FUTURE OF WORK

コロナ禍のストレス、部下だけでなく上司たちも苦しむ:企業のリーダーたちの危機

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eメールアプリ「フロント(Front)」の共同ファウンダー兼CEOであるマティルダ・コリン氏の本拠地サンフランシスコは昨年3月、新型コロナウイルスのパンデミックがはじまったときに、その都市機能の大部分が制限された。それは、彼女がすでに抱えていた多くのストレスに、さらにひとつ追加された形だった。

彼女が心配していたのは、自分のビジネスがどのように危機を乗り切るのか、そして3カ所のオフィスにいる180人の従業員がどうやってパンデミックを乗り切るかだけでなかった。自身にとって初となる子どもを妊娠して3カ月だった同氏は、自分自身の健康と安全も心配していたのだ。

自分を恐れを知らない強いリーダーに見せようとして、感情を隠して黙って苦しむCEOもいる一方で、コリン氏は別のアプローチを考えていた。セラピストとバーチャルでの面会予約をとり、催眠療法のスケジュールを立て、携帯電話からTwitterを削除した。彼女はまた、自分が経験するすべてのことを従業員と共有した。「たとえ社会や世論があなたに強い決意を示す(弱さを見せない)ように言ってきたとしても、ビジネスリーダーとして自社のチームの前で自分の弱い部分も見せることができれば、より信頼できる、共感力のあるチームを作ることができ、それがビジネスの結果をより良くする」と、彼女は言った。

マネージメント職の人々の現実

コロナ禍において働く人々の生々しい苦しみについて多くの記事が書かれてきた。だが、同じように深刻な重圧にさらされてきた企業のリーダーたちについては、あまり注目されてこなかった。

ベライゾン・メディア(Verizon Media)とメンタルヘルスの非営利団体「メイド・オブ・ミリオンズ(Made of Millions)」による調査は、パンデミックが経営陣に与えた感情的な影響について新たな洞察を与えている。調査対象となった上司たちの66%は、過去1年間に燃え尽き症候群に苦しんだと答えており、76%は部下のマネージメントに圧倒されたと感じている。大半(86%)が、職場全体で抑うつや悲嘆が広がっていると認識している一方で、ほぼ3分の1(28%)が、自身もメンタルヘルスの問題に苦しんでいると報告している。マネージメント職につく回答者のなかで自分の心の健康状態を「健康的」と答えたのはわずか58%で、中小企業経営者の場合は半分以下(49%)だった。

結論として言えるのは、企業のマネージメント職につく人々は世界規模で起きたパンデミックに直面している従業員たちを支援する準備がほとんどできていなかったということだ。そして彼ら自身も、現代史上もっとも困難な時期のひとつにありながらビジネスを軌道から外れないようにすること、従業員の健康を確保すること、そして自分の健康の管理をすべて同時に切り盛りすることに追われていた。

「マネージメント職の人々は、部下をより効果的にサポートするアプローチも権限も持っていない、また彼ら自身が助けを求めるアプローチも許可も持っていない」と、メイド・オブ・ミリオンズの共同ファウンダーでエグゼクティブ・ディレクターのアーロン・ハーベイ氏は語る。「職場のメンタルヘルスをよりよくサポートするために、マネージャー側と従業員のあいだでやらなければいけない基礎的な取り組みがたくさんある」。

「自分が説くことを自ら実践すること」

パンデミックが減速し、ビジネスがある程度正常な状態に戻るなか、我々が取材をしたビジネスリーダーたちは企業における上司たちがどのようにストレスに対応できるか、自身の経験はどのようなものだったか、を熱心に語ってくれた。

グローバルなプログラマティック広告企業MiQのカナダ・オペレーション部門のシニア・バイスプレジデントであるクレア・ジョーンズ氏は、スクリーンを見ることから定期的に休憩を取るようエグゼクティブたちに助言している。理想的には外に出ることを勧めており、たとえば、散歩をしながらでも仕事の電話を行うことはできる。メモ帳やモバイルアプリを使って、1日を通して自身の気分の変化を記録することも提案する。「どこにストレスのポイントがあるかを理解し、それに対処する。より自覚的になることで、仕事の方法論にシンプルかつ効果的な変更を加えることができるかもしれない」。

ライブ・エンターテインメントとブランド体験を提供するスーパーフライ(Superfly)のプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるリチャード・ブラック氏は、マインドフルネスがもっとも重要だと考えている。これにはセルフケアや思いやりを持つこと、深呼吸エクササイズ、ガイダンスを受けながらの瞑想が含まれており、また人々を消費させるスクリーンを見つめる行為から離れる時間を持つことを勧める。これはコリン氏とジョーンズ氏も挙げたことだ。ブラック氏はまた、彼の会社のリーダーたちを含めた人々に、1日に何度も休憩を取るよう命じたという。「真のリーダーシップとは、自分が説くことを自ら実践することだ」と、彼は言った。

自覚を持つことが回復の第一歩

コンサルティング会社ホリゾンタル・デジタル(Horizontal Digital)の北米デジタル部門のプレジデントであるジュリー・コプセル氏は、自覚を持つことはマネージャーのセルフケアに向けた第一歩だと考えている。

「友人と連絡を取ること、エクササイズ、散歩、良質な睡眠を取ることなど、あなたの健康と幸せに集中するために必要な時間を適切に優先することは、リーダーとしての責任だ」と、彼女は言った。そうすることで、上司は「チームを効果的にマネージメントでき、正しい手本を示す」ことができる。

[原文:Managing stress: Company leaders face pressure, burnout just as employees do

TONY CASE(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)