「eコマース・プラットフォームとしてAmazonは非常に支配的であることは明らかだ」と語るのは、2019年に設立された電通のコンサルティング部隊である、セルウィン・コンサルティングでパートナーグロースを管掌するジュリー・ウェルツナー氏とカビタ・カリアッパ氏。今回は「小売りの心構え、その新定義」について語った。
コロナウィルスの影響で、アメリカの失業保険申請者数は増加し、多くの人が明らかに財政難に陥った。そんな時でさえ、eコマース市場はAmazonが牽引し、新規注文数も増えている。
実際、今回の危機によって、実店舗を中心とした小売業が大打撃を受けても、Amazonが配送に関連するあらゆるサポートをまかなうことで、ブランドは販売促進や認知拡大など、本来の業務に集中できた。その結果、Amazonに対して、顧客はショッピングサイトとしての信頼を高め、ブランドはサプライチェーンとしてその信頼を高めている。
「eコマースプラットフォームとしてAmazonは非常に支配的であることは明らかだ」と、セルウィン・コンサルティングでパートナーグロースを管掌するジュリー・ウェルツナー氏とカビタ・カリアッパ氏は語る。同社は、2019年に設立された電通のコンサルティング部隊だ。
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2020年4月に米DIGIDAYが開催した、Amazon戦略の最前線について語るオンラインイベント「Amazonストラテジーズ・ヴァーチャル・フォーラム(Amazon Strategies Virtual Forum)」から、「小売りの心構え、その新定義(The New Definition of Retail Readiness)」と題したセッションをDIGIDAY VIDEOとしてお届けする(※動画はDIGIDAY+の「プレミアムプラン」ユーザー専用のコンテンツです)。
このセッションでウェルツナー氏とカリアッパ氏は、コロナ禍における過去数カ月のなかで、コマース市場がどのように変化してきたのか、振り返りと合わせてコンサルティングの立場から語っている。
Amazonでは品揃えが鍵となる
「Amazon自体はフライウィール・エフェクト(Flywheel Effect:弾み車効果)によって事業が成長するプロダクトの品揃えに依存したプラットフォームだ。Amazonでベンダーセントラルやセラーセントラルの運用経験があるのであれば、売上を向上させるためにはプロダクトの品揃えが鍵であることは周知のように言うまでもない」。
「膨大なSKU数(Stock Keeping Unit数:在庫管理のための最小識別単位数)は、プロダクト販売戦略の多様化へと繋がるが、特にサイズやカラーなどにより集中的にSKUが増大するファッションビジネスの場合、サプライチェーンを最大限に活用することもあるはずだ。つまり、季節を跨ぎ長く必要とされるプロダクトのSKUについては一定の在庫水準を維持することが必要だ」。
「在庫についても80:20の法則(パレートの法則)に着目するのが適切であり、在庫水準を予測する際には売上の80%は、20%のSKUによって成り立つということだ」。
チャネルの拡大は、小売における新たな心構え
「このコロナ禍においては、Retail readiness(小売における商品情報の充実や在庫の充実)と合わせてFulfillment readiness(配送全般に関連する準備や充実)を推進する必要がある。SEOに最適化されたコピーライティングや画像など、詳細ページにあるすべての要素は常に顧客への影響力が大きく、購入意思決定に大きく関わる。Amazonは常に需要があるサイトだが、ブランドはAmazonと顧客双方にプロダクトを出荷できる必要がある」。
「ブランドは(コロナウィルスなどによって)再び休業に追い込まれる前に、Amazonのサプライチェーン以外にも自社プロダクトを提供する方法(チャネル)を持つべきだ。Amazon以外にほかのチャネルの開拓を考えているのならば、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)はeコマースを通じてブランドアドボカシー(ブランド擁護)を強めることに役立つと考えている」。
顧客レビューは広告アセット
「AmazonでEarly Reviewer ProgramやAmazon Vineの活用を考えている場合、Amazon Vine(未発売商品のサンプルに対して、その感想をレビューしてもらう招待制のプログラム)では、Amazon経由でサンプルを送付し、多少の対価を支払うことで、レビューを得ることが可能だ。そのレビューは、正式なレビューとしてAmazonのプロダクトページに反映される。対象者はAmazonからeメール経由で知らされ、レビューを投稿することで3ドル程度のインセンティブを得ることが可能だ。そして、これらのプログラムは、重要なステップなのだ。なぜなら顧客レビューを得ることは、多かれ少なかれ、広告キャンペーンで成果を出すことに役立つからだ」。
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Written by 吉田 圭二