今週はユーザベース、BuzzFeed Japan、ビジネス・インサイダー(Business Insider)、LINE NEWSなどのニュースが出た。パブリッシャー(媒体社)、プラットフォーム両サイドでデジタルメディア業界のエコシステムが変化しつつある。
今週は注目したいのはユーザベース、BuzzFeed Japan、ビジネスインサイダー(Business Insider)、LINE NEWSなどのニュースだ。パブリッシャー(媒体社)、プラットフォーム両サイドでデジタルメディア業界のエコシステムが変化しつつある。
NewsPicksとSPEEDAの運営元、ユーザベースが東証マザーズに上場承認された(UZABASE)。
ユーザベースは2008年4月設立。SPEEDAは企業分析のSaaS型データベース。ユーザーベースは2013年にメディアプラットフォームNewsPicksを開始。現在はNewsPicksは有料会員とオリジナルコンテンツを導入し、プラットフォームとパブリッシャーを混合した業態になっている。同社が公開しているNewsPicksの登録ユーザー数は130万人(2016年4月末時点)。
Advertisement
BuzzFeed Japanはローンチ7カ月で月間ユニークユーザー数が1000万人に達したと発表した。日本版スマホアプリをローンチした。米国で成功しているフード系メディア「Tasty Japan」も8月にローンチしている。
メディアジーン(DIGIDAY[日本版]の運営元)は、アメリカのビジネスニュースメディア「ビジネスインサイダー」の日本版発行ライセンスの取得を発表。今冬のローンチを予定している。
プラットフォームサイドでは「多様化」が進んでいる。
LINEアカウントメディアプラットフォームにBuzzFeedやハフィントンポスト日本版など新たに31メディアが参加。9月12日時点での参画メディアは90メディア(自社4メディアを含む)、購読者数(LINE友だち登録数)は累計2900万人を突破(LINE)。
スマートニュースも7月に日本政策投資銀行をリードとする総額38億円の資金調達を実施したと発表していた。累計での資金調達額は91億円(SmartNews)。
米国ではデジタルメディア間の超競争が一段落し、淘汰のフェイズに入っている。出資やM&Aを得た「勝ち組」は海外展開に一層リソースを割きはじめている状況だ(BuzzFeedやビジネスインサイダーなどのことだ)。
以下今週のその他のトピック。
■音楽ストリーミング最大手のSpotify、今月にも日本上陸
国内市場は楽天、サイバーエージェント、LINE、Google、Amazon、TSUTAYAなどがすでに先行。世界最大手のSpotifyがどうシェアを伸ばすか。アジアの進出先は香港、シンガポール、フィリピン、マレーシア、インドネシアの5カ国で、日本が6カ国目(Tech Crunch)。
■アドテクに流れ込むチャイナマネー
中国のミテノコミュニケーション・テクノロジー(Miteno Communication Technology)がアドネットワーク「メディアネット(Media.net)」を9億ドル(約900億円)で買収。アプリ広告プラットフォームの「アップロビン(AppLovin)」も中国企業と15億ドルの買収交渉をしているとウワサされた(adexchanger)。
■中国の決済手数料は極めて安い、日本は?
中国のクレジットカードの決済手数料はだいたい0.3%、デビットカード払いだと0.1%も不要でそれ以下の手数料になる(クレジットカードの読みもの)。日本の10%以下。決済が「軽く」なると消費者行動が変わることが予想できる。デジタル上の商取引には、ブロックチェーン / ビットコインの活用可能性があり、メルカリ山田CEOも状況を注視していると語った(DIGIDAY[日本版])。
■Tポイントカード会員数が6000万人を突破
カルチュア・コンビニエンス・クラブは「直近1年間にTカードを利用するアクティブな会員、かつTカードを複数枚お持ちの方は1人として重複を除いたユニークな会員である『アクティブ・ユニーク』な会員数が、2016年9月末で6000万人になった」と発表した。Tカードの累計発行枚数は1億9000万枚という(CCC)。
■Googleが都市交通情報ベンチャーのアーバンエンジンスを買収
アーバンエンジンス(Urban Engines)は2014年にGoogleのマネジメント層だったエンジニア2人が創業。都市交通情報のリアルタイム分析を基に、最適な経路を割り出せるサービスを開発している。今後はGoogleマップと連携したサービスが見込まれる。
長期的にはGoogleは都市自体のデザイン「スマートシティ構想」にも活用する可能性がある。自動運転車などのプロジェクトもここに含まれると見られる。世界的に都市居住者の割合が拡大しており、都市のあり方はテクノロジーの進歩とともに大きく変わりそうだ。
Written by 吉田拓史