エージェンシースタッフの多くが、プログラマティックマーケティングの基本を学ばなければならないと気づきはじめている。これを受けて、大手エージェンシーのハバス・メディア(Havas Media)は、2万人の従業員の25%が自動取引の言語やスキルに精通し、少なくとも最低限の知識を得られるような取り組みを行っている。
プログラマティックマーケティングがあらゆるところに浸透するなか、以前はDMP(データマネジメントプラットフォーム)を避けてきたエージェンシースタッフの多くが、基本を学ばなければならないと気づきはじめている。
これを受けて、大手エージェンシーのハバス・メディア(Havas Media)は、2万人の従業員の25%が自動取引の言語やスキルに精通し、少なくとも最低限の知識を得られるような取り組みを行っている。近い将来その割合を増やしていくことが目標だ。
同エージェンシーは従業員が自信をもってプログラマティックについて語れるようになるための社内認証プログラム「100パーセントプログラマティック」を通してこれを実行。このプログラムは社内学習プラットフォーム「ハバス・ユニバーシティ」によるオンライン講義や実践プロジェクトなどの方法で行われる。
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プログラムの中身
プログラムを利用する従業員は、レベルに応じて8時間から10時間の講義を受講。それぞれのコースにテキスト、動画、面接、そして試験がある。
レベルは3段階に分かれており、プログラマティック言語とコンセプトを網羅する基本レベル、日々の仕事におけるプログラマティックテクノロジーの活用法を含めた上級レベル、そしてより戦略的展望について学ぶエリートレベルがある。
同社のチーフHR(人材担当)オフィサーのセリーヌ・メルル・ベラル氏は、「私たちがこれをやろうと決めたのは1年前」だと話した。クライアントの問題を理解するには、プログラマティックを知る必要があると知った社内のメディアおよびクリエイティブ関係者からの要望に応えた形だ。
ほかのエージェンシーでも同様の課題がある。たとえば、スターコム(Starcom)は過去2年間にわたり、数千人に対し、プログラマティック教育を行っている。これはテクノロジーではなくチャネル(紙媒体、テレビ)を基にした「メディアを買う、メディアを売る」という古典的な構造を近代化する取り組みの一環だ。メディアとクリエイティブの境界線があいまいになっているいま、誰もが勉強し直す必要があるのだ。
スキル不足を回避
ハバスには各役職に必要なスキルや理解レベルの期待値を明示した「ジョブカタログ(仕事一覧)」がある。そして全員がスキルレベルを計るテストを受ける。
試験の結果によって従業員は基本、上級、エリートに分類される。たとえば、クライアントと取引を行うマネジングディレクターがいたとしよう。この人物に理解レベル「エリート」までは必要なくても、プログラマティック広告の運用方法についてクライアントと取引することはあると、メルレ・ベラル氏。(同テストの縮小版を参照)。
つまり「いま、クライアントとはうまくやれるが、プログラマティックがわからないという人は、スキル不足だという印象をもたれてしまう」ことになり、これこそハバスが避けようとしている事態なのだと、メルレ・ベラル氏は話した。そういう彼女自身も同社のプログラムを受けて基本レベルにあると認証されている。
「これは本当に役に立った」と彼女はいった。「そして、人が本当に恐れているのは機械に取って代わられることではなく、スキル不足に陥ってしまうことだということがわかった」。