イギリスはいま夏だ。そう、イギリスでも1年に1回、1週間だけ夏が訪れる。この1週間をエージェンシーたちが見逃すはずはなく、太陽の下、みんな外に出てお酒を飲んで楽しんだ。
マーケティング・テクノロジー・エージェンシー、DigitasLBiによるレイブ・イベントはもはや伝説的な人気となっているが、規模がもっと小さなエージェンシーたちも種々のイベントを開催している。
カンヌでしこたまワインを飲んだ後は、とにかくビールを飲んで、クライアント、アドブロックといったことを忘れてパーティをするに限るのだ。
イギリスはいま夏だ。そう、イギリスでも年に1回、1週間だけ夏が訪れる。この瞬間をエージェンシーたちが見逃すはずがない。
デジタスLBi(DigitasLBi)によるレイブイベントは、もはや伝説的な人気だ。それだけでなく、ほかのエージェンシーたちも、個々に太陽の下、屋外でお酒を飲んで、楽しむ。
カンヌでしこたまワインを飲んだ後は、とにかくビールを飲んで、クライアント、アドブロックといったことを忘れよう。夏はパーティを楽しむのに限るのだ。以下、イギリスにおける各エージェンシーのパーティの様子を紹介する。
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グレイロンドン/90年代パーティ
グレイ(grey)ロンドンは定期的にパーティを開催している。そもそも社内にバーが備えられているから、ごく自然なことだ。そのなかでも一番規模が大きいのが、クリスマスと夏のパーティだ。7月のパーティは、ロンドン東部、ハックニー・ウィックにある運河脇のバー・ナンバー90(Number 90)を貸しきって行われた。
今回のパーティのテーマは1990年代の「野外パーティ」。なので当然、スナップバックに金のチェーン、そしてとにかく原色ピカピカのスポーツウェアが目白押しだった。
「テーマは素晴らしいものだった。安上がりだし、人によっては上から下まで本気でドレスアップすることもできる。逆に、ちょっとだけ忍ばせることもできるから、融通が効くんだ。どっちにしろ、あれだけの量のナイロン生地が集まったんだから、火事が起きたら大変だっただろうね」と、グレイ・ロンドンのシニアPRマネジャーであるオリー・ダーン氏は語る。
好例のフェイスペインティングとフォトブースに加えて、ロンドンのDJグループであるスクラッチ・パーバーツ(Scratch Perverts)によるDJセッション、そしてCMO(最高マーケティング責任者)のサラ・ジェンキンズ氏とCEO(最高経営責任者)のレオ・レイマン氏による、リップシンク・バトル(口パクバトル)が行われた。
ドラッグクィーンのジョニー・ウー氏がホストを務めた「ドラッグ・オフ」では、グレイ・ロンドンの社員たちはカツラを付け、ヒールを履かせられた。パーティのプランナーであるジャイアント・イベンツ(Jiant Events)の従業員たちが、その後、参加者たちのメイクを拭きとったという。「(パーティから)3週間たったけど、いまでも思わぬところにキラキラのラメを見つけたりするんだ」。
ロースト/フード・遊覧船
デジタルエージェンシーのロースト(Roast)は、2016年2月に創業したばかり。CEOのオリー・ビショップ氏のメイダ・ヴェールにある自宅で、5人のスタッフではじまった会社も、いまではロンドン北部のエンジェル地域にオフィスを構え、40人編成の強力なチームとなった。
会社の急成長を祝うため、ローストはパーティ用に遊覧船を貸し切り、ビショップ氏の自宅から新しいオフィスへとリージェント運河をクルーズした。
到着すると、ハリー・ポッターのように、スタッフたちはそれぞれのハウスに振り分けられる。それぞれのハウスにはローストディナーに重要な材料の名前がつけられている。グレービー、スタッフィング、マッシュドポテト、そしてホースラディッシュといった具合だ。
ゲストはそれぞれのハウスの色に応じた服装をして、いくつかの競争に参加しなければいけない。たとえば、「もっとも野心的なカクテル」を作る、というものだ。これまでのローストの歴史のなかで名誉を得たカクテルには、ロード・ポークスムーア(彼らの会社の黄色い豚のマスコットの名前から取られている)、フライング・ピッグ、そしてホール・ホッグといった名前が付けられてきた。食べ物には串焼きが出された。
2005年に設立された、ビショップ氏の前の会社であるステーク(Steak)では、彼はディズニーランド・パリやラスベガスにスタッフたちを週末旅行に連れていっていたそうだ。夏のパーティはこれからも続けられる催しだという。
