FUTURE OF WORK

オフィス再開に向け、錆びた「対人スキル」のレストアを:「新しいルーティンを作り、適応するのは大変だ」

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米国ではワクチン接種が進み、オフィスの再開ムードが高まっている。そんななか、従業員たちのソフトスキルはロックダウン中に消えてしまったわけではないが、休眠状態になっていた。皆がオフィスに戻ったら、ほこりを払ってリフレッシュする必要がある。

クリティカルシンキング、チームワーク、効果的なプレゼンテーション、さらには明確な労働倫理を示すことなど、仕事を進め、生産性を高めるための中核的なスキルはすべて高める必要があるかもしれない。

バーチャル環境での疲労問題

国際的な人材開発コンサルティング企業ハンター・ロバーツ(Hunter Roberts)の創業者、スージー・ロバーツ氏は、今後注目すべき2つのスキルとして、問題解決と素早い思考を挙げている。

「いずれも高い認知機能と実行機能を必要とする」と、ロバーツ氏は話す。「多くのソフトスキルが、孤独や長期にわたる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への不安、悲しみによって失われてしまった。リーダーは高いレベルの理解と共感を示し、許容の必要性を認めなければならない」。

また、対面でのコミュニケーションやコラボレーションは慣れるまでに時間がかかるとロバーツ氏は補足する。「慣れないうちは、人と一緒にいるための精神的な努力で疲れ切ってしまう」。

米国と英国を拠点に従業員の行動を調査するキャンバス8(Canvas8)でアソシエイトインサイトディレクターを務めるヘレン・ジャンブナサン氏も、上司は、他者とのつながりや理解・共感を取り戻すのに苦労している人々に配慮しなければならないと考えている。

「パンデミック中、理解・共感の欠如につながる『共感疲労』が大きな話題になった。完全に消え去ったわけではなく、形を変えざるを得なかっただけだ。現実世界の交流に戻ることで、互いに感情を共有し合うことははるかに容易になるだろう」。

リアルな環境でも疲労は問題

ジャンブナサン氏はまた、人々がバーチャルだけの世界から抜け出し、再び顧客や上司と対面するようになったとき、ボディランゲージなどのソフトスキルが重要になると述べている。

「これは対面の交流に適応する鍵になるだろう」とジャンブナサン氏は話す。「Zoomでは、言葉と表情のみが手掛かりだが、オフィスに戻ると突然、はるかに多くの情報が得られるようになる」。

当初、ビデオ通話がとても不快に感じられた理由のひとつは、ボディーランゲージをあまり利用できないことだと考えられている。「対面の会議では、人に見られていることがわかり、全身で反応するため、皆がその場の空気を読みやすい」。

ニューヨークに本社を置くマーケティング分析企業アドベリティー(Adverity)のゼネラルマネージャー、ヒース・ポドベスカー氏は、高める必要がある対人スキルをいくつか挙げている。対面での争いを解決する能力、対面でプレゼンテーションを行う能力だ。

「再び新しい習慣をつくり、行動を適応させていくのは大変だ」とポドベスカー氏は話す。「チームビルディングは企業の文化的、社会的基盤を修復するために重要なことであり、同時に、メンタルヘルスにもプラスの効果をもたらす」。

ポドベスカー氏は雇用主に対し、柔軟性と忍耐力、理解力を持つよう呼び掛ける。アドベリティーではウェルネスコーチに投資することで、従業員をサポートする意思を示している。

錆びついた社交術を取り戻せ

英国で人気が高く、英国民保健サービス(NHS)のアプリライブラリーにも入っているコンパニオン(Companion)というメンタルヘルスツールがある。認知行動療法からヒントを得たツールで、仕事上の悩みを軽減することを目的としている。開発に携わった心理学と行動学の専門家ロビン・ハート博士が、職場に戻る際の有益なヒントをいくつか紹介してくれた。

オフィスでのコミュニケーションがどれだけ見えるか、つまり、どれだけボディーランゲージに頼っているかを思い出し、オフィスでの生産性が回復するまでに時間がかかることを受け入れ、1年半ぶりに通勤を再開するにあたり、睡眠習慣を調整することだ。

「個人のスキルや習慣に関して言えば、組織はリモートワーク中にビジネスにおいて学んだことを振り返り、うまくいっていることを維持するよう努めるべきだ」とハート博士は話す。「たとえば、いくつかの会議が今後もオンラインで行われ、自宅で管理業務をこなす時間が与えられれば、人々は安心できるかもしれない」。

また、健康状態や衛生状態、そして、ワクチン接種など、同僚の気まずい質問に対応することになるため、錆びついた社交術を取り戻す必要がある。同僚と直接会ったことすらない新人はソフトスキルに自信を持つことができないかもしれない。

コミュニケーションエージェンシーのクラリティー(Clarity)は米国、英国、オランダにオフィスを構えているが、ピープル・カルチャー部門のグローバル責任者、ジョディー・ジョンソン氏は、従業員のソフトスキルは自然に回復すると確信している。従業員は自分の個性とプロとしての知見を再びオフィスにもたらすことだけを求められている。

「一人ひとりが自分らしくいられるオフィス環境が必要だ」とジョンソン氏は語る。「これはプレゼンテーションや雑談など、誰もが少し錆びついている部分に言えることだ。人を育て、あらゆる人を受け入れる職場と文化が求められている」。

[原文:‘It will be draining to build new routines’: Rusty interpersonal skills need addressing for office returns

STEVE HEMSLEY(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:小玉明依)