10年前、ヒュージ(Huge)は、ブルックリンの一室で約10人の従業員が働く、自主経営の新興エージェンシーだった。それが、いまでは、世界各国に1400人の従業員がおり、年に30%の成長を遂げている。同社CEOのアーロン・シャピロ氏は、米DIGIDAY取材で、毎年成長しているものの新しい課題も生じていると語った。
10年前、ヒュージ(Huge)は、ブルックリンにある約19平方メートルの一室で、約10人の従業員が働く、自主経営の新興エージェンシーだった。それが、いまでは、世界各国のオフィスに1400人の従業員がおり、年に30%の成長を遂げている。
創業間もないころに入社したヒュージの最高経営責任者(CEO)アーロン・シャピロ氏は、米DIGIDAYのポッドキャストで、毎年成長しているものの新しい課題も生じていると語った。新興企業は、最初のころは事業を続けていくので手一杯だ。だが、いまは、はじめにヒュージを成功に導いた要素を失わずに、どうすれば成長できるか、ということの方が問題だ。
「我々は、かなりの規模で素晴らしい仕事をしている。素晴らしい仕事をし続ければ成長できることを意識しながら、どうやって素晴らしい仕事をし続けるのか。ヒュージの規模が2倍になるのは、将来的には避けられない。そこで経営陣にとって問題になるのは、どうすれば規模が2倍になるのか、ということではない。規模が2倍になるときに、どうやって、いま以上に素晴らしい仕事をするか、ということだ」と、シャピロ氏は言う。
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独自製品を開発できなかったヒュージ
マーケターが調達部門に頼って、エージェンシーに掛かる費用を圧縮したので、多くのエージェンシーは、独自製品の開発という夢を追い、出来高払いという落とし穴から逃れようとした。ヒュージも、そうしたエージェンシーのひとつで、「ヒュージ・ラボ(Huge Labs)」構想を立ち上げる。だが、この構想はうまくいかなかった。理由は簡単だ、とシャピロ氏は語る。製品事業モデルの資本要件が、サービス事業とうまくかみ合わないのだ。
「製品を作りながら、顧客のために仕事を行うのは、完全に矛盾している。事業モデルにかなりの違いがあるからだ。コンサルティングサービスは変動費だ。我々は時間を売り、その時間に対して給与を支払っている。一方、製品は固定費の事業だ。ソフトウェアを開発してから、それを継続的に販売する。こうした矛盾が理由で、このふたつを一緒に標準化するのはかなり難しい」とシャピロ氏は説明する。
Webサイトを要求しながら、ほかのものを求めていた顧客
初期のころから、ヒュージやレイザーフィッシュ(Razorfish)、R/GAなどのデジタルエージェンシーは、顧客のためにWebサイトを構築することも多かった。だが、これは、いささか間違った表現だ、とシャピロ氏は語った。というのも、顧客が本当に求めていたのは、インターネットが自分たちの事業と市場勢力図にもたらしている変化をうまく乗り切る方法だった。
「当社のサービスの幅はかなり広がっているが、事業の中核が実際に変わったとは思わない。基本的にはどの顧客も、気付いていようといまいと、今後10年間に大きな変化を経験し、現代経済において適切かどうかという点で苦労することになるだろう。この違いは、15年前には仮定でしかなかったが、現在は、残酷なまでに明らかだ」と、シャピロ氏は言う。
マーケターにとっての最大の課題は社内にあり
技術とともに進む、大きな変化を多くの企業が否定したり、無視したりしていた時期があった。Uber(ウーバー)がタクシーシステムに大きな打撃を与え、Airbnb(エアビーアンドビー)がホテルを脅かして、ブロックバスター(Blockbuster)が倒産したいま、転換が避けられないのは、ほとんど疑う余地がない。だが、いま問題なのは社内体制だ、とシャピロ氏は指摘する。
「ほとんどの企業は、アナログ世界で創設され、現代経済におけるマーケティングやより幅広い事業モデルについて考える態勢が整っていなかった。だがいまや、顧客はそのことを教えてもらう必要がない段階に入っている。問題は顧客の事業モデルであり、顧客の社内の専門知識では、現実に起きることに対応できず、自ら変化することができない」とシャピロ氏。
ただのエージェンシーでありたいデジタルエージェンシー
デジタルエージェンシーは、Webサイトの構築でスタートを切ったが、いまは、テレビ関連の業務など、何から何までやりたいと考えている。シャピロ氏によると、これは、顧客が技術、マーケティング、広告の3分野で必要とするマーケティングすべてをつなぎ合わせるのに、デジタルエージェンシーは最適な位置づけにある、という発想だという。
「顧客はますます、エージェンシー1社と契約してマーケティング業務をこなしてもらいたいと考えている。そのメリットは、これらのさまざまなタッチポイントすべてにおよぶマーケティングに対して、ユーザー中心の総合的なアプローチがある点だ。デジタル分野にとどまりながらも、あらゆる分野に手を広げるわけだ」(シャピロ氏)。
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Brian Morrissey(原文 / 訳:ガリレオ)