「私たちの成功の理由は、私たちの従業員だ。そこに疑いはない。スタッフをちゃんと扱うこと、私はそれをいつも信じている」と、ビショップ氏は語る。
デジタスLBi/海賊風夜会
デジタスLBi(DigitasLBi)のロンドン・オフィスはラム・ドリンク目白押しのパーティを開催した。パーティのテーマは海賊となっている。ちなみに今年の酷暑がテーマのきっかけだとか。この夜会イベントはオフィスの2階にある屋上のテラス部分で開かれる。
エントランス部分は船のようにデコレーションされ、出迎えてくれるのはバルーン式のオウムだ。当然バーベキューも提供される。ドレスコードはもちろん海賊風。フック船長のようなアイパッチや鉤爪が見られることは間違いない。
プロデューサーのウィル・テンプル氏によれば、「暴動を起こそうとする輩は、船から突き出た板の上を歩かせて、ボールの海に飛び込ませる」という。
また宝探しイベントも開催される。宝はCEO(船長)であるマイケル・イスリップ氏の名前を冠したラム・パンチと交換してもらえる。1階ではリアルタイムで映しだされる海と日没のプロジェクション・マッピングとともに、音楽を楽しむことができるそうだ。
グラビティ・ロード/ダサい服装パーティ
コンテンツ・エージェンシーであるグラビティ・ロード(Garvity Road)は7月、5周年を祝った。ソーホーのオフィスの屋上テラスで、スタッフたちは「ビールとおしゃべり」セッションに集まった。しかし、いつもの定期的な集まりとはちょっと違ったものにするために、ファウンダーであるマーク・ボイド氏のファッションセンスをスタッフたちが見習うというテーマを作ったのである。
これが意味するのは、「買ったことを後悔していて」「一度も着ていない」服を着るということだ。当然、ケバケバしい上着やサイズが合っていないポンチョを着るはめになる。
テラスのデコレーションはマイアミ風にされ、エージェンシーお抱えのDJがそれに合わせた音楽を流した。ドリンクにはジンやラム・ベースのカクテルが出されたという。
「会社の誕生日なので、ただのビールとスナックではなく、もっと盛り上げなければと思った。屋上テラスは我々のお気に入りの場所で、これまでの思い出もあるので、開催する場所はここしかないと思った」と、マネジングディレクターのケイティー・リー氏は語った。
ジェリーフィッシュ/フェスティバル
デジタルエージェンシーのジェリーフィッシュ(Jellyfish)は、好例の夏パーティをさらに大規模な「ジェリーフェスト(Jellyfest)」と題したフェスティバルにした。パーティはアメリカと南アフリカのオフィスでも開催される。
ラウンダーのようなイギリスの伝統的なゲームに加えて、ゴルフシミュレーターやアーケードのレーシングゲームやオキュラスリフトを使ったハイテクなゲームも並べられた。
スタッフたちはバンドによる生演奏やDJによる音楽を日中は楽しみ、夜はサイレントディスコで踊った。バーで無料ドリンクを飲んだあと、参加者たちはインド人シェフのハリ・ゴートラ氏による地産の食べ物を嗜んだ。
「思い出に残る1日を過ごしてもらうことで、ジェリーフェストはスタッフへのご褒美となっている。もしくはバーで無料のドリンクを飲み過ぎた人にとっては、忘れたい1日になるかもしれない」と、CEOのロブ・ピエール氏は話した。
ハンターロッジ/ボートパーティ
エージェンシーのハンターロッジ(Hunterlodge)は水に縁がある会社だ。マネジングディレクターのロブ・ハンター氏はヨット操縦の資格をもっており、とにかく船が大好きな人物だからである。彼の子どもたちのミドルネームは海にちなんでラナ・コーラル(珊瑚礁の意)、とエリーゼ・オーシャン(海)と名付けられた。
そのため当然、彼らの夏のパーティはボートなしでは完成しない。というのが、アカウントプランナーでありパーティのオーガナイザーを務めたサビーナ・リー氏の意見だ。
2016年は、リージェント運河を下る3時間のクルーズが行われた。夏をテーマにデコレーションされたボートの名前はフレーダ(Freda)だ。もちろん、飲み物とスナック、そしてSpotifyの音楽リストが詰め込まれた。
パーティは翌日も続いた。運河脇を歩いて、BBQでハンバーガーを作り、パブでお酒を飲むというものだった(しかし、なぜこれほど、このエージェンシーは運河が好きなんだろうか)。その後はキャムデンにあるギルガメッシュに出向き、午前3時まで飲んで踊ったという。
「来年はハンターロッジの30周年なので、何が起きるか待ちきれない。ボートと、水とお酒が含まれるのは間違いない」と、リー氏は加えた。
Grace Caffyn(原文 / 訳:塚本 紺)