エージェンシー業界では一定数の人員削減をすでにおこなったか、2021年春には大規模な人員削減をおこなうと発表している。それにもかかわらず、米DIGIDAYの調査によると、多くのエージェンシーが2020年に人材を増やしたと答えている。この結果が、思ったほど暗くはない業界の展望を示すものになるのだろうか。
2020年、エージェンシーたちに訪れた統合の波は、彼らが抱える人員にバランスのとれた変化(暗い影も落としているが)をもたらした。
各エージェンシーをまとめあげる持株会社たちは一定数の人員削減をすでにおこなったか、2021年春には大規模な人員削減をおこなうと発表している。それにもかかわらず、52人のエージェンシー勤務の人々を対象にした米DIGIDAYの調査によると、回答者の3分の1近くが、勤務先が2020年に人材を増やしたと答えている。人員数が同じままだと回答した人々、減少したと回答した人々の割合もほぼ同じとなっている。
パブリッシャーたちを対象にした別のDIGIDAYリサーチでは、回答者の半数以上が2020年に自社で人員削減があったと報告しており、パブリッシャーたちが今年直面した厳しい状況を示しているが、エージェンシーを対象にした今回の調査はそれよりも良い状況を描いている。
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出典:Digiday年末広告代理店調査(Digiday Year End Agency Survey)
サンプル:52人の広告代理店社員
パンデミック直後の数週間、多くのエージェンシーが広告支出の一時停止や支払い条件の長期化などに起因する資金不足に直面し、人材を削減せざるを得ない状況に追い込まれた。
上記の数字はマーティン・ソレル氏のような人々が予言したような「弱肉強食の自然淘汰」ほどには暗い展望を示唆するものではないが、2021年にはブランドが支出を絞るなかで、エージェンシーの世界の贅沢さや「遊び」は抑制を余儀なくされる可能性が高いことを思い起こさせる。
しかし、それでもエージェンシーの社員たちは、2021年に明るい未来を見ている。2021年の収益予想を尋ねた調査によると、回答者の60%以上がエージェンシー業界の見通しについて楽観的であり、自身の勤務先の見通しについては80%以上が楽観的な回答をしている。
MAX WILLENS[原文:Digiday Research: Nearly one third of agencies grew their headcounts in 2020]
(翻訳:塚本 紺、編集:分島 翔平)