インターンシップの季節が近づいてきた。最高にクリエイティブで優れたデザイン感覚と戦略をもつ人材を惹きつけるために、各エージェンシーはインターンの募集を強化している。以下で、今年のインターンシップシーズンで才能ある人材を発掘するべく、広告の影響力をフルに活用している5つのエージェンシーを紹介する。
インターンシップの季節が近づいてきた。
最高にクリエイティブで優れたデザイン感覚と戦略をもつ人材を惹きつけるために、各エージェンシーはインターンの募集を強化している。
以下で、今年のインターンシップシーズンで才能ある人材を発掘するべく、広告の影響力をフルに活用している5つのエージェンシーを紹介する。
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1. チャットボットで応募受付
2016年、Snapchat(スナップチャット)で応募受付を始めたスペース150(Space150)は、2017年夏の最新インターン募集では、SNSベースのカスタム仕様チャットボットを利用。関心をもった応募者が20-150DEETS(201-5033-3870)宛に「インターン」とテキストを送信すると、氏名やお気に入りのインスタグラムアカウントなど、一連の質問に答えるよう促される。
このチャットボットはユーモアのセンスもあるようだ。たとえば「犬はどうやってズボンをはくと思う?」というような変わった質問もしてくる。そのまま進むと、応募者には、エンジニアリングや戦略、クリエイティブ、メディア、ソーシャルなど、応募者が関心をもつ分野に関連するグループ内で、特定のポジションに応募することができる専用URLが伝えられる。スペース150はさらに、ソーシャルチャンネル(具体的にいうと「インスタグラムストーリー(Instagram Stories)」)も利用。インターン応募を促進するPR動画も投稿している。
スペース150のクリエイティブ・ディレクター、ネッド・ランパート氏はこう話す。「人々はいつでも携帯電話を使っているし、クライアントとの仕事もたいていは携帯電話で片付いてしまう。今年のインターンシッププログラムでは、エンジニアリングやソーシャルメディアを携帯電話に統合することを念頭に置いている。インターン候補者たちに、我々の働き方、我々の考え方を見せるとともに、我々のクライアントにとって重要なメディアを通じて、自分の力量を証明する機会を与えている」。
2. インスタのストーリーで課題提供
ハバス・シカゴ(Havas Chicago)はここ数年、ソーシャルメディアを通じてインターンを集め、「リブランド・チューズデー(Rebrand Tuesdays)」というイベントや、ハバス幹部が行う仕事の体験、社会的なキャンペーンなど、あらゆることを経験させている。
現在進行中の「ウィンターシップ(冬のインターンシップ)」プログラムは、「コールド・ブラッディッド(Cold Blooded: 冷血)」と名付けられている。ハバス・シカゴはインスタグラムストーリーを使って、米国中にいるインターン候補者にひとつだけ課題を与える。
その課題とは、シカゴの厳しい冬を売りこむことだ。候補者たちは、どのようにしたら、1年のうちでシカゴの最悪の時期をうまくプロモーションできるかを6日間かけて考え、さらに2日かけてストーリーに投稿する。応募プロセスは、ハバス・シカゴのソーシャルメディアプラットフォームでもプロモーションされている。
ハバス・シカゴは、3月最終週にも次のインターン募集を実施。どんなソーシャルメディアプラットフォームが使われるかは取材時にはまだ不明だったが、「#Leadersofthenewschool」と呼ばれることは決まっていた。
「我々はソーシャルを第一にしたエージェンシーだ。我々は、それが若者のコミュニケーションの取り方だと知っていて、それを活用して彼らに語りかけている」と語るのは、ハバス・クリエイティブUSで会長兼チーフクリエイティブオフィサーを務めるジェイソン・ピーターソン氏だ。「我々は、書類に書かれた情報をベースにして人を雇ったりしない。その人の考え方や、その人が作るものをベースに雇っている」。
3. トレーニングプログラムの実施
ヒュージ(Huge)は、従来型のインターンプログラムではなく、「ヒュージ・スクール(Huge Schools)」を通じてインターンや未来の人材を探している。ヒュージ・スクールは、応募者にユーザーエクスペリエンス(UX)やテクノロジー、コンテンツ戦略のほか、戦略やプランニングを有給で実習させる飛び級式のトレーニングプログラムで、現在7期目に入った。
大学生だけでなく転職希望者もターゲットにしている点がほかとは違う。選ばれた候補者たちはブルックリンに集められ、それぞれが選択した分野について10週間集中して実地訓練を受ける。ヒュージにいる各分野のリーダーから基本を学び、そうして身につけた基本を応用して現実世界の問題解決に臨む。
4. 会社見学会の開催
グループM(GroupM)とWPPのエージェンシーであるマクサス(Maxus)は、インターンのための会社見学会を2017年4月20日にはじめて開催する。エントリーレベルの応募者はもちろん、卒業を間近に控えた者や卒業予定の者まで、エージェンシーのネットワークを通じて社員たちと意見交換をしたり、人脈を作ったりする。
マクサスでは同日、メディア計画や多文化マーケティング、リサーチ、データ、解析など、メディアに関するさまざまな分野のキャリア形成に焦点を絞った説明会やパネルディスカッションも開催する。各パネルディスカッションでは、メディアのより大きい構図のなかでそれぞれのチームがどのように交流しているかが説明され、これらのチームやエージェンシーにおけるキャリアパスや、エージェンシーモデルにおけるグループ会社の未来について、インサイトが提供される。
マクサスのエントリーレベル・リクルートの責任者、スティーブン・エチェベリ氏はこう話す。「我々は、ブラックホールに履歴書を送ってもらい、最善の人材を見つけようとするような従来の応募方式の壁を壊したかった。インターン候補生と社員が直接会う時間を作り、将来のメディア界のスターたちと発展的な関係を築いてもらおうと思っている」。
5. 広告作成研修プログラム
ドイチュ(Deutsch)には、ヒュージによく似た有給の夏季広告作成研修プログラム「Dプレップ(D-Prep)」がある。今年で3年目を迎えるこのプログラムは8週間続き、ロサンゼルスとニューヨークのオフィスに集まった広告制作者、技術者、デザイナーが、クライアントへのブリーフィング、新製品の考案、プロトタイプの制作に取り組む。
ドイチュは2017年、Facebook、Twitter、LinkedIn、インスタグラムなどあらゆるソーシャルチャンネルを通じてインターンを募集しており、特にインスタグラムに注力している。たとえば、インスタグラムにアップされた動画は、ドイチュで働くことがどういうことかを、思い切った方法で面白く描き出している。
「世の中には素晴らしいクリエイターが山のようにいるが、ありきたりな応募プロセスではそうした人材を惹きつけられない。我々はそのプロセスを面白く、体験的なものにした。この方法は、応募者に自分の個性やスキルを見せる機会を与えつつ、エージェンシーとしての我々の雰囲気や文化を具体的に見せるうえで、非常に上手く機能する」と、ドイチュのシニアバイスプレジデント兼クリエイティブディレクター、ザイド・アル・アサディー氏は語る。
Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)