今週の注目トピックはGoogleの開発者カンファレンス「Google I/O 2017」だ。17日(現地時間)からカリフォルニア州サンタクララ郡で開かれている。Googleのパーソナルアシスタントは同社の「AIファースト」のビジョンのもとで進化しているようだ。
人々は常にインターネットに接続され、ユビキタスなAIを通じて課題を解決していく様子が描かれた。人々は従来的な「マーケティング」が想定する行動の外に出ていくだろう。
今週の注目トピックはGoogleの開発者カンファレンス「Google I/O 2017」だ。17日(現地時間)からカリフォルニア州サンタクララ郡で開かれている。Googleのパーソナルアシスタントは同社の「AIファースト」のビジョンのもとで進化しているようだ。
人々は常にインターネットに接続され、ユビキタスなAIを通じて課題を解決していく様子が描かれた。人々は従来的な「マーケティング」が想定する行動の外に出ていくだろう。
さまざまなタスクを代行する
もっとも端的な例がこれだ。Googleアシスタント・エンジニアリング担当バイスプレジデントのスコット・ハフマン氏は大阪に旅行した際にたこ焼きの看板を見つけ、いい匂いがしたが、日本語を話さず、たこ焼きがどんなものかも分からないという経験をしたと語った。
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ハフマン氏はアシスタントのコンピュータビジョンと自動翻訳で看板の「たこ焼き 6個入り 130円」を英訳した。
アシスタントに「(たこ焼きは)どんな見た目ですか?」と訪ねると、アシスタントはたこ焼きの画像を示した(下図、赤枠内)。「うん、美味しそうだ」ということで購買を決心した。
この一連の動作で、アシスタントは音声認識でユーザーの言葉を理解し、画像認識、翻訳、検索を自動的に実行している。音声認識、画像認識、翻訳はディープラーニングの応用により大きな進歩を遂げた。
シニアプロダクトマネージャー ヴァレリー・ナイガード氏はアシスタントが商取引を助ける例を出した。アシスタントにレストランへのデリバリーサービスの意思を伝えると、アシスタントはレストランのメニューを提示し、その質問に答えていけば注文が完了する。アシスタントはペイメント(支払い)、ノーティフィケーション、IDなどを管理し、商取引の遂行ステップを省略してくれる。
モバイルの普及は、人々の意思決定に大きな影響を及ぼしている。人々は購買する前に商品を調べる傾向を強く示しており、特に高価格帯の商品になると、商品のスペック・価格を比較し、「想定される値引率」までたどり着く。
モバイルが人々に常時のネット接続を与えたことこそが、買い手と売り手の情報の非対称性の解消した、と言える。一方で検索は膨大なデータ量に対して万能ではなく、さまざまなハックを受けている。これが、モバイルに限らない無数のデバイスを通して触れられるAIになりどう変わるのだろうか。
Googleのサンダー・ピチャイCEOは昨年のファウンダーズレターでこう語った。
将来に目を向けると、次の大きな一歩は、「デバイス」というコンセプトが姿を消すことに向かっている。いずれコンピュータは――その形がどうなるとしても――あなたの1日を助ける知性を有したアシスタントになるだろう。我々は「モバイルファースト」から「AIファースト」の世界に向かっている。
「データのつくられるところ、学習されるところ、それが利用されるところを同じにする」という挑戦であり、「知性を有したアシスタント」がデータのかき分け役を代行してくれる。いつでもどこでもコンピュータの力を簡単に利用できるということだ。
検索広告はどうなるのだろうか? アシスタントが広告を提案してくるのはユーザーの心理に負担が大きそうだ。ユーザーはアシスタントが広告と宣言しないまま、広告主の商品を提案してくることも受け入れないだろう。Googleの稼ぎ頭を代替できる商品があるのか。たとえば、アシスタントにより商取引が完了したら、売り手から手数料をとるという形だろうか。あるいは別の収益化に踏み出すのだろうか。
以下、今週のほかのトピック。
▼FacebookがWorkplaceを日本発表
価格設定が破壊的。Facebook SMB / Workplace APAC責任者であるナクル・パテル氏は「エンタープライズIT企業のような営業手法ではなく、Facebook本体同様、ネットワーク効果を狙う」と語った
▼インテージ、データ連携を容易に
インテージは、同社が保有するパネル調査情報などの各種マーケティング支援データを、他社が提供するBIツール・CRMツールと連携させる「INTAGE connect」をリリース。
▼Airbnb、日本国内のホテル・旅館の予約販売サービスに参入
Airbnbはエボラブルアジアと業務提携してホテル・旅館に対する営業を展開すると発表した。
▼ソフトバンクがインド最大デジタル決済に出資
インド最大のデジタル決済サービスPaytm(ペイティエム)はソフトバンクから14億ドル(約1550億円)の投資を受けたと発表した。ペイティエムの大株主はアリババ、ソフトバンクという布陣。評価額は70億ドル(約7700億円)。
▼電通、広告コピー生成システムを開発
電通は17日、人工知能による広告コピー生成システム「AICO」(β版)を開発したことを明らかにした。静岡大学情報学部の狩野芳伸准研究室と共同で開発。
Written by 吉田拓史
Photo via Google Blog