今週のトピックは5G(第5世代移動通信システム)。情報通信審議会(総務相の諮問機関)の技術分科会は12日、5Gの整備に向けた本格的な議論を始めた。5Gに適した周波数の帯域などに関する議論を詰めていくという。日本は2020年の5G導入を目指している。
今週のトピックは5G(第5世代移動通信システム)。情報通信審議会(総務相の諮問機関)の技術分科会は12日、5Gの整備に向けた本格的な議論をはじめた。5Gに適した周波数の帯域などに関する議論を詰めていくという。日本は2020年の5G導入をめざしている。
5Gに積極的なのは日本、米国、韓国など。米連邦通信委員会(FCC)は7月、米国内での5Gネットワーク導入の準備に向けた計画を全会一致で承認し、同ネットワークに利用される周波数帯を新たに開放することを決定。米オバマ政権は5Gネットワーク関連の研究プログラムに4億ドル(400億円)の予算を付けている。
5Gに「速い」以外の特徴を多くもたせることが、日米韓などの既定路線になりつつある。
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(5Gは)「超高速」だけでなく、「多数同時接続」、「低遅延・高信頼」といった特徴を有するものとされています。(中略)従来のスマートフォンや携帯電話といった利用形態の枠を超える移動通信システムとして検討が進められており、IoT時代のICT基盤として様々な分野での活用が期待されています。(総務省プレスリリース「新世代モバイル通信システムの技術的条件」)
標準化された5Gがどのようなものになるかは今後の研究開発、ビジネス展開によるものになりそうだ。しかし、与える影響はモバイルの高速化にとどまらないと言われる。スマートシティ、自動運転車、遠隔医療、高度な仮想現実(VR)などの基盤になることが指摘されている。
モバイルの通信速度が既存の有線ネットワークより高速であることをめざす「Google Fiber」を超えるレベルに達することは、私たちの情報の活用の仕方を根本から変えるだろう。人々に提供されるサービスの変身を促す基盤が整備されることを意味し、人間行動の変化が加速していくことになるだろう。今週のワールドマーケティングサミットジャパン2016では、コトラー氏は「マーケティングは顧客の問題を解決するものになった」と訴えた。
モバイルで多くの人がインターネットに常時接続するようになったことがマーケティング(あるいは経済)の大変化を生んだが、5Gでコネクティビティ(接続)があらゆるモノに拡大し、高度化すると、今度はどのような変化が訪れるのだろうか。他分野のイノベーションを含め、巨大な変化を将来に見越していることになるだろう。
以下その他の今週の注目トピック。
■FacebookとGoogleは太平洋のケーブルを整備
FacebookとGoogleの親会社のAlphabet(アルファベット)は、米国と香港を結ぶ太平洋横断海底ケーブルを敷設するため、香港のPacific Light Data(パシフィック・ライト・データ)に出資した。FacebookとAlphabetはビジネスの基盤であるインターネットインフラに投資を続けている。
■Googleがインフルエンサープラットフォームを買収
GoogleはインフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームFameBit(フェイムビット)を買収した。ブランドは以下のダッシュボードから、掲出先、リーチなどを設定する。Google傘下のYouTubeの収益化に寄与しそうだ。
■Amazon、定額制音楽ストリーミングサービスをローンチ
Amazonは米国で「Amazon Music Unlimited」をローンチした。「Amazon Music」のアプリやスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo(エコー)」で利用可能。Spotify、Apple Musicに対抗したと言われるが、同社がすでに提供する音楽ストリーミングサービス「Amazon Prime Music」との違いを問う声もある。
■Amazonが食品雑貨店にも参入か
Amazonは食品雑貨店・コンビニ分野に参入すると報じられた。生鮮食品宅配サービス「Amazon Fresh」に加入した人のみ店舗で買い物ができるという。Amazonは書店、ポップアップストアなどリアル店舗に注力。インターネットドリブンな小売業全体の革新を目指している模様だ。「Echo(エコー)」もここに絡んできそうだ。
■警察がソーシャル位置情報からデモ者を逮捕
Facebook、インスタグラム、Twitterの位置情報を利用した、個人のソーシャル活動と位置情報を把握できるツール「Geofeedia(ジオフィーディア)」を活用し、米連邦警察はメリーランド州の抗議活動参加者を逮捕した。当初はマーケター専用ツールとして生まれたこのツール。FacebookとTwitterは9月19日にAPIへのアクセスを止めたとしている。個人が発する多量のデータを誰がどう管理し、どう安全に活用するかに関して議論が必要かもしれない。
■百度がポストスマホ時代の投資を加速
百度(バイドゥ)はスタートアップ投資目的の30億ドル(約3000億円)のファンドを組成した。1案件当たりの投資額は50億〜100億円程度を見込んでいる。百度はスマホ・PCユーザーの検索により収益をあげているが、検索に代わるものとしてアシスタントが登場しはじめた。スマホが中心の現在からIoTを見越し、「ポストスマートフォン時代」の投資を加速するようだ。
Written by 吉田拓史
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