バイサイドのマーケターはようやく、アービトラージの害に気づき、行動を取りはじめつつある。米DIGIDAYが実施した、マーケティング幹部98人を対象にした調査では、米国と欧州のマーケターの大多数(それぞれ62%と80%)が、データアービトラージやメディアアービトラージと闘うことが重要だという考えに同意した。
2016年の米国におけるエージェンシーの透明性に関する米国広告主協会(Association of National Advertisers:ANA)の手厳しいレポートと、ファイナンシャル・タイムズ(The Financial Times/ FT)やニュースUK(News UK)におけるドメインなりすまし疑惑は、米国と欧州のプログラマティックメディアバイイングにおける透明性の欠如を示している。そうした曖昧さのせいで、メディアアービトラージやデータアービトラージのような悪質な慣習の横行が可能になった。
バイサイドのマーケターはようやく、アービトラージの害に気づき、行動を取りはじめつつある。米DIGIDAYがニューオリンズとポルトガルで今年開催したプログラマティック・マーケティング・サミット(Digiday Programmatic Marketing Summit)で、マーケティング幹部98人を対象にした調査では、米国と欧州のマーケターの大多数(それぞれ62%と80%)が、データアービトラージやメディアアービトラージと闘うことが重要だという考えに同意した。
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欧州でより強い懸念
2月に発表された世界広告主連盟(World Federation of Advertisers:WFA)の調査では、米国のマーケターの姿勢は、データアービトラージに関するマーケターの世界的な考えと一致する。レポートでは、2018年のデータアービトラージに対する取り組みは、62%のマーケターにとって優先すべき重要課題であり、この割合は2017年の14%から増加した。これは、デジタルメディア業界がこの問題への対策にどれほど迅速に適応しつつあるかを示している。
米国より欧州のほうが、アービトラージ対策が優先事項だと考えているマーケターが多いのは、欧州人は全体的に、オンラインデータのプライバシーについて米国人よりも常に大きな懸念を抱いているのが理由だ。それは、最近施行された一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)に表れている。
GDPRでは、消費者のデータの不適切な利用に重い罰金が科されるので、マーケターは、GDPRを遵守しているデータだという保証なしで、修正されたデータをエージェンシーから購入する意欲が低下している。実際、GDPRが施行されて以来、サードパーティのデータに基づくプログラマティックバイイングはすでに減少している。
マーケターが闘える方法
マーケターがメディアアービトラージと闘えるひとつの方法は、「ads.txt」だ。ads.txtは、パブリッシャーのインベントリー(在庫)を扱う承認された販売業者をマーケターが見つけ、アービトラージのインベントリーを避けられる、強力なツールとして出現した。具体的な数字を挙げるのは難しいが、ads.txtの採用は世界的に拡大している。
マーケターは、コミュニケーションの問題も改善できる。マーケターはデジタルサプライチェーンに関する理解が限られており、テクノロジーベンダーやパブリッシャーのパートナーに会って、アービトラージにさらされる仕組みを理解するまでは、コミュニケーションの問題を解決できないだろう。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)