記事のポイント 57~75歳のベビーブーマー世代の労働者が現役で活動。現役世代との違いが大きく、コミュニケーションや作業スタイルの行き違いが生じている。 年配の従業員がテクノロジーに不慣れで、チームリーダーがITサポート […]
- 57~75歳のベビーブーマー世代の労働者が現役で活動。現役世代との違いが大きく、コミュニケーションや作業スタイルの行き違いが生じている。
- 年配の従業員がテクノロジーに不慣れで、チームリーダーがITサポート役を担うことが多く、時には時間を取られることがある。
- チームバランスには配慮しているが、Z世代との間に大きなギャップがあり、協力して仕事を進めるのが難しいという課題が浮上。
労働人口の高齢化が進み、新たな課題が浮上している。年齢差別を避けながら、30歳の年齢差がある相手とシームレスに仕事をするにはどうすればいいのだろうか?
現在57~75歳のベビーブーマー世代は、かつてないほど長く現役で働いている。そのため熟練労働者と、キャリアをスタートさせたばかりの労働者の年齢差は広がる一方だ。多世代の従業員はどのような組織にとっても必要不可欠な財産だが、思い込みやコミュニケーションの行き違いによって気まずい思いをすることもある。若い上司であればなおさらだ。
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匿名を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回は60代半ばの部下を持つ33歳のコミュニケーション担当の幹部に、両者が克服しようとしている課題について語ってもらった。インタビューの内容は、読みやすさを考慮して短く編集している。
◆ ◆ ◆
――60代半ばの人と仕事をするのはどのような感じか?
(会社の)平均年齢は30代だ。10歳くらい若い人もいるが、平均年齢より上の人は数人しかいない。そのため、上の世代はエージェンシー全体でも少数派だが、彼らは初期からここで働いている。フリーランスからフルタイムの従業員になった人がひとりいる。その人物は私のチームの一員になったが、私たちのあいだにはかなりの(年齢)差がある。私の部下としては、これまででもっとも大きな年齢差だ。そこで、これまで対処したこともなく、考える必要さえなかったような全く異なる課題が生まれた。
――年配の世代はテクノロジーを受け入れることができないという固定観念があるが、あなたの場合は?
私はこのことを過剰なほど意識している。自分は年齢差別をしているのではないか、年配の人はテクノロジーの使い方を知らないという無意識のバイアスがあるのではないかと必要以上に考えてしまうためだ。しかし、私たちが使っているソフトウェアを使いこなしてもらうのに苦労することが多く、気がついたら私がITサポートをしている。この人物はしばしば、eメールに移行する時代を生き抜いてきたのだから、新しいテクノロジーとの付き合い方を知らないわけではないと必死に説明してくれる。テクノロジーが彼の役に立ってくれないというわけだ。しかし、チーム全体を見渡しても、このような技術的な問題を抱えている人はほかにいない。
私は本当に悩んでいる。なぜなら私はそれに同情し、そのために時間を割き、それがどれほどイライラするかを理解しているからだ。ハイブリッド勤務や在宅勤務が多くなって不満なのは、皆がITスペシャリストにならざるを得なくなったことだ。私も発狂しそうになる。だから、その苦労は理解できるが、ログインできない理由や仕事が遅れている言い訳をいつも聞かされると、こちらもイライラする。
私は彼(60代の従業員)に画面を共有してもらい、ソフトウェアの問題について、何をクリックし、どうすればいいかを教えている。しかし、それ以上のことであれば、人事部門やITサポート部門に引き継ぐことが多い。あまりに時間をとられるためだ。問題を理解するのにとても時間がかかるため、システムやプロセスにもっと詳しい人に任せた方がいい。彼らはいつも研修を行っているため、私よりはるかによい仕事をしてくれる。
――管理スタイルをどのように変えているのか?
もっと大胆に、自信を持ってやる必要があった。私は長いあいだ、ほかのチームメンバーと同じやり方で彼を管理することに不安を感じていた。ほかのチームメンバーに対しては、ただ正直に、揺るぎなく、しかし公平に接している。それに比べると、はるかに優しく接していた。自分より年上の人に対し、年齢差別を行ったり、間違ったことを言ったり、偉そうに見えたりするのではないかとナーバスになっていたためだ。
しかし、この数週間で、彼を特別扱いすることはほかのチームメンバーにとって公平ではないことに気付いた。彼はガイドラインを厳格にした方がパフォーマンスが上がるようだし、私より年上だから事情は把握している、と言い返すこともない。ただほかの人と同じように管理すればいい。相手に合わせようとするより公平だ。
彼は私たちの働き方について考えさせてくれる。技術的には少し古いやり方だが、私は彼の働き方に価値を見い出している。多くの場合、彼はよい結果を出し、自分のやり方が正しいことを証明している。ただ、仕事を終わらせるのが遅いことがあるため、「時間がかかりすぎている」と言ってもいいかどうか自問した。本当に悩んだ。実際、あまりに時間がかかり、締め切りを過ぎてしまった。もちろん、そう言えばよかったのだが。
――あなたはミレニアル世代だが、ベビーブーマー世代とZ世代はどのように仕事をしているのか?
両者はうまくいかず、私はそれに対処しなければならなかった。互いに失礼なことをしたわけではないが、ジェネレーションギャップがあまりに大きく、うまく協力し合うことができなかった。40歳以上も年齢差があり、お互いにリズムをつかむことができなかった。とにかくうまくいかないというのが双方の認識だった。私の場合、年齢差は30歳ほどで、うまくやっていくことができる。20代と60代では一緒にプロジェクトを終わらせることができないとわかり、私たちはいろいろなことをした。
まさに大混乱だった。仕事のスタイルもペースも違う。彼はプロジェクトと向き合い、じっくり検討する時間を必要としている。一方、若い従業員は「さあ、終わらせよう」という感じで、ツールやテクノロジーを駆使してどんどん進める。どちらも話を聞いてもらえないと感じていた。それは何より年齢差のせいだと思う。互いに冗談を言い合って楽しむことさえできなかったようだが、結局のところそれは、考え方が違うためだ。見ている景色が違いすぎる。大ざっぱでステレオタイプな言い方は嫌いだが、実際に起きたことだ。だからこの質問には答えにくいのだ。
Cloey Callahan(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)