[ DIGIDAY+ 限定記事 ]マーティン・ソレル氏は2018年4月にWPPを離れたあと、S4キャピタル(S4 Capital)を立ち上げ、デジタル制作会社とプログラマティック会社の2社を手に入れた。ソレル氏はいま、「重要なファーストパーティデータ資産を持ちたい」と考えているようだ。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]マーチン・ソレル氏の買い物に終わりはない。
2018年4月にWPPを離れたあと、ソレル氏はS4キャピタル(S4 Capital)を立ち上げ、デジタル制作会社のメディアモンクス(MediaMonks)とプログラマティック会社のマイティハイブ(MightyHive)という2つの会社を手に入れた。ソレル氏はいま、「重要なファーストパーティデータ資産を持ちたい」と考えているようだ。これは、アリゾナ州フェニックスで開催されたインタラクティブ広告協議会(Interactive Advertising Bureau:IAB)の年次リーダーシップ会議でのインタビューのなかで、WPPの元最高経営責任者(CEO)が明かしたS4キャピタルの今後の買収計画だ。
2018年の創設以来、S4キャピタルは、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble:以下、P&G)、ブラウン(Braun)、ネスレ(Nestle)、エイボン(Avon)、国際オリンピック委員会から仕事を獲得し、ソレル氏によると、2018年に1億5000万ドル(約166億円)の収益を生み出したという。「2018年の収益1億5000万ドルのうち、支払いが1000万ドル(約11億円)を超えたクライアントはいなかった。2019年はたぶん、2000万ドル(約22億円)支払うクライアントが2社できるだろう。我々は勢いを増しはじめていると思う」と、ソレル氏は話す。
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氏が狙う成長分野
S4キャピタルのポートフォリオにファーストパーティデータ企業を追加することは、コンテンツ制作、メディアプランニングとメディアバイイング、データという同社の3部門モデルの完成を意味する。
S4キャピタルは、メディアモンクスでコンテンツ制作を行い、マイティハイブでメディアをチェックしている。このやり方は、ソレル氏がWPPを指揮していた当時のモデルに由来する。「私はWPPのポートフォリオを見て、3つの成長分野を特定した。1つはデータ、1つはデジタルコンテンツ、もう1つはデジタルメディアプランニングとメディアバイイングだ。これが成長分野だ」とソレル氏はいう。
ファーストパーティデータ企業の獲得は、S4キャピタルにとって、もっとも高額な買収となるだろう。S4キャピタルはメディアモンクスを3億5000万ドル(約387億円)で買収したと伝えられており、マイティハイブ買収には1億5000万ドルかかったと述べている。2018年10月のインターパブリック・グループ(Interpublic Group)によるデータマーケティング企業アクシオム(Acxiom)買収が20億ドル(約2213億円)だったことを考えると、ファーストパーティデータ会社との契約は、数十億ドルに達する可能性がある。
データの重要性
ファーストパーティデータ企業は「高額だし、数も少ない。定義上、ファーストパーティデータ資産の多くは、クライアントが管理する、あるいはクライアントのデータだ」と、ソレル氏は話す。
にもかかわらず、ファーストパーティデータ企業を持つことは、クライアントのデジタルマーケティング内製化支援を焦点にしていることを考えると、S4キャピタルのビジネスに役立つだろう。メディアモンクスやマイティハイブは、すでにクライアントの組織にチームを送り込み、コンテンツ制作やプログラマティックなメディアバイイングのトレーニングを行っている。マイティハイブのCEO、ピート・キム氏は、ソレル氏のインタビューに合流し、ファーストパーティデータをマーケティングに適用するだけでなく、企業プライバシーの懸念からそのデータを保護することの重要性を認めた。S4キャピタルが新しい企業をポートフォリオに追加し、クライアントの組織の外にデータを送る必要なく、保護された方法でクライアントのデータを使って作業できるようになれば、メディアモンクスやマイティハイブが提供するサービスを容易にし、ファーストパーティデータを生み、それをマーケティングに応用することを強く要求するクライアントをより多く惹きつけるのに役立つだろう。
「ユニリーバ(Unilever)がダラー・シェーブ・クラブ(Dollar Shave Club)を買収するのは、ジレット(Gillette)やP&Gと競争したいからではなく、直販関係を築きたいからだ。だから、データが戦場になる」とソレル氏は語った。
Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)