今年1月から7月中旬にかけて、Facebook内のパブリッシャー(媒体社)のページのオーガニックリーチ(到達)が52%の落ち込みを記録。ニューヨーク・タイムズ、コンデナストなど主要媒体社300社のフェイスブックページを調査した結果だ(Marketing Land)。
今週のトピックは今年1月から7月中旬にかけて、Facebook内のパブリッシャー(媒体社)のページのオーガニックリーチ(到達)が52%の落ち込みを記録したことだ。ニューヨーク・タイムズ、コンデナストなど主要媒体社300社のFacebookページを調査した結果だ(Marketing Land)。
Facebookのオーガニックリーチをめぐっては、ブランドのページから落ち込み、最近は媒体社のものが落ち込んだ。ニュースフィード・プロダクト担当バイスプレジデントのアダム・モセリ氏は今年6月のブログで、Facebookは人々をより身近な友人や家族と結びつけるというアイデアを基につくられているとし、「友人と家族を優先する」という考えを明らかにしている。オーガニックリーチはよりシェアに依存するようになったと言われる。
分散型メディアと言われる戦略にとって、リーチの減衰はかなり響きそうだ。ニュースフィードのアルゴリズム次第で、ビジネスが左右される状況はかなり危険かもしれない。コンテンツ流通先であるプラットフォームを多様化するとともに、自身のアプリ/サイトの集客を確かにすることも重要だ。こういった文脈のなかで、媒体社のデジタル戦略について、講談社の長崎亘宏氏は「『顔の見える』読者を集めることが デジタルメディアの急務だ」と語っている(DIGIDAY[日本版])。
Advertisement
媒体社は収益化に関してさまざまなオプションをもっている必要がある。今週は音楽ストリーミングにより「復活」した音楽業界を基に、少額決済やサブスクリプション(定額制)を活かした新しい収益化方法の可能性を探った(DIGIDAY[日本版])。
Facebookは今春から動画に傾斜している。ニュースフィードの多くが今後動画になっていく可能性がある。Facebookライブ動画でもっとも拡散したのが以下の動画だ。媒体と人という情報の提供者の違いはFacebook上ではあまりないのかもしれない。
その他のトピックは以下の通り。
■ポケモンGO、1カ月で収益2億ドル
平均的なiOS利用者の1日のアプリ消費時間で、Facebookなどの主要アプリを抑え、33分で1位。歴代のゲームアプリの記録を大幅に更新した(Quartz)。7月22日に日本でリリースされてから収益が急激に伸びた。インド、中国、韓国でのリリースはこれからで今後も収益拡大が続きそうだ。
■電子雑誌、楽天も参入
定額制の電子雑誌読み放題サービス「楽天マガジン」の提供を開始。月額380円(税抜)で、11ジャンル約200雑誌が読める。iOSまたはAndroidのアプリ(楽天)。今月3日にAmazonも月額980円の「Kindle Unlimited」をローンチ。先行する「dマガジン」に追いつけるか。
■ディズニー、大リーグの動画ストリーミングに出資
ウォルトディズニーがメジャーリーグ・ベースボール(MLB)のストリーミングサービス運営会社BAMTechに10億ドル(1050億円)を出資(Bloomberg)。ディズニーのドル箱であるスポーツネットワークESPNも契約者の減少に苦しんでいる。ディズニーはインターネットのスポーツブランドを立ち上げる予定で、MLBのストリーミングもここに含まれる見通し。
■電通、米データマーケ会社15億ドル買収
電通イージスは米国独立系で最大級のデータマーケティング会社「マークル(Merkle)」を買収(電通)。プレスリリースによると、「650社以上の世界有数の企業を顧客として抱え、同社がアクセスできるマーケティング・データベースは150以上、管理するファーストパーティーデータも37億件を超えている」。WSJによると、買収額はおおよそ15億ドル(約1575億円)。
■インテルも深層学習スタートアップ買収
インテルがディープラーニングのスタートアップ「ネルバーナ・システムス(Nervana Systems)」を4億ドル(約420億円)で買収(recode)。同社バイスプレジデントのジェイソン・ワックスマン氏は、人工知能(AI)がクラウドコンピューティングを変えるとrecodeに語っている。
「人々がサーバーとクライアントを管理している世界から、デバイス同士が接続し『会話』する世界に変わるために機会学習は必要になる。デバイスやセンサーからは、人間が処理できるレベルをはるかに越えた膨大なデータが提供されることになる」。Google、マイクロソフトはこの分野で激しい競争を繰り広げている。AIは端末に宿るようになるか(関連記事)。
by 吉田拓史