インスタの「いいね!」廃止に備える 業界関係者たち:変わるインフルエンサーマーケティング

インスタグラム(Instagram)が現在テストを進めている「いいね!」の非表示化により、広告主はインフルエンサーの人気とリーチを評価する手法の見直しを迫られている。

「いいね!」の表示が制限されるとなると、広告主が正確なデータにアクセスするには、インフルエンサーとの関係構築にこれまで以上に頼る必要が出てくるかもしれない。インフルエンサーと直接つながりをもたなければ、広告主は相手が申告する数字が本当かどうかを確かめるすべがないからだ。

広告主に自分をより魅力的に見せるため、データのスクリーンショットを偽造したインフルエンサーの例もある。支払った額に見合うリーチを獲得していると広告主が確証を得るには、インフルエンサーマーケティングプラットフォームあるいはソーシャルメディアを通じて、インフルエンサーのデータに直接アクセスするのが最善の方法だと思われる。

「インスタグラムが『いいね!』をフィードで非表示化すれば、広告主やエージェンシーは必要とする正確なデータフィードにアクセスするうえで、インフルエンサーとの関係構築に頼る度合いを強めることになるだろう」と、インフルエンサークリエイティブエージェンシーのザ・プロジェクツ(The Projects)でアカウントディレクターを務めるジェームズ・シルバーストーン氏は話す。

インスタグラム、Twitter、Facebookでは、本人であることの証明として、インフルエンサーがプロフィールに認証マークをつけられるようになっている。これら3つのソーシャルメディアプラットフォームのいずれかに認証済みのアカウントをもつインフルエンサーと契約を結ぶ広告主は、そのネットワークから直接アナリティクスデータを受け取ることができる。すなわち広告主は、「いいね!」の件数や投稿の実際のリーチ数、その投稿にエンゲージしているユーザーの属性データといったアナリティクスに関して、インフルエンサーの自己申告に頼らなくてすむのだ。

専用プラットフォームの活用

インフルエンサーマーケティングエージェンシーのスウェイ・グループ(Sway Group)は以前、インフルエンサーにキャンペーン結果のスクリーンショットを送ってもらっていたと、同社CEOのダニエル・ワイリー氏は述べている。しかし現在、広告主やエージェンシーは、そうしたキャンペーンデータをインフルエンサーマーケティングプラットフォームを通じて入手できるという。

インフルエンサーマーケティングプラットフォームのクリエイターIQ(CreatorIQ)では、キャンペーンに起用される認証済みアカウントの数が過去6カ月間に73%増加している。同プラットフォームが管理する認証済みアカウントの数は、2019年5月時点では起用されるインフルエンサーのわずか16%を占めるのみだったが、同10月には23%に伸びた。それに伴い、同プラットフォームにおける認証済みユーザーのキャンペーン投稿数は、過去6カ月間に94%も増えたとクリエイターIQは述べている。2019年5月には、同プラットフォームにおけるインフルエンサー投稿のうち、認証済みアカウントの投稿は約27%だったのに対し、同10月には52%に増加した。

「チャンネルが認証されることで、マーケターはインフルエンサーキャンペーンをGoogleやFacebookなどのより従来的なデジタルメディアと比較することが可能になっている」と、クリエイターIQのCEO、イゴール・ヴァクス氏は述べている。「ブランドからのこうした要請によって、キャンペーン開始前にはインフルエンサーのオーディエンスデータに関する理解が深まり、またキャンペーン実施後には、より意味のあるファーストパーティデータが得られる」。

ソーシャルメディアエージェンシーのワイルドファイア・ソーシャル(Wildfire Social)では、認証プロセスによって個々のインフルエンサーとじかにパートナーシップを結び、クリエイターIQのようなインフルエンサーマーケティングプラットフォームを介するのではなく、ソーシャルネットワークから直接インフルエンサーのページにアクセスできるようにしている。「そのようにすることで、我々が手がけるインフルエンサーキャンペーンに用いられるデータが100%本物であるとの確証が得られる」と、同社のアカウントディレクター、ギャビー・カラスチー氏は話す。

ピクセル利用などの展開も

インスタグラムの「いいね!」非表示化は、重要なタイミングで訪れた。インフルエンサーマーケティングの支出が大きな額に達するなかで、ブランドマネージャーは売上高などのより強力なパフォーマンス指標を求めている。「いいね!」の数によって示されるエンゲージメントも優れた成功の指標であるが、メインの指標にすべきではないと、パフォーマンスベースのインフルエンサーマーケティングエージェンシー、リンキア(Linqia)のCOOを務めるダニエル・ショットランド氏は述べている。

「あらゆるマーケティング活動と同様に、インフルエンサーマーケティングはキャンペーンの最大の目標に関連して評価されるべきだ」と、ショットランド氏はいう。

ピュブリシス(Publicis)傘下のメディアエージェンシー、スターコム(Starcom)では、キャンペーンマネージャーがほかのプロモーションを評価するのと同じように、インフルエンサーによるプロモーションの効果も測定している。たとえばFacebookでは、企業は自社ウェブサイトやアプリの追跡ピクセルをインフルエンサーの投稿にリンクすることが可能だと、同社のマネージングパートナー、ポール・カサミアス氏は話す。それによって広告主はさらなる情報を得られ、投稿にエンゲージした人々が行動を起こして「コンバート」したか、どのように行動したか、また投資対効果(ROI)は高かったかといったことが把握できると同氏は述べている。

一部の広告主はこれをもう一歩進めて、インフルエンサーと追跡ピクセルの情報を共有し、自社のマーケターやエージェンシー幹部にターゲティング投稿をプロモートさせているという。カサミアス氏はその一例として、「特定の製品やサービスをインフルエンサーがレビューする動画を使って、サイトを離脱した人をリターゲティングする」テクニックを挙げた。「とはいえ、インフルエンサーに特定のURLを使ってもらうという、よりシンプルなやり方のほうが、多少の欠点はあるが依然としてポピュラーだ」という。

関係性構築を重視する声も

その一方で、ブランドはインフルエンサーマーケティングを単なるビジネス上の取引とみなすべきではないと、ある業界関係者は忠告する。「これまでも、そしてこれからも効果のある手法は、実際のブランドへの親近感に根差した、インフルエンサーとの本物のパートナーシップだ」と、インフルエンサーマーケティングプラットフォームのトラッカー(Traackr)のマーケティング担当バイスプレジデント、エヴィ・ライオンズ氏は述べている。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)