「マーケターは十分な準備ができていない」:eコマース需要拡大を受け、 電通 が新サービス提供開始

新たに作られたコマース業務「Dentsu Commerce(デンツーコマース)」の開始とともに、電通はコマースへの拡大するニーズに対応してブランドに頼られるエージェンシー持株会社になりたいと考えている。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、ブランドコマースの成長は加速してきた。人々は、自宅に閉じこもったり、店舗での対面での買い物を警戒したりして、大挙してオンラインショッピングをしている。そうした状況下では、規模の大小を問わず、ブランドは、eコマース機能を迅速に強化・加速する必要がある。

「クライアントがみな、顧客のニーズに対する自社の対応能力を心配しているため、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、この業務を開始した。クライアントを手助けできる唯一の道は、彼らの顧客すべてにデジタルで接触し、エンゲージする方法や、デジタルでサービスを提供できる方法の解明だ」と、Dentsu Commerceのグローバルプレジデント、ヴィカルプ・タンドン氏は語る。

パンデミックによって後押し

電通は、新しいコマース業務によって、資生堂やアディダス(Adidas)、プロクター&ギャンブル(P&G)などのブランドの機能強化に取り組んでいる。コマース業務はすでに運用中だが、パンデミックと、それによって変化している消費者の行動により、新グループが今すぐ市場に参入する重要性が高まった。

Amazonやオンライン小売全体が成長しているため、コマースは近年、エージェンシーでいっそう重要な分野になった。これまで店舗のエンド陳列や商品棚でのショッパーマーケティングに力を注いできたブランドは、どの買い物場所でも注意を引けるように、コマース計画作成へのより全体的なアプローチを探し求めている。そうしたブランドを助けるために、ほかの持株会社は、新しいコマース業務を構築してきた。たとえば、WPPは3月に、ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)を創設した。

「消費者によるeコマースの採用に対して、たいていの場合、マーケターは十分な準備ができていない。新型コロナウイルスがそれを加速させてきたのは確かだ」と、電通イージス・ネットワーク米州法人(Dentsu Aegis Network Americas)でCEOを務めるジャッキー・ケリー氏はいう。「堅調なオンライン取引の重要性が浮き彫りになり、顧客との関係がもっとも強固で実績のあるブランドは、今後を管理するのにかなり良い立場にある」。

すでに資生堂とは協力体制に

タンドン氏がDentsu Commerceを率い、電通グループのエージェンシーの従業員であるコマース専門家3500人と共に活動する。電通アイソバー(Dentsu Isobar)や360i、マークル(Merkle)といった、電通傘下のエージェンシー幹部も、Dentsu Commerceに貢献する。

資生堂のオムニチャネルマーケティング担当グローバルディレクターであるトーマス・ワッサー氏によると、Dentsu Commerceはすでに、資生堂と協力して、特定の技術仕様よりも消費者体験をより重視するよう、ウェブサイトのデザインへのアプローチを一新したという。

電通は、スナックブランドとも協力して冒険的なD2C事業を構築中であるほか、「コマース主導の」プランニングで家庭用消費財(CPG)ブランドと協働している。

「一貫した購入ジャーニーを」

この取り組みでは、電通は同ブランドと協力して、消費者と直接の関係を構築する新ブランドを立ち上げ、「終始一貫した購入ジャーニーを提供する」とケリー氏は話し、そうすることで従来のCPGブランドがスタートアップに立ち向かえるようにすると、同氏は付け加えた。

全体として、電通はエージェンシーの「戦略立案へのコマースレンズ」の追加を考えているとケリー氏は述べた。

[原文:‘Exceeded our marketers readiness’: As e-commerce growth accelerates, Dentsu is adding a new practice to meet the demand

KRISTINA MONLLOS(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:長田真)