米エージェンシー、コルネットのクリエイティブ・ディレクター、ハイラー氏はバズワード撲滅活動のため、有害で混乱の元凶となるバズワード文化を風刺し、撲滅するための「マーケティングバズワード罰金箱」を販売開始した。ハイラー氏はこれらの用語は厚かましくも業界に定着してしまっているという。
もしもアナタが「自分はブランドスペースで頭の切れるアジャイルなディスラプターであり、ミレニアル世代をターゲットに影響力のあるオーセンティシティをもつ……」てなことを話していたら、ホイット・ハイラー氏はひと言もの申さずにはいられないだろう。いま並べた言葉のなかのいくつか、いや実のところすべてがバズワードである。
ケンタッキー州のエージェンシー、コルネットでクリエイティブ・ディレクターを務めるハイラー氏は、バズワード撲滅に向けて活動している。11月から、コルネットは有害で混乱の元凶となるバズワード文化を風刺し、撲滅するための「マーケティングバズワード罰金箱」を販売開始した。これらの用語は厚かましくも業界に定着してしまっているといい、ハイラー氏はこの罰金箱を「品のない言葉専用の箱だが、投資の面ではかなりのハイリターンだ」として売り込んでいる。
コンセプトはシンプルだ。従業員がマーケティングバズワードを口にするたびに、罰金箱に1ドル(約100円)入れなければならない。ちなみに「ミレニアル」という言葉の値段は、2ドル(約200円)だ。
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「マーケティングバズワード罰金箱」は19.99ドル(約2000円)で販売しており、対象となるマーケティングバズワードや略語は、500語以上に上るという。「オーセンティーシティ」、「エンパシー」、「ブランド体験」、「POV」そして「ソートリーダー」などは一例だ。
「(バズワードは)ときとして、混乱を招くことがある。代理店のマーケターたちは『ブランドフィルム』という言葉を使いながら、実際にはYouTube動画を制作している。そして、目にする記事や報告書はみな『ミレニアル』の文字が並んでいる」とハイラー氏。「だからこそ、我々はバズワードに四苦八苦している業界や同業者の力になっていきたい」。
このアイデアが浮上したのは昨年の5月。コルネットの従業員が「みな新しいマーティング用語をコンスタントに学んでいかなければいけない」と、冗談で話していたことがキッカケだ。しかし、そのアイデアはしばし保留となった。現在に至るまで、同エージェンシーが「マーケティングバズワード罰金箱」のプロモーションを実際に開始することはなかった。
当面、コルネットが制作したのはバズワード罰金箱を風刺的に商品レビューしたWebサイトのみだ。書き込みレビューには、ある技術責任者からの「役員室の破壊部隊だ」といったものや、チーフトランスメディア・ストーリテラーによる「この罰金箱はエージェンシーのストーリーテリングに変革をもたらすものだ」といったコメントが寄せてある。
同氏は「これはエージェンシー文化の一部にすぎない。嫌気がさしたら、面白おかしくしてしまえばいいのだ」と話した。