消費者は常に正しいかもしれないが、クライアントは必ずしもそうではない。ピカピカの最新トレンドを追い求めているにせよ、時代遅れのアプローチでキャンペーンに挑もうとしているにせよ、ときにクライアントは利益になるとは限らないアイデアを提案してくる。今回は代理店幹部に、クライアントのアイデアへの指摘戦法について聞いた。
消費者は常に正しいかもしれないが、クライアントは必ずしもそうではない。ピカピカの最新トレンドを追い求めているにせよ、時代遅れのアプローチでキャンペーンに挑もうとしているにせよ、ときにクライアントは、利益になるとは限らないアイデアを提案してくるものだ。
エージェンシーたるもの、こうしたアイデアへの警戒を怠ってはならない。だが、クライアントを説得して、彼らのアイデアをボツにしてしまうことは必ずしも容易ではない。
米DIGIDAYは、2017年3月1~3日にテネシー州ナッシュビルで開催された「DIGIDAYエージェンシーサミット(Digiday Agency Summit)」に参加したエージェンシー幹部から、的はずれなクライアントのアイデアをうまく指摘する方法について聞いた。
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「数字で説得する」:ベン・カンズ氏
メディアソシエイツ マーケティングおよびコンテンツ担当シニアバイスプレジデント
我々は通常、ふたつのアプローチをとっている。ひとつ目は、予測分析をすることで、提案された新たなメディア戦略が成功しそうにないことをクライアントに示すやり方だ。数字を見ると、大抵のクライアントは納得する。ふたつ目は、それでもクライアントが誤った考えに固執する場合、突破口がないか慎重に調べ、初期データを入手して、キャンペーンという母船が岩に激突するのを阻止しようと試みる。メディア予算のごく一部を使って、早い段階で簡単なテストを行うことにより、多くの悩みの種を摘むことができる。クライアントと飲むビールも効果抜群だ。本音を語るには、くつろいだ酒の席がもってこいだ。
「包み隠さず伝える」:グレッグ・マーチ氏
ノーブル・ピープル CEO
クライアントとのビジネスを開始するにあたって、いつも私はこう宣言することにしている――「私は自分が思っていることをあなたに包み隠さず言うつもりだ。あなたが間違っていると思える場合も。だが、あなたの望みは必ずかなえる」と。簡単な話だ。私は常に、自分の意見を相手に伝える。だが、クライアントが不服そうな顔をしているときには謝罪する。クライアントが私を嫌っているのが確実な場合は、クライアントから距離を置いて、ほかのスタッフに代弁してもらう。
「冗談をうまく使う」:ライアン・フェイ氏
オムレット 共同創設者
そのようなときは、クライアントを連れ出し、腹を割って話し合うのが私の流儀だ。相手に恥をかかせているように見えてしまってはまずい。意見は率直に言わねばならないが、私の場合、冗談をふんだんに交えて徐々に本題に入る。子どもっぽい冗談を言って、相手も意見を述べやすい空気をつくるようにしている。
「視点を変える」:フィル・カウデル氏
グループM 北米プラットフォームサービス担当プレジデント
私の戦法はいたってシンプルだ。普通、人はテーブルに着くとき、相手の正面に座る。だが私は、クライアントの隣に座ることにしている。座る位置を変えるだけで対立感が自然に薄れ、状況は一変するからだ。以前、こんなことがあった。あるクライアントは私の同僚とうまくいっていなかったが、2人でタクシーに乗ったら事態を収拾できたのだ。「視点を変える」とはよく言ったものだ。そうすれば、おのずと同じ方向を見ることになるのだから。
「くつろいだ雰囲気で話す」:ハリス・ダイアモンド氏
マッキャン・ワールドグループ プレジデント兼CEO
いちばん良いのは、考えを素直に述べることだ。我々は戦略を把握して、それをクリエイティブに実施することで報酬を得ている。強い酒をあおって、クライアントに会いに行く。うまくすれば、くつろいだ雰囲気で話し合いができるだろう。これまでもずっと、実施の点で我々と意見が合わないクライアントは常にいた。だが、戦略の点で根本的に意見が合わないということはなかった。幸いにもデジタルテクノロジーのおかげで意見を伝える機会が増え、相手の意向も素早く把握できるようになった。
TANYA DUA(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via Getty Images