最近話題のブロックチェーンや、人工知能(AI)といった技術がプログラマティク広告に関する問題を解決してくれるかもしれない。IBMの最高マーケティング責任者(CMO)であるミッチェル・ペルーソ氏に話を聞いた。
プログラマティック広告は、メディアバイイングの標準的なプロセスになったが、欠陥がないわけではない。だが、最近話題のブロックチェーンや、人工知能(AI)といった技術がこの問題を解決してくれるかもしれない。
そして、それがいまIBMが目指しているゴールである。「我々が考えていることは、ブロックチェーンがメディアバイイングにいかに影響するかということと、プログラマティック広告にブロックチェーンを活用することによって、アドフラウドや無駄をどれだけ排除できるかということだ」と語るのは、IBMの最高マーケティング責任者(CMO)であるミッチェル・ペルーソ氏だ。
ペルーソ氏は、米DIGIDAYとのチャットで、新技術を使ってメディアバイイングにおける非効率や無駄をいかになくすかについて語った。
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――IBMはブロックチェーンに投資すると公言している。広告におけるその役割をどのように見ているか?
プログラマティック広告はいま広く活用されている。そしてそれは今後も変わることはないだろう。しかし、そこには途方もない非効率と無駄が存在する。現在、平均してターゲットユーザーに対してしっかり表示されている広告は、マーケターが使う広告費1ドル辺り(約110円)、たった50セント(約50円)分だ。また、もし私が数10万人のオーディエンスに対してメッセージを伝えたい場合、私はそれを届けるためにプログラマティック広告とアルゴリズムを使うが、それがどこに表示されるかもわからない。
さらに、配信までの過程で支払わなければならない費用も莫大だ。ブランドセーフティの担保や(ブランド)トラッキングのためのコストがそれに当たる。この過程で、広告主の多くが1ドルのうち10セント(約11円)分を使ってしまう。ブロックチェーンは、広告が効果的に表示されるポイントを記録し、マーケターがそのプロセスをコントロールできるようにすることで、効果的な広告投資を実現する。
――AIにも積極的だが?
AIは(日々進歩しているし)我々の仕事を変化をもたらすだろう。我々はAIを導入することで、プログラマティック広告より優れたパフォーマンスを実現しようとしている。プログラマティック広告は実は非効率なシステムで、学ぶことができない。基本的に広告を出す人間は、こういったオーディエンスにリーチしたいという要望を持っている。我々がAIを使ってやっていることは、既存のプログラマティック広告の活用法をベースに、最適なチャネルはどれか、入札にあとどのくらい多くかけるべきかを調べることだ。AIはプログラマティック広告と違い、学んで改善まで行うことができる。
――ブランドセーフティを気にしているか?
この世界のどこならブランドが安全か、誰も確信を持って断言することはできない。YouTubeで起こったことを思い出してほしい。彼らは問題を収集しようと懸命に取り組んでいるが、FacebookやGoogleでさえ、彼らにできることはわずかだといっている。これは非常に難しく、白黒をつけらられるような問題ではない。我々はあえてそこにたくさんの費用をつぎ込んでいて、気がかりなチャンネルからは身を引いている。YouTubeのチームとも有意義な話し合いができている。
――YouTubeへの支出を削減するつもりは?
YouTubeと我々のあいだには長年の関係があるので、その件について具体的なコメントは控えるが、少なくともそれは我々にとって優先度の高い検討課題であることは確かだ。YouTubeの名誉のため、さらにはFacebookのためにもいっておくが、彼らは問題を本当に明確に意識していて、できることにはとにかく積極的に取り組んでいる。
――Facebookはアルゴリズムを変更し、パブリッシャーコンテンツよりユーザーコンテンツを優遇するようになった。この動きはブランドセーフティ向上につながると思うか?
Facebookの新しい発表は、ブランドセーフティ向上への大きな一歩になるかもしれないが、ブランドの安全を守る責任はパブリッシャーにある。彼らはこれからも改善を続けなければならないのだ。具体的には、透明性や明確性の向上、ブランドセーフティを守るためのツールや機能の開発などが挙げられるだろう。パブリッシャーは、このことをクリティカルな課題として捉えなければならない。
Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)