Facebook動画が世界を席巻している。しかし、ブランドは対応できていない。
Facebookで動画を公開する際には、画角を正方形にする、無音でも理解できるようにテロップを付ける、といった最適化を行うことが重要だ。だが、BBDOのリサーチによると、Facebookにおける「ファン数」から測定したトップ100ブランドのうちの84%は、こういった対策を動画広告に施すまで手が回っていないという。
問題があるところにビジネスチャンスは転がっている。この現状をビジネスに結びつけたのが、BBDOのプロジェクト・サム・ブレイカー(Project Thumb Breaker)だ。
Facebook動画が世界を席巻している。しかし、ブランドは対応できていない。
Facebookで動画を公開する際には、画角を正方形にする、無音でも理解できるようにテロップを付ける、といった最適化を行うことが重要だ。だが、BBDOのリサーチによると、Facebookにおける「ファン数」から測定したトップ100ブランドのうちの84%は、こういった対策を動画広告に施すまで手が回っていないという。
3つのレベルのメニューを提供
問題があるところにビジネスチャンスは転がっている。この現状をビジネスに結びつけたのが、BBDOのプロジェクト・サム・ブレイカー(Project Thumb Breaker)だ。本プロジェクトを開始した同社のニューヨークオフィスはこれまで、36社のクライアントの動画にて、Facebook最適化に取り組んできた。いまや、これはBBDOが提供するサービスメニューのひとつであり、8000ドル(約80万円)から利用できる。もともとTV用に作られた広告素材をFacebook動画対応へと作り変えてくれるのだ。
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「誰もがモバイルについて話していて、業界では非常に大きな規模の変革が起きようとしている。それならばと、我々がその変革を牽引することにした」と、BBDOニューヨークのCEO、ジョン・オズボーン氏は語った。
サム・ブレイカーのサービスは、編集の程度によって、ゴールド、シルバー、ブロンズという3つのレベルのメニューを提供する。ブロンズであれば、現存するTV広告素材を再編集。シルバーでは再編集のうえ、さらに新しい文脈が演出として追加される。これらは2つとも、編集プロセスのみのサービスとなっているが、ゴールドではFacebook対応用に新しい映像が追加撮影されることになるという。
それぞれのレベルには値段が設定されており、ブロンズだと8000ドル(約80万円)から1万3000ドル(約130万円)。シルバーだと2万ドル(約200万円)まで、それよりも高くなるとゴールドとなる。
まだ浸透していないアプローチ
Facebookへの最適化を最重要事項としてクライアントに捉えてもらうため、BBDOの会計チームはクライアントの予算内にその制作費を組み込むように働きかけてきた。しかし、モバイルに注目が集まっていながらも、こういったプロセスは、現時点でまったく実行されていないと、同社のコミュニケーションズプラニング責任者のジュリアン・コール氏は語る。
さらにプラチナレベルというサービスも存在。BBDOの長年のクライアントであるバカルディ(Bacardi)は、そのプラチナで動画制作を依頼した。このメニューでは、Facebookでの露出を念頭に置いて、動画の撮影・編集を行ってる。
北米バカルディのクリエイティブ・エクセレンス・ディレクター、オリビア・レジェール氏は「BBDOから積極的にFacebook対応の動画のノウハウを学ぶことで、我々のコンテンツの効果をさらに発揮させる、大きなチャンスを得ることができると思う」。
効果予測レポートでサービス保証
ブロンズの例として大手ホームセンターチェーンのロウズ(Lowe’s)がある。彼らはTV広告素材を正方形にクロップし、Facebook上では音無しで再生されるためにテロップも編集して追加した。
さらにサム・ブレイカーのサービスを購入するクライアントに対してBBDOは、制作する動画がどれくらい成功するかの予測レポートを事前に渡すようにした。15のブランドから入手した35億インプレッション分の動画データを集めたデータバンクをもとに、Facebookの推定広告想起リフトと比較することができるのだ。推定広告想起リフトとは広告を見た2日後にどれだけの人がそれを覚えているかを示す指標となっている。
コール氏によると、こうして動画の成功を予測することができ、たとえば「40%のビュースルー率をこの動画は達成するだろう」と、クライアントに伝えることができるという。それによって、パフォーマンスに確信をもって、キャンペーンを進めることができるのだ。
今後はスクロールスピードも重視
近年、ますますモバイルの使用率が増えていることは、話題になっているにも関わらず、エージェンシーが動画制作予算に直接Facebook動画を入れ込むのは、まだ珍しい。無音の動画再生や正方形のフォーマットといったFacebookの特徴は、クライアントがコストとして費やしたいと思う以上に、クリエィティブリソースを要求するのである。
究極的には今後、スクロールのスピードという、非常に個人によって差がある性質に基づいて、正しい広告を提供するという方向性に向かうだろうとコール氏はいう。スクロール速度が遅いユーザーに対しては、明確な疑問を最初に投げかけるようなバージョンの広告を出すといった具合だ。
スクロールが遅いユーザーは動画に興味を示して再生する傾向がある。スクロールが早いユーザーに対しては違うバージョンのクリエイティブが提供されるという。これはBBDOと協力して、Facebookが開発しているものだ。
「クライアントの同意を得るためには、あらゆる事を説明責任の対象にしないといけない。近日中には、すべてのクライアントの動画がFacebookに最適化される予定だ」。
Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)