「請求書は待ってくれない」:クビになった 米・エージェンシー 採用担当者の告白

アメリカでコロナウイルス問題が本格化する少し前、とあるデジタルマーケティングエージェンシーにひとりのリクルーター(採用担当者)が採用された。役割は100のポジションを埋める人材を見つけることだったが、3月中旬には多くの従業員が解雇され、リクルーター自身も解雇された。

匿名を条件に業界の事情を赤裸々に語ってもらう「告白」シリーズ。今回はこのリクルーターにエージェンシーの雇用市場について、そしていつアメリカのエージェンシーが再度採用を開始するかについて語ってもらった。

以下、読みやすさのために若干の編集を加えてある。

──パンデミック前は人材不足の問題があった。しかし、いまでは多くの人が解雇されている。リクルーターにとって、この状況は何を意味する?

会社でポジションに空きが出ると、最初に戻されるのはリクルーターたちだ。仕事のチャンスはいずれ出てくるだろう。仕事を求めて集まる人々をうまく仕分けることが仕事になる。人材が多く供給されている状況では、自分の履歴書を見て欲しいがために、会社側が求める経験を持っていなくとも、すべての仕事に応募する人が出てくるからだ。

──雇用を再開しているところはあるのか?

すでに仕事を得たという内容を投稿している人たちがいることは確認している。しかし、そのほとんどは、エージェンシー側が彼らに対して、「このポジションをこの給料で受け入れることに問題があれば、ほかに同意する人はいるから」といった内容を伝える、といったものだ。(このような態度は)2008年にもいくつかの会社がとっていた。職を求めている人が多いため、給料が安いのが嫌であれば、誰か他の人に職を与える、といった具合だ。

──解雇した人材を呼び戻すことはしないのか?

あらゆる人たちが解雇されたなかで、これらのポジションがまた必要になったとしたら、エージェンシーたちはもともと雇っていた人たちを呼び戻すべきだと、私も期待する。新しく雇った人をトレーニングする必要がない点でも、理に適っている。呼び戻すことで、業務も以前の続きから行うことができる。

──エージェンシー業務は人材を使ったビジネスだが、人材は削るのが簡単なコストでもある。大量解雇を行ったエージェンシーに関して、彼らの評判にそれが悪影響を及ぼすと思うか?

その点には注意を向けている。Zoom(ズーム)会議で全員の解雇通告を行ったようなエージェンシーに勤めたいとは人々は思わないだろう。今回のような事態がまた起きたときに、何の考慮もなく、ただ解雇してくるだろうと思われる会社で勤めたいと思わない。

──エージェンシーの採用プロセスに、今後、何らかの変化がもたらされると思うか?

いま雇用している人材については、より戦略的にはなるだろう。今後採用する人に関しては、よりスキルを持っており、2人や3人分の業務をこなせる人を求めるだろう。しかし、「燃え尽き」が起きるため、これはエージェンシーにとっても良いことではない。2人や3人の仕事をさせることは、とても効率的に人を燃え尽きさせる方法だ。

──エージェンシーが採用を開始するのはいつ頃からだと、人々は予想しているのか?

すでにゆっくりとはじまっているように思える。6月上旬、7月中旬までには雇用という点では活動が活発になることを願っている。コロナウイルスの第2波がはじまれば、すべてが脱線させられるだろう。

──人材を解雇しているエージェンシーたちが、もっと理解してくれれば良いのに、と思うことは何か?

請求書は待ってくれない。彼らには面倒を見ないといけない家族がいる。(解雇されることが)どれほどの影響を持つか理解しているとは思わない。家のローン支払いが遅延したり、といった物事の影響だ。これはさらに悪化するだろう。仕事に戻れても、遅延してしまった分を払うことはできない。仕事を取り戻しても給料が減らされていれば、さらに大変だ。

Kristina Monllos(原文 / 訳:塚本 紺)