英国のデジタルエージェンシー、デジタスLBi(DigitasLBi)でCEOを務めるマイケル・アイスリップ氏によると、同社の成功は、その社員たちの協力的な姿勢にあるという。「それは自社のDNAといっても良い。コラボレーション(協力)が大好きな人は、意識しなくても他人や環境とコラボレーションできるのだ」と同氏は語る。
だが皮肉なことに、コラボレーションは企業の規模が大きくなるにつれて難しくなる。ロンドンを本拠地とするLBiが2013年にデジタス(Digitas)と合併して生まれた同社は、従業員の数が630人に増え、本田技研工業、バークレイズ(Barclays)、ケロッグ(Kellogg’s)などおよそ80社のクライアントを抱えている。
デジタスLBiのオフィスは、イーストロンドン地区にあるヒップスターのメッカ、ブリック・レーンにある、洞窟を改造して作られた鋳造所だ。そしてここは、同社のもっとも大切な信条を保ち続けようと取り組むアイスリップ氏にとっての最前線となっている。
部署ごとに決められたエリアや、独立子会社(ソーシャルとコンテンツが専門のクリエイティブデジタルエージェンシー、ロストボーイズ[Lost Boys]など)用のエリアはあるものの、オフィスには仕切りがなく、従業員の席は決められていない。すべての従業員がデスクを共有し、オフィス内をあちこち移動しているのだ。経営幹部レベルも例外ではない。
英国のデジタルエージェンシー、デジタスLBi(DigitasLBi)でCEOを務めるマイケル・アイスリップ氏によると、同社の成功は、その社員たちの協力的な姿勢にあるという。「それは自社のDNAといっても良い。コラボレーション(協力)が大好きな人は、意識しなくても他人や環境とコラボレーションできるのだ」と同氏は語る。
だが皮肉なことに、コラボレーションは企業の規模が大きくなるにつれて難しくなる。ロンドンを本拠地とするLBiが2013年にデジタス(Digitas)と合併して生まれた同社は、従業員の数が630人に増え、本田技研工業、バークレイズ(Barclays)、ケロッグ(Kellogg’s)などおよそ80社のクライアントを抱えている。
デジタスLBiのオフィスは、イーストロンドン地区にあるヒップスターのメッカ、ブリック・レーンにある、まるで酒造場のような所だ。そしてここは、同社のもっとも大切な信条を保ち続けようと取り組むアイスリップ氏にとっての最前線となっている。
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部署ごとに決められたエリアや、独立子会社(ソーシャルとコンテンツが専門のクリエイティブデジタルエージェンシー、ロストボーイズ[Lost Boys]など)用のエリアはあるものの、オフィスには仕切りがなく、従業員の席は決められていない。すべての従業員がデスクを共有し、オフィス内をあちこち移動しているのだ。経営幹部レベルも例外ではない。

デジタスLBi傘下のソーシャルエージェンシー、ロストボーイの朝の打ち合わせ風景。
企業ではさまざまな部門を育てることが重要だが、アイスリップ氏によれば、大規模なチームは自らをほかのチームから隔離し、自分たちだけで動けると思いがちだという。そのため、デジタスLBiでは、特定のクライアントに合わせて編成されることが多いチームメンバーを、定期的に入れ替えている。
たとえば、デジタスLBiが製薬会社のアストラゼネカ(AstraZeneca)と共同で運営しているスタジオ「DIG」では、デジタスLBiから配属されたスタッフが働く期間は6カ月と決められていることが多い。

「DIG」の様子。天井から吊されたプラグソケットや壁に貼られた付箋紙が、スタジオらしい雰囲気を醸し出す。
ほかの大手エージェンシーと同じように、デジタスLBiも、社内のさまざまなイベントへ全員に関わりをもたせることに苦労している。
そこで同社は、「ジ・インサイダー(The Insider)」と呼ばれる従業員向けのイントラネットを立ち上げ、毎日のカフェのメニューからクライアントの訪問に関する情報まで、さまざまな発信を行っている。また、自社に関する最近の新聞記事の切り抜きをオフィスのあちこちの壁に掲示しているという。

ロビーから見下ろした地下フロア。簡易的な打ち合わせスペースがたくさん用意されている。
社内での社員交流については、単なる「課外活動」ではないとアイスリップ氏はしきりに強調する。実際、同社はコミュニケーションスペースを2008年から設けている。地下にあるそのフロアに降りると、急ぎの打ち合わせをするためのコーナーや、フードやドリンクを注文できるバーが見える。金曜日はドリンクが無料だ。

バー「ライオン・アンド・ユニコーン」は、ユニコーンをあしらった同社のブランドロゴにちなんだものだ。
この地下スペースはシャッターで2つに分けられているが、同社が毎年開催するパーティーなど大きなイベントを行うときには、ひとつのオープンスペースにすることができる。2016年には、1000人を超える人々が、異教徒風のイベントでDJのKode9やWork Itのプレイに合わせてパーティーを楽しんだ。
また、屋上でも定期的にイベントが開かれているが、これは同社のカルチャー・クラブ(Culture Club)と呼ばれる取り組みから生まれたアイデアだ。このイベントを運営するグループは、各部署から集められた文化の熱を発信する人たち、つまり、明るく陽気な人たちによって構成されている。

パーティーやバーベキューが行われる屋上からはイーストロンドン地区を一望できる。
無味乾燥な建物のなかにあるこのオフィスには、人間味を加えるレトロな装飾が施されている。「このデコレーションによって、ともすれば冷たくて人間味が感じられないような建物に、心地よさをもたらしている」とアイスリップ氏は述べた。
休憩室は、昔の広告業界を描いたテレビドラマ「マッドマン」風で(実際、部屋のひとつにはこのドラマの主人公の名前[ドン・ドレイパー]が付いている)、ミッドセンチュリースタイルの家具が置かれ、ビロード風のアクセントが加えられている。また、壁に掛かっているのは、テレビのディスプレイではなくレトロなアートだ。
同社の古参の広告制作者には、はく製を集める趣味の人がいるらしく、地下フロアに2つのアナグマのはく製が「いつのまにか置かれていた」とアイスリップ氏はいう。また、うわさによれば、そのアナグマのはく製のひとつがオフィスの建物の周りでスケートボードしている動画があるそうだ。

上の階にはレトロなアートが、ロビーの待合室には現代アートが飾られている。
Grace Caffyn(原文 / 訳:ガリレオ)