メディアエージェンシー 外し、プラットフォームの影響で拡大

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メディアエージェンシーにとって、中抜きの脅威が非常に現実的になっている。

オンラインマーケティングが出現して以降、一緒に大きくしてきた技術プラットフォームに置き換えられることをエージェンシーがここまで心配しなければならないことはなかった。米ドラマ「マッドメン」のような広告主から見て旧態依然としているモデルを捨てられないのならば、資金をエージェンシーとは違うところに使うと脅す、プロクター・アンド・ギャンブル(The Procter & Gamble)の最高マーケティング責任者、マーク・プリチャード氏のような人物が注目を集めているばかりではない。スコットランド王立銀行(Royal Bank of Scotland)のCMOであるデビッド・ウェルドン氏や、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)のメディアトップであるゲルハルト・ロウ氏など、地場のプレイヤーたちも、GoogleやFacebookのようなところと直接やり取りする部分が増えたのに、なぜこんなにもエージェンシーに払い続けなければいけないのかと、あからさまに問題にしている。

エージェンシーは消滅する必要があるのだと信じているものはいないが、特に透明性の懸念がつきまとうプログラマティックのキャンペーンでは、広告主たちがメディアオーナー側に接近したがっている。透明性を確保するため、インベントリー(在庫)の出どころやデータの使い方を広告主がエージェンシーに問い、これを受けてエージェンシーは、広告主がプログラマティックを部分的に内製化するのを支援している。

オンライン広告の売買をコントロールし、自分たちでやれるようになってきているものに、なぜ割り増しの料金を払わなければならないのかと自問するマーケターが拡大している。ドイツテレコムなど、アドテクを使ったプラットフォームからの直接購入を開始したところがあれば、デュラセル(Duracell)のように、オンラインメディアを自ら購入するためメディアエージェンシーに相談をはじめているところもある。

新しい方向性、ハイブリッドモデル

その流れにあらがい、エージェンシーとの協力のあり方を改革しようと取り組んでいるのが、シーメンス(Siemens)のマーケターたちだ。シーメンスとしてはエージェンシーとの協力を続けたいが、「古い働き方に固執する」なら難しくなると、グローバルシニアオンラインマーケティングマネージャーを務めるパウリーナ・ヤムサ氏はいう。

「私たち広告主がエージェンシーを雇うのには理由がある。それは専門的な知識だ」と、ヤムサ氏。「だから、業績を向上させるためのインサイトをエージェンシーが率先してもたらさないとすれば、プラットフォームやインフルエンサーは現にブランドとの直接対話を望んでいるのだから、我々が直接やり取りするのを阻むものはないのではないか」と語る。エージェンシーはもっと質の高いサービスを提供する必要があるし、プロジェクトではエージェンシーともっと密接に協力したいし、キャンペーンに問題が発生した場合はもっと正直に返事をしてほしいと、ヤムサ氏は続けた。

ヤムサ氏は、ハイブリッドモデルを口にしている。メディア戦略の一部について所有権を広告主が保有するというもので、その方向へ向かう仲間が増えているのだ。原動力である哲学は、アドテクスタックを内製化するのでなく、プログラマティックをコントロールするというものだ。シーメンスをはじめとする各社は、アドテクの契約を自ら実施し、エージェンシーへの支払いへの発言力を高め、デュラセルがやったように、コスト主導のKPIからビジネスの成果とつながったKPIへと変えていきたいのだ。マーケターがメディアやプログラマティックの内製化について語るときは、たいてい、こうしたアプローチが頭にある。こうして、プログラマティックではメディア購入のさらに先に目を向けるように、エージェンシーにプレッシャーがかかっている。

エージェンシーモデルは壊れたか?

インフェクシャス・メディア(Infectious Media)によるシニアマーケター200人の調査によると、メディアエージェンシーはプログラマティックへの適応に苦戦していると、マーケターの7割(71%)が考えている。一方で広告主は、プログラマティックのコントロールを強めたがっており、エージェンシーモデルは壊れたと見ているものの、エージェンシーは今後も重要な役割を果たすと確信している。調査したうちの96%が、エージェンシーはこれからプログラマティック広告の複数の側面を管理していなければならないと語っている。

WPPのトップであるマーティン・ソレル氏は先日、同社の資産の暴落は広告エージェンシーというビジネスが中抜きされている兆候ではないかという投資家の懸念を静めることに努めた。GoogleやFacebookのようなプラットフォームは、儲かりはするが利益が少ないエージェンシー分野に下心はないと繰り返し語りながらも、マーケターにかつてないほど接近している。

「率直にいうと、エージェンシーに使うお金とその結果のあいだの付加価値のことを、広告主たちは理解できないのだ」と語ったのは、2016年にアクセンチュアが買収したクリエイティブエージェンシー、カーマラマ(Karmarama)の会長のジョン・ウィルキンズ氏だ。「そのお金を直接、プラットフォームたちと使うほうがマシだと広告主は考えていて、その結果、ブランド側で内製化が広がっているのだ」。

アクセンチュア・インタラクティブのようなコンサルティング企業は、オンラインプラットフォームによるエージェンシーの中抜きを利用しようと狙っている。「エージェンシーにとって最大の脅威は、プログラマティックをもっと広告主に移そうという動きだ。お金が儲かるのもマージンがあるのもそこなのだから」と語ったのは、幹部人材探しのRSRパートナーズ(RSR Partners)のマネージングディレクターで、WPPのSVPだったトリシュ・ショーテル氏だ。「アクセンチュアやデロイト(Deloitte)やIBMのようなところは、プログラマティックを広告主が自ら社内に導入し実施できるようにして、中抜きから最大級の崩壊を生み出すだろう」と、同氏は語った。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)