FUTURE OF WORK

「育児支援」の福利厚生、人材確保で重要なポイントに:「最優先事項であることを理解している」

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デルタ株による感染が拡大するなか、失業給付を受けている人々が新しい職のオファーを得ても断る理由は数多くある。ひとつは、失業給付によって、受給者たちは働く必要のない十分なお金を得られていることだ。その他の理由としては、個人の健康や医療上の問題、十分な時間が与えられない仕事、リモートワークができない仕事だから、などがある。

しかし、モーニング・コンサルト(Morning Consult)の最近の世論調査によると、主な理由として育児にまつわる義務が挙げられることが分かっている。

多くの人々が職を去ろうとする「大退職時代(the Great Resignation)」に突入した今、人事担当者は従業員を惹きつけ、社に留まってもらう方法を見つけ出すために奮闘している。そんななかで彼らはますます、会社が保育サービスを提供することが強力なセールスポイントであることを発見している。

「仕事と子供を持つ母親や父親が『(このような仕事形態)は継続的にはできない』と言ってくるケースが突然現れてきた」と、アクセンチュア(Accenture)、Facebook、ターゲット(Target)など1000社以上に保育・育児ソリューションを提供するブライト・ホライズンズ(Bright Horizons)の最高人事責任者であるマリベス・ベアフィールド氏は述べた。同社は、マスネージアム(Mathnasium)、シルヴァン・ラーニング(Sylvan Learning)、ハンティントン・ラーニング・センター(Huntington Learning Center)などと提携し、保育だけでなく児童の発達支援にも注力している。

「数年前であれば、私たちは(サービスの必要性を説く)多少のセールストークをしなければならなかったが、今では『なぜ』を説明する段階は終わった」とベアフィールド氏は付け加えた。「人々は(育児支援サービス)が最優先事項であることを理解している。今では、どのように雇用主がもっとも効果的に行えるか、が重要になっている」。

「200万の親が就労損失を被っている」

リカージョン製薬(Recursion Pharmaceuticals)やポディアム(Podium)のような雇用者は最近、職場の親たちの状況を改善するために、施設内保育センターを建設した。自社ビル内のソリューションを持たないほかの企業たちは、外部の保育事業者と契約して従業員の福利厚生として提供している。

ベアフィールド氏は、5つの託児所を運営するマイクロソフト(Microsoft)や、300人以上の子どもたちにケアを提供するNBCユニバーサル(NBC Universal)などの成功例を挙げた。

同氏によると、ブライト・ホライズンズの保育施設は平均して約100人の子供にサービスを提供できるようになっているという。

ベアフィールド氏はまた、すべての保育ニーズが同じというわけではないことを指摘し、サービスは個々の企業に合わせられると強調した。たとえば、プロゴルファー協会(the Professional Golfers Association)の場合、ブライト・ホライズンズはツアー中の選手の家族のニーズに対応するためにツアー先ごとでのサービスを始めた。ほかにも、医療関係の場合、パンデミックのため病院で昼夜を問わず勤務や待機を余儀なくされているため、保育所は年中無休、24時間体制で運営されている。

「今、親が就労するために何らかの育児支援を必要としている子どもが1500万人いる。考えてみれば分かるが、これは(職の選択における)非常に重要なポイントだ」とベアフィールド氏。「200万人の親が、育児関連の問題のために何らかの形で就労に関する損失を被っている。最高の人材を採用して維持したいのであれば、何らかのサポートを提供する必要がある」。

もっと前から存在すべきものだった

パンデミックは、育児と児童の発達の重要性を浮き彫りにした。ケルトン・グローバル(Kelton Global)が実施した調査によると、働く親の79%がパンデミックのせいで、子どもたちが持つ「健康な子ども時代はどうあるべきか」の認識について心配していると答え、71%が子どもの自信や自尊心を心配しており、73%が家の外での活動に関心がないことを懸念している。

彼らは一貫性のある形での保育や対面での人との交流が欠けていることでのマイナスの影響を心配している。69%の親が、主要な発達目標、特に社会的・感情的な面(76%)や、コミュニケーション面(70%)、認知機能面(68%)、身体面(64%)における発達目標を満たせなくなることを、ある程度または非常に懸念している。

育児支援の提供は、従業員のもっとも差し迫ったニーズへの解決策となるだけでなく、従業員のパフォーマンス向上にもつながる可能性がある。「企業は従業員の家庭・育児を支援すると、従業員の仕事に対する態度も大きく変わることを認識する必要がある。自分の子どもがちゃんと面倒を見られていることを認識した状態であれば、人の仕事内容はまったく異なるものになることが可能だ」とベアフィールド氏は付け加えた。

雇用主たちも、育児支援ソリューションの提供はもっと前から存在すべきものであったと同意する。

「控え目に言っても、アメリカの保育事情は問題だ。それは平等で公平な社会を追求するうえでの最大の障害のひとつだ」とリカージョン製薬のCEOである、ヘザー・カークビー氏は言った。「雇用者には(保育事情に関する)解決策の一端を担う責任があるというのが、私、そしてリカージョンの信念だ」。

「従業員は非常に喜んでいる」

彼女自身も、小さな娘の子育てと仕事を両立させなければならなかった自分の経験を「混沌とした時期だった」と形容しており。その時期をつい最近終えたばかりだという。ソルトレイクシティの本社の隣には、1カ月前に新しい託児所がオープンし、そのことに彼女は非常に興奮している。「このように有意義な方法で、働く親を支援することに積極的な企業で働くことを誇りに思っている」と同氏は付け加えた。

「働く親にとっての最大の課題のひとつは、信頼できる質の高い保育サービスを見つけることだ。そのため、私たちは社員に柔軟性と安心感を提供する点で、業界の最前線に立っていることを誇りに思う」と語るのは、顧客向けメッセージングおよび決済プラットフォームを運営するポディアムの人事担当シニアディレクター、ケイティー・モロー氏だ。「このセンターが利用できるようになったことで、従業員は非常に喜んでいる。これにより、ポディアムの従業員は、すべての働く親が直面している育児とスケジュールの課題にうまく対処できるようになると考えている」。

[原文:‘c’: Why providing childcare is becoming critical in hiring and retaining talent

TONY CASE(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU