いまだ Vine クリエイターの「収益化支援」する企業の正体:著作権申し立てで広告収益

デジタルスタジオのコラブ(Collab)は、YouTube上に投稿されたVine(ヴァイン)の元人気投稿者の手による昔の動画を見つけ出し、著作権を申し立てて、広告収益をあげるサービスで知られている。

コラブによると、動画製作者に返還された収益は、最近1億ドル(約112億円)を突破したという。同社がYouTubeにおける動画権利の管理を代行しているのは、製作者およそ1000名だ。さらに同社が有するYouTubeネットワーク上では、動画製作者300名、500チャンネルを対象にブランデッドコンテンツをはじめとする広告契約の管理を行っている。

コラブが動画権利関連で収益をあげている方法は複数ある。主な方法は動画製作者に承認を得ずYouTubeにアップロードされた動画(Vine動画が主)について、主体的に著作権侵害を申し立てるやり方だ。侵害している動画は、Vine動画を単にYouTubeに転載したものや、最近YouTubeで人気のまとめ動画形式に編集したものなどがある。またコラブ自身もYouTubeに50のチャンネルを有している。同社の投稿者ネットワークのなかから定期的にVineの面白動画を集めた「ファニーヴァイン(Funny Vines)」やペット動画を集めた「ファニー・ペット・ビデオ(Funny Pet Videos)」などだ。

受動的な収益源

コラブの共同創設者であり共同CEOを務めるタイラー・マクファデン氏によると、コラブが動画製作者に支払った収益の約54%は著作権申し立てと、投稿された動画をコラブが管理するYouTubeチャンネルを通じて配信するシンジケーションによるものだという。

同氏は「我が社は動画製作者のため、こうした受動的な収益源を作り上げた。これからも製作者のための重要な収益源であり続けるだろう」と語る。

アンドレス・バーゴス氏も同社のサービスを利用している製作者のひとりだ。同氏はVineにおける寸劇をはじめとする動画投稿の開拓者のひとりとして知られている。バーゴス氏自身は、当時ブランデッドコンテンツ契約のため、Vine以外のプラットフォームで収益をあげることはできなかった。そんな同氏は、自身をはじめとするVineの人気投稿者の動画がYouTubeに転載され、ほかのユーザーの収益になっていたことを知らなかったという。同氏はVineのほかの人気投稿者を通じてコラブの著作権管理サービスについて知り、その後コラブからサービス利用の相談を持ちかけられた。バーゴス氏はコラブによる著作権侵害の申し立てによって返還される収益の具体的な額については明かさなかったが、「デイビッド・ドブリック氏(YouTubeで1200万人のチャンネル登録者を有する動画投稿者)であれば、フェラーリを買えるくらい」の額だと表現している。

広告や教育のビジネスも

コラブは著作権管理以外にも、動画製作者のブランデッドコンテンツをはじめとする広告契約も担当している。コラブは今年1月から、同社のYouTubeネットワーク上で広告を直接販売できるようになった。コラブの複数の役員が明かしたコムスコア(comScore)のデータによればその月間動画再生数は350万以上であり、かなりの広告を直接販売できるスペースとなっている。同役員らによれば、これによって同社が2019年末までに動画製作者に支払う額は1億5000万ドル(約168億円)に達するペースとなっているという。

コラブのマーケティング部長でありエグゼクティブバイスプレジデントのデイブ・ロスナー氏は、「こうしたインベントリーの市場価値はとてつもなく大きい。当社のようなネットワーク規模であれば、なおさらだ」と語る。

コラブはさらに、動画製作者のためロサンゼルスに人材スタジオの建設も進めている。同スタジオには約2800平米の制作スペースが設けられ、演技や即興、文章のワークショップ、グラフィックデザインのコース、果てはプロ向けの写真教室といったサービスまで展開される。

マクファデン氏はこれについて、「動画製作者に提供するサービスの一環であり、これも契約に含まれている」と語る。「当社のネットワークにチャンネルを持っていれば誰でもこのクリエイター育成プログラムにも参加できる。同プログラムでは個人ブランドの向上と、動画製作者がより質の高い動画を作るために必要なあらゆる支援を目指している」。

YouTube以外にも展開

さらに、コラブはYouTubeだけでなくFacebookやインスタグラム(Instagram)といった、ほかのソーシャルプラットフォームにも著作権管理事業を展開しようとしている。

「Vineはもうないが、Vineのために作られたコンテンツが持つ価値は、いまでも非常に大きい」と、マクファデン氏は指摘する。

同社の役員はコラブの総収益の具体額は明かさなかったが、黒字となっているとのことだ(同社は65名の社員がニューヨークとロサンゼルスで勤務している。またアジアにも最近展開しており、同地域に勤める社員数は90名となっている)。

MCNとは異なるビジネス

コラブの役員らによると、同社はマルチチャンネルネットワーク(MCN)ではないという。コラブはメイカースタジオ(Maker Studios)やフルスクリーン(Fullscreen)といった大手MCNのように、数万人にもおよぶ動画製作者を抱えているわけではない。

「当社の中核をなしているのは、動画製作者300名と500のチャンネルだ。何十万というチャンネルを管理する集約型ネットワークとは大きく異なっている」と、ロスナー氏は指摘する。「マルチチャンネルネットワークは、YouTubeの急速な成長とベンチャーキャピタルによる大規模投資が行われた時代に生まれた。当社は自動で収益をあげられるように作られている」。

Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)