ実店舗であれ、どのような形でブランドと接したとして、適切なトレーニングを受けた適切なスタッフによって、同じクオリティの体験が得ることができないといけない。顧客と接するすべてのポイントが、我々にとっては平等に重要だ」。

実店舗が拡大していくことで、ワービーパーカーは新しいモデル、新しいプロダクト、そしてまったく新しい層の顧客層に挑戦することができている。昨年初頭にワービーパーカーは、ニューヨーク店舗で子供向けのアイウェアを試験ローンチした。ニューヨークの複数店舗で新しいコレクションを展開したのだ。

「いまでは私たちはたくさんの情報を抱えている。データをマイニングして顧客層とマーケットエントリーについて理解を深めることができる。私たちにとっては、長期的に営業ができるロケーションを決めて、そこで実験を行うことが理にかなっている。店舗をオープンして、閉じて、場所を変えて、をしながら顧客がついてくることを祈るなんてのは、理にかなっていない」と、ラッドフォード氏は言う。

リテールの未来

ラッドフォード氏にとっては、ワービーパーカーがテクノロジーと実店舗に取り組む姿は、何十年も前にシアーズが試みた大転換と似ているようだ。どちらもたったひとつのゴールに向かっている。それはプロダクトを購入する顧客の体験を改善するというゴールだ。

「パターンとしては同じだ。私にとって、リテールの未来とは、その時代のテクノロジーを使って顧客の体験を高めることだ」と彼女は語った。

Danny Parisi(原文 / 訳:塚本 紺